DV・モラハラ・熟年離婚――自立に向けてのガイドブック
愛は傷つけない

DVカウンセラー ノーラ・コーリ著

A5判 208ページ 並製
定価:1,700円+税 
ISBN978-4-8166-0803-2 C0037


奥付の初版発行年月:2008年06月
書店発売日:2008年06月25日

【内容紹介】
DVは世界中で起きている。30年のキャリアをもつ日本人カウンセラー(ニューヨーク在住)からのメッセージ。
夫やBFが愛情という名のもとに、女性をことばの暴力やいやがらせで自分の思い通りに従わせようとする行為(モラハラ)を解説します。女性にはそれに気づき、自立に向けての力と勇気を与え、男性には対等な関係にこそ平和で自由であることを理解してもらい、その間で苦しむ子どもたちをどのように守ったらよいかを提案。

 【著者プロフィール】
 東京で生まれ、小学校をニューヨーク、中学は日本、高校、大学はカナダで過ごす。その後、シンガポールに住み、さらに現在はニューヨークに住む。人生の半分をそれぞれ日本と海外で過ごす。マルチカルチュアルのバイリンガル。男女二人の母親。
トロント大学では都市における社会問題を研究し、ソーシャルワーカーとしての基礎を学ぶ。帰国後は外国人、帰国子女のカウンセラーとして、異文化不適応、国際結婚、アイデンティティーの迷い、日本不適応などの相談にのる。第一子を日本で出産し、第二子の海外出産をきっかけに海外に住む女性や母親のカウンセラーとして、海外での流産や死産、使用人問題、子どものしつけや教育、育児ストレスなどの相談にのる。コロンビア大学大学院社会福祉学部修士課程では精神医学ソーシャルワーカーとして女性、病人、精神・身体・知的障害者のカウンセラーとしての訓練を受ける。現在、世界中に住む日本人女性をメールによるカウンセリングを通して、夫婦問題、国際結婚、離婚問題、DV、モラハラ、うつ、不安、孤独などの相談にのる。
著書・記事 : 「海外で安心して赤ちゃんを産む本」、「海外で安心して子育てをする本」、「海外で暮らすためのとりあえず英会話」、「英語のできる子どもに育てる」、「使用人との上手なつきあい方」、文藝春秋スペシャル冬号『新人生読本』の人生相談特集、など多数


【目次】
目次
はじめに
1章 現実に目を向けて――DVとは?
彼から次のようなことを言われていませんか?
あなたはこう思っていませんか?
DVの定義
なぜDVは起こるのか?
支配するための手段
 1.身体的虐待 Physical Abuse:殴る、蹴るなどの行為
 2.脅す、怖がらせる Using Intimidation: 態度、行為、目つき、表情などによる脅迫
 3.脅迫する Using Coercion and Threats:言葉による脅し
 4.性的な虐待 Sexual Abuse:セックスを強いる、避妊を拒む
 5.心を傷つけられ、思考をあやつられる Emotional Abuse:見くだす、暴言を吐く、恥を  かかせる、混乱させる
 6.見くびる、いじめを否定する、相手を責める Denying and Blaming:冗談と言う、相手   のせいにする
 7.男性である特権を利用する Using Male Privilege:性別役割分担や男尊女卑の発想  を利用
 8.経済的な虐待 Economic Abuse:経済的に不安にさせる、仕事をさせない
 9.社会的な虐待 Using Isolation:外出先、人と会うことを管理し、社会から孤立させる
 10.人間らしく生きることを奪う Taking away Freedom and Rights
モラハラはどのようにわかるか
 1.モラハラにまず気づく
 2.言われてどのように感じたか?――心の叫びに耳を向けよう
 3.書き出して分析してみる
 4.第三者の意見を聞く
 5.意見がぶつかった時、どう対処するか

2章 なぜ傷つけるのか?

