福島原発事故と
女たち
ー出会いをつなぐ
 近藤和子/大橋由香子編

A5判 170ページ 並製
定価:1,600円+税 
ISBN 978-4-8166-1205-3 C0036
2012年10月26日発売
 『日刊ゲンダイ』の「今日の新刊」で紹介されました
『社会新報』に紹介されました!(2013年1月23日
【図書新聞】の書評2013年3月9日号
【季刊 ペープルズ・プラン 60号】に紹介されました。2013年2月号
3月11日東北地方の震災と福島原発災害の被害の甚大さと過酷さに、私たちはうちのめされました。1年以上の時間が経過しても復興にはほど遠い状況、原発事故は収束していないにもかかわらず、再稼動を推進する流れもあります。
 多くのメディアが原発事故や「脱原発」を取り上げてきましたが、それらを読んでいても、なぜかもどかしく、心がざわつきます。満たされない気持ちについて語り、どうしてなのかを考えるなかで、この本を作ろうと考えました
【編者プロフィール】

近藤和子 (こんどう かずこ)
1944年生まれ。東京在住。名古屋大学大学院文学研究科修了。訳書『グリーナムの女たち』(八月書舘)、『インサイド・ザ・リーグ』(社会思想社)、『兵器ディーラー』(朝日新聞社)。編著『おんな・天皇制・戦争』・『おんな・核・エコロジー』(オリジン出版センター)ほか。

大橋由香子 (おおはし ゆかこ)
1959年生まれ。上智大学文学部社会学科卒業。フリーライター・編集者。著書『ニンプ・サンプ・ハハハの日々』(社会評論社)、『からだの気持ちをきいてみよう』(ユック舎)、『生命科学者・中村桂子』(理論社)ほか。共編著『働く/働かない/フェミニズム』(青弓社)、『記憶のキャッチボール』(インパクト出版会)。

   

【目次】
はじめに
1章 2011年3月11日―福島から
 ・3・11、見えないものに追われて     一條 直子
 ・あらためて思う、「多様なこと」は豊潤なこと     鈴木 絹江
 ・3・11原発/解雇/放射能/そして……     黒田 節子
 ・5日目の朝がきた    人見やよい
 ・事故前と同じようには生きられない     会田  恵
 ・疲れているひまはない    地脇 美和
 ・新たな出会いをたぐり寄せ―福島から高知に避難して    芳賀 治恵
 ・娘一家は九州へ    橋本 あき
 ・原発事故の暗闇の中から    浅田眞理子
    人間だけが避難する身勝手を許してほしい
 ・子どもたちも孫も来ない、ご先祖さんに線香もあげられない故郷    鈴木 恵子
 ・これ以上、奪われない、分断されない    宇野 朗子
     福島を出たあの夜からの一年
 ・女たちのリレーハンスト   黒田 節子
 ・原発事故からの脱出    安積 遊歩
 ・原発被曝の県で    武藤十三子

 ・武藤類子さんに聞く
   砂がこぼれ落ちるように風化させられている。でも、みんなが工夫して訴えることが随所で起きています。

2章 出会いをつなげる
 ・しがらみ、なりゆき、あきらめの中での、 1人ひとりの選択を大切にしたい
   ―母性・フェミニズム・優生思想    大橋由香子
 ・グリーナムの女たちから福島の女たちへ    近藤 和子

あとがき

 コラム わすれられないコトバ
 @私たちはいま、静かに怒りを燃やす東北の鬼です 武藤 類子
 A受け手の私たちが変わらなければ何も変わらない おしどりマコ
 B100マイクロシーベルト/hを超さなければ、
   まったく健康に影響を及ぼしません(!?) 山下 俊一
 C病気になるまで思っていた「国が管理しているから大丈夫」と… 喜友名 正
 D福島原発事故は、水俣病と似ている アイリーン・美緒子・スミス
 E測ることがすべての判断の基本になる 岡野 眞治
 F福島原発事故以来1800以上の剣体を測りました 鈴木千津子

