教科書に書かれなかった戦争58 

ここがロードス島だ、ここで跳べ
  ――憲法・人権・靖国・歴史認識


内田雅敏
著 

A5判 262ページ 並製
定価:2,200円+税 
ISBN978-4-8166-1103-2 C0021
奥付の初版発行年月:2011年03月
書店発売日:2011年04月10日

【内容紹介】


憲法・人権・靖国・歴史認識問題など、現代社会の多岐のわたって書かれている。本書からは、行動する弁護士・内田さんの覚悟と行動が立ち上がってくる。

【プロフィール】

1945年、愛知県生まれ。1968年、早稲田大学法学部卒業。日弁連人権擁護委員会委員、日弁連接見交通権確立実行委員会委員長を経て、現在日弁連憲法委員会委員、関東弁連憲法問題協議会委員長、西松安野友好基金運営委員長。弁護士としての通常業務の他に、中国人強制連行問題などの戦後補償請求裁判に取り組む。東京女子大学非常勤講師。
主な著書:「弁護士_"法の現場"の仕事人たち』『「戦後補償」を考える』(講談社現代新書)『<戦後の思考>_人権・憲法・戦後補償』『半世紀前からの贈物(れんが書房新社)『戦争が遺したもの」(鈴木茂臣氏との共著 同)『憲法9条の復権』(樹花舎)「敗戦の年に生まれて』(太田出版)『在日からの手紙』(姜尚中氏との共著 同)「憲法9条と専守防衛』(箕輪登氏との共著梨の木舎)『乗っ取り弁護士』(ちくま文庫)『これが犯罪?「ビラ配りで逮捕』を考える』(岩波ブックレツト)『靖国問題Q&川『特攻記念館で涙を流すだけてよいのでしょうか』(スペース伽耶)

【目次 】

行動する弁護士・内田雅敏・・・・・・鎌田 慧     
プロローグ 高校ラグビー、ふたつの両校優勝・・・・すがすがしいノーサイドの90回大会と痛恨の68回大会
1章 二つの戦後を考える
  ・二つの戦後――ヨーロッパの1員となったドイツとアジアの1員となれない日本
  ・憲法は悲惨さの中から生まれた
  ・政治不在の安全保障
     ……対米追随と「軍事合理性」の行き着く先
  ・前文から「愛」を削除する自民党新憲法草案
  ・イラク戦争とは何だったのか
     ……パウエルは人生の汚点と述懐し、ブレアは退陣表明した。
  ・誤った歴史観は核兵器と同じように危険だ
     ……近隣諸国を敵にする田母神空幕長論文
  ・「歴史は薄められて再来する」  

2章 靖国神社と大東亜聖戦史観
  ・映画「靖国」の上映中止問題と表現の自由
     ……醜悪な日本の姿を見せつけた映像に違和感もあるが
  ・石川護国神社の「大東亜聖戦大碑」に見る時代錯誤
     ……「大東亜聖戦大碑」と靖国神社遊就館の展示を貫く聖戦思想の虚構

3章 わたしたちは言論と表現の自由を手にしているか?
  ・公安警察の暴走と脅かされる言論社会
     ……立川自衛隊宿舎イラク反戦ビラ入れ事件
  ・治安維持法時代を彷彿とさせる公安の暴走
  ・民事裁判が刑事手続を本来の姿に戻す
  ・非暴力直接行動
     ……市民によるナオナチ集会実力粉砕に見るドイツの闘う民主主義
  ・出自を乗り越えることは容易ではない
     ……浅沼稲次郎狂刃に斃れて半世紀、鈴木邦男著『右翼は言論の敵か』を読む
【あとがき 】より
 
 36年前の1975年,弁護士の仕事に就いたとき,どのような活動をするか全く予測はしていなかった。静かに生き,どこかでアパートから追い立てを食らっている老夫婦がいたら,その人達の手助けをすることができればいいなという程度のことしか考えていなかった。そして,年に2,3回山へ行くことができたならばとも。
 ところが弁護士1年目に東アジア反日武装戦線・狼の大道寺将司君らと出会ったことが契機となって,天皇制,戦後補償,日の丸・君が代,靖国問題など,日本近現代史と向き合うことになった。そんな中で多くの人と出会い,学んだ。本書の跋文を書いて下さった鎌田慧さんもそのうちの一人だ。
 本書に収録した文章は,そのような多くの人々と出会う中で学び,考え,行動する中で,「軍縮問題資料」,「月刊TIMES」,「情況」,「現代の理論」などに書いてきたものである。
 私にとって書くことは,考え,整理し,記録し,そして次の行動への指針とすることであった。本書のタイトルを,マルクスやエンゲルスがしばしば引用したイソップ寓話から借りたのは,そのような意味を込めてである。
 昨日,靖国合祀取り下げ裁判の最終弁論がなされた。原告は,日本の侵略戦争に狩り出され,命を失わせられた韓国の人々の遺族達である。単に政教分離の問題でなく,植民地支配を問う裁判である。この裁判を担う中で,韓国憲法前文中に,「三・一運動により建立された大韓民国臨時政府の法統及び,不義に抗拒した四・一九民主理念を継承し」とあるのを知って,いや,今日まで知らなかったことに愕然とした。学生時代,1965年の日韓条約反対闘争の際に,日本側の運動に植民地支配の問題が欠落していたことは,その後よく指摘されて来たはずであったにもかからずである。学ばなければならないことは多い。本書はそんな「過渡期の意識」の表現でもある。
 最後に,お忙しいなか,本書の跋文を書いて下さった鎌田慧さん,出版事業が厳しい中,本書を出版して下さった羽田ゆみ子さん,そして27年の長きにわたって我が四谷総合法律事務所を支え,今般都合により退職することになった朴愛順事務局員に感謝します。彼女からは,本稿の整理,清書だけでなく,その内容についても,しばしば貴重な示唆をもらった。
                                                2011年2月25日
【関連所の紹介】
靖国には行かない。戦争にも行かない
内田雅敏著  
定価1700円+税
A5判 170ページ 並製
ISBN4-8166-0601-7