教科書に書かれなかった戦争47 
アメリカの化学戦争犯罪
ベトナム戦争枯れ葉剤被害者の証言



北村 元著


A5判 並製 384ページ 
定価 3500円+税
iISBN4-8166-0502-9
1961年8月10日、アメリカ軍ははじめて枯葉剤を散布した。以後1975年まで、ベトナムは世界最長の化学戦争の戦場と化した。撒かれた枯葉剤の総量は、約8000万リットル。そのなかに猛毒のダイオキシンが366キログラム含まれていた。史上最強の毒物ダイオキシンは1ナノグラムで染色体に奇形性を生じさせる。直接の被害者から、子ども、孫の世代の先天性障害まで多くの被害者がうまれた。その数は、ベトナム全土で約400万人ともいわれる。戦後30年、アメリカからの補償はなかった。ついに被害者たちは、2004年1月、ニューヨークの連邦地裁に枯れ葉剤製造会社を相手に集団訴訟を起こした。2005年3月の第1審は訴訟の棄却であった。ベトナム戦争への勝利の道が長かったように、法廷闘争も長い道のりが予想される。製造元化学会社は、猛毒性を知りながら、ひたすら自社の利益のために口をつぐみ、虚偽を押し通している。被害はベトナム人のみならず、アメリカおよび同盟国の兵士にも、その家族にも現れている。人工物でこの世で最強の毒の入った化学兵器を使用したアメリカの行為が30年たってどういう結果を生んだか。地下に眠る不発弾とともに、枯れ葉剤のその重く、想像をはるかにこえる被害の実態を、あきらかにし、未来への警鐘としたい
【プロフィール】
1941年 大阪市生まれ。
1964年 テレビ朝日入社 77年イギリス
BBC放送局出向 
1985年 テレビ朝日外報部。
バンコク支局長。ベトナム・ハノイ支局長。
      シドニー支局長を歴任。
2001年 テレビ朝日退社。
2001年〜2004年10月まで。 西シドニー大学人文学部にて名誉客員研究員として「ベトナム戦争における枯葉剤
          の影響」を調査研究。あわせて枯葉剤後遺症の被害者支援活動もおこなっている。

著   書 「イギリスのユーモア」(サイマル出版会)
      「十代 われらの発言(英国の若者)」(サイマル出版会)

      「ロンドンぬきの英国旅行」(共著)(サイマル出版会)
 
      「タイに民主主義を」(共訳)(サイマル出版会)
      「タイ・うごめく「人」景」(現代書館)
      「日本人には思いつかないイギリス人のユーモア」(PHP研究所)
【 目次 】

まえがき

T 提訴――2004年130
  ニクソンとキッシンジャー
  日本への枯れ葉剤投下計画
  ケネディーの決定
  破壊しつくされたベトナム
  気象戦争
  化学企業37社を提訴
  2重の苦しみ
  なぜいま、なのか
  訴訟書類の作成
  訴訟――原告、支える人たち

U 七色の雨
  苦しむ患者たち
     レ・ヒエップ
     ファム・ヴァン・バウ
  敵機の爆撃にかけた
     グエン・フィ・ヴィさん
  不治・皮膚の炎症
     タン・チ・バーさん
  戦死していればよかった
     ホアット中佐
  「私たちにはなぜ髪の毛も歯もないの」
     ダン・ヴァン・ミンさん一家
  夫婦で同じ部隊。筋肉硬直がすすむ妻
     グエン・ティン・カインさん
  など
V 医療現場から

W アメリカの化学戦争犯罪 

コラム
あとがき
資料

英語版刊行

定価600円+税
Agent Orange:
The Vietnamese Victims of American Chemical Warfare Exposed

今年2007年1月27日、ワシントンでイラク撤退を求める集会に50万人が集まりました。かつてベトナム反戦運動で活躍したジェーン・フォンダが34年ぶりに参加し、「私たちがベトナム戦争から教訓を学ばず、同じ過ちを犯したのは悲しい」「沈黙はもはや選択肢ではない」と発言して大きな歓声と拍手に包まれたと報じられています。

今あらためて、ベトナム戦争がベトナムの人々に何をもたらしたのかを考える必要があるのではないでしょうか?
「ベトナムでの戦争は30年前に終わっている。しかしその重い結果は今もなお続いている」とハノイ医科大学のフォン・ティ・フィ・フィ教授が語るように、枯れ葉剤の被害は今や3世代目の孫たちにまで及んできており、その苦しみは計り知れないものです。
枯れ葉剤に含まれる猛毒のダイオキシンはとくに遺伝子や染色体に重大な影響を与えました。そのため何百人という子どもが多くの疾病、先天性障害をもって生まれています。このような被害が第2、第3世代にまで及んでいます。

2004年1月30日、ベトナムの枯れ葉剤被害者が枯れ葉剤を製造、納入したモンサイト社、ダウ・ケミカル社などアメリカの化学企業37社を相手取ってニューヨーク、ブルックリンのアメリカ連邦裁判所に提訴し集団訴訟に踏み切りました。
「訴訟の最大の目的はベトナム国民に巨大な負担と悪影響を与えたことに対して、アメリカに責任を取ってもらうこと」(枯れ葉剤被害者協会会長 ダン・ヴー・ヒエップ)です。

この本は北村元氏によって書かれた『アメリカの化学戦争犯罪――ベトナム戦争枯葉剤被害者の証言』(梨の木舎 2004年)から抜粋し、北村氏により英語に翻訳されたものです。枯葉剤被害者の直面している現実を、世界の人たちに届けたいという願いで生まれました。
ぜひ、本書を手に取ってください。そしてあなたの周りの友人や知り合いの方に、紹介してください。  

ベトナム戦争枯葉剤被害者の声を世界につたえる会・連絡先yukiko1213@aol.com 田中由紀子

※枯れ葉剤とは――
ベトナム戦争(1961−75年)において、アメリカは、猛毒ダイオキシンを含むおよそ8000万リットルの除草剤をベトナムに撒布した。この除草剤は用途別に15種類あり、総称して枯れ葉剤と呼ばれ、中でも大量に使用されたのがエージェント・オーレンジだった。容器のドラム缶に塗られたストライプの色に由来してこう呼ばれた。枯れ葉作戦はベトナム兵の活躍の場であった森林を絶滅し、農作物を汚染することを目的としていた。何百万人というベトナム人、およびアメリカなど多くの国の兵士が被曝し、ガンや神経系、免疫系障害、ホルモン異常、生殖異常に冒された。