 資料@  福島原発事故被害者の権利宣言
 資料A  「原発いらない福島の女たち」のリレーハンスト宣言
 資料B  「福島原発告訴団」告訴声明 2012年6月
     被告訴・被告発人目録
 イラスト 主な放射性物質と放射線一覧
【はじめにより】

 地震と津波、そして原発事故によって、いろいろなことが変わりました。それまでは見えづらかったものが、あらわにもなりました。新しいつながりもあれば、悲しい別れ、こんがらがってしまった関係もあるでしょう。
 この本も、不思議な縁が重なって生まれました。2011年の初春、下記の呼びかけを始めました。
<・・・・・・多くのメディアが原発事故や「脱原発」を取り上げてきましたが、それらを読んでいても、なぜかもどかしく、心がざわつきます。満たされない気持ちについて語り、それはどうしてなのかを考えるなかで、この本を作ろうと私たちは考えました。
 
 「福島の女たち」という言葉にあちこちで遭遇します。にもかかわらず、女たちの個々の体験や気持ちは充分に伝えられていないのではないか。福島の地で暮らしている人、福島を離れた人、行き来している人、福島に思いを寄せている人たちを「福島の女たち」と一括りにしてしまうことで、見えなくなることがあるのではないか。・・・・・・
 大きく強いものが良しとされ差別によって成り立っていた原発社会を問い直し、ゆっくりでいい、「弱いもの、小さいものの命を大切にする」暮らしをつくるために、皆さんの経験をぜひお寄せください。>
 呼びかけに応えてくださった皆さん、そして編者の思いを、読者の方たちと共有できれば幸いです。

                                                       大橋由香子

【編集者から】

  2011年、9月19日明治公園での武藤類子さんのスピーチに私たちは釘付けになった。そして「福島の人たち。立ち上がってください」という声で立ち上がった人々がもった、赤地に白抜きの「怒」の幟旗は、今も目のまえに浮かびあがる。
  その年の10月末、「原発いらない福島の女たち」の座り込みに私たちは、衝撃をうけた。彼女たちにつらなりたい、という思いが本書の刊行につながった。 13人が原稿を寄せてくれた。武藤類子さんは多忙な中、インタビュウの時間をつくってくれた。 類子さんのお母上、武藤十三子さんは、今年88歳になられる。昨年の東京での東電前集会やデモで、何回も姿をお見かけした。
  そうさせるものは何なのか。今年の3月10日郡山でお話をお聞きした。時間が足りなくて、原稿をあらたに書き起こしてくださった。白血病で亡くなられた長女凉子さんのことが書かれていた。
 つらい経験を書いてくださった、福島原発のせいであるか、立証証することはできない。しかし、原発立地に近い人たちは、放射線の影響をより受けているのだ。静かに揺るぎない意思と憤りがデモに向かわせているのですね。さて、さきほど「郡山の放射線量は現在どのくらいですか」と、郡山市に電話で尋ねた。郡山駅西口広場で「0.55マイクロシーベルト/h」だという。1年に換算すると、×24×365日=4818マイクロシーベルト。これを1000でわると、4.8ミリシーベルト、ではないか。現在一般人の許容量として、1ミリシーベルト/年、だから、これって、5倍近い数値だ。「心配です。健康に害はないかと思うと」に、電話の向こうの方は、愚かなおばさんが何を言ってるかと言わんばかり、「何がですか?」。
  なるほど、寄ってたかって、まるで原発事故などなかったように、進めようとしているのね。でもあなたの子どもの健康は大丈夫?あなたの孫の健康は?そしてあなた自身の健康は?日本の戦争に自分を、子どもを差し出したように、原発産業に、国策に命を捧げるのですか。

【「日刊 ゲンダイ」で紹介されました。2012年11月29日
【社会新報 2013年1月23日】に紹介されました
日刊ゲンダイ                  社会新報
【図書新聞】の書評2013年3月9日号
【季刊 ペープルズ・プラン 60号】に紹介されました。2013年2月号