なぜ虐待に出るのか
加害者の問題
社会的な要因
被害者の問題
パーソナリティー障害(人格障害)に似た傾向
なぜDVは続くのか

3章 迷い

とどまるかそれとも別れるか
彼のこと
自分のこと
子どもやまわりの人たちのこと
今の関係を続けるということはどういうことか?
関係をあきらめなくてはいけないとき
別れるのなら……、留まるのなら……

4章 子どもたちへの影響
子どもへの影響は避けられない
夫婦の関係を子どもは見ている
精神的な影響
生まれる前から思春期に至るまでみんな影響を受けている
年齢別にDVが子どもたちの成長にどのように影響するかをみてみましょう
どうしたらいいか?
問題のある子ども、ない子への接し方
子どものためと思ったら

5章 踏みとどまることからの希望
迷いから決断へ
優柔不断な自分を分析してみよう
2人の関係を続けると決めたら
被害者にできること
加害者ができること
男性の意識改革がDV防止への鍵
加害者であることを認めたら
加害者への援助を増やす活動を
こんなことをされたら……

6章 別れる決心をしたあなたへ
別れるまでの準備
新しい人生に向かって自分に言い聞かせること
1人になってみて
子どもたちのこと
子どもと加害者との面会をどうするか
傷や痛みから立ち直るには
自信を取り戻そう
新しい出会いに向かって
対等な関係、健康な関係のチェックリスト
イエローフラッグに気づく
励みとなる言葉
DVを生き延びた人たちの言葉

おわりに
ケース例

【あとがき】より
 結婚を女性の最高の幸せとイメージ化し、子どもを産むことが女としての幸せというように信じ込まされ、なんと多くの女性が家庭とその近隣社会という狭い世界にのみしか生きられなかったことか。世界がこれほどに変わっていながらも、彼女らは愛情という都合のよいことばによって、家庭に追いやられていた。その際たるものが、男性のことばによる暴力によって女性を自分の支配下に置くことだ。これがモラル・ハラスメントだ。
 しかし、モラハラの実態に気づいた彼女たちは、目が覚めたように自分らしく生きることの大切さに気づき、やがて鎖を切って、外に羽ばたいていった。私はその成長の過程をガイドする機会を与えられ、人は誰でも自立したいという意思があり、強く生きていこうとする力を持っていることを確信した。そして、私の仕事は今なお、男性によってコントロールされている彼女たちに、秘められたパワーに気づかせ、それを信じさせ、そして実行に移すことを手伝うことだと実感した。
 今モラハラの実態に気づいていない女性たちには、「なんか彼から圧迫感を感じる」「いつもことばを選んでびくびくしている」「どうも昔の自分のようでない、自分らしくいられない」と感じていたら、男性によって支配されていることに気づいてほしい。モラハラに気づいた女性たちには、最低限の人間としての権利、「自分が感じたいように感じられる権利」「自分らしくいられる権利」「性別、年齢、職業、能力に関わらず対等に扱われ、尊敬される権利」「自分のことを自分で決められる権利」「安心して平和な毎日を送られる権利」を主張してほしい。自立した女性たちには、自分の中にある限りない力を信じてほしい。この本が少しでも彼女たちへの励ましになればと願う限りだ。
 最後に、この本の完成に最も貢献してくれた彼女たちに感謝を込めて、この本を贈りたい。この本はまさに彼女たちの血と涙の結晶である。彼女らが通った苦しみを私は決して無駄にしないと誓った。時には思いばかりが先走り、怒りの感情ばかりが露出してしまう場面もあった。それだけ彼女たちの戦いは生々しかった。モラハラの実態をことばに表すにはむずかしい場面もあった。わかりづらい表現に根気よく付き合ってくださった梨の木舎の羽田ゆみ子さんに、この場を持って、お礼申し上げたい。また、世界各国の日本人女性をサポートするために多くの時間をパソコンの前でさいていた母親に対し、「ママ、がんばってね」と励ましてくれた娘にも「ありがとう」と伝えたい。
2008年初夏 ノーラ・コーリ