新・仏教とジェンダ
    ―女性たちの挑戦

女性と仏教  東海・関東ネットワーク編

  
四六判並製 326頁
定価:2,400円+税 C0015
978-4-8166-1108-7

2011年12月刊行
1月21日「中外日報」2月23日「佛教タイムス」で書評が掲載されました。
●釈尊は、人は「生まれ」によって差別されてはならない、と説いた。
 見えない差別、ジェンダーの縛りに勇気をもってチャレンジする女性たちの切実な声をつたえる

本書はジェンダーを機軸にして、宗門の制度、社会へのヴィジョン、女性仏教者への教化活動、寺院内の平等な人間関係など女性仏教者による問題提起の書であり、女性を対等な構成者としてみなしてこなかった仏教界への異議申し立てである
【著者プロフィール】



   東海ネットワークは、1996年の春にいくつかの仏教教団に所属する女性たちが名古屋で始めたネットワークであり、この女性たちと交流あった東京近辺の女性たち
が翌年に立ち上げたのが、関東ネットワークである。両者は宗派や立場を超えて女性がつながるネットワークとして、情報交換や学びの場を持ち、ともに発言・行動し、仏教にかかわる女性たちを支えあう活動を続けている

【執筆者紹介】

 執筆者紹介
菅原征子(すがわら いくこ)         曹洞宗寺族、元大学講師
川橋範子(かわはし のりこ)         曹洞宗寺族、大学教員
飯島惠道(いいじま けいどう)       曹洞宗僧侶
緑川明世(みどりかわ みょうせい)  天台宗僧侶
旦保立子(たんぽ りつこ)           真宗大谷派僧侶、坊守
大島豊扇(おおしま ほうせん)       日蓮宗僧侶
池田行信(いけだ ぎょうしん       浄土真宗本願寺派僧侶
枝木美香(えだき みか)             アーユス仏教国際協力ネットワーク
ウイポン・クアンゲアウ             International Women's Partnership
                                              for Peace and Justice (IWP)
瀬野美佐(せの みさ)               女性と仏教 関東ネットワーク
藤場芳子(ふじば よしこ)            真宗大谷派僧侶、
                                                  真宗大谷派「女性室」スタッフ
尾畑潤子(おばた じゅんこ)          真宗大谷派僧侶
永野陽子(ながの ようこ)            曹洞宗寺族
佐野和子(さの かずこ)              真宗大谷派僧侶、坊守
岡田文子(おかだ ふみこ)           曹洞宗寺族
太田紀子(おおた のりこ)            曹洞宗寺族
土屋慶史(つちや よしふみ)          真宗大谷派僧侶、
                                                  真宗大谷派「女性室」スタッフ
馬島浄圭(まじま じょうけい)         日蓮宗僧侶
山内和子(やまうち かずこ)          曹洞宗寺族
秋月佳光(あきづき かこう)           曹洞宗寺族
小澤妙慧(おざわ みょうけい)        日蓮宗僧侶
神作喜代乃(かんさく きよの)        曹洞宗寺族
井上啓子(いのうえ けいこ)             真宗大谷派僧侶
小林奈央子(こばやし なおこ)       大学講師
本多彩(ほんだ あや)                浄土真宗本願寺派僧侶、大学教員
永田瑞(ながた みず)                仏教研究者
【目次】

はじめに    
第1章 シンポジウム 
          ジェンダーイコールな仏教をめざして
第2章 仏教と共に生きる女性たち
第4章 女性と仏教をめぐる小論
おわりに 

【あとがきより】

おわりに
小林奈央子
 研究者が集まりこれまでの学術研究の成果を共著本として出そうというとき、必ずといっていいほど原稿の提出が遅れる人がいる。しかも、ちょっとやそっとの遅滞では済まず、そのために本の刊行時期が大幅に遅れる、あるいは何年も出版されないままになっている(その頃には先に提出していた人の原稿内容が既に古くなっていたり……)ことも珍しくない。今回、補佐役として本書の編集のお手伝いをさせて頂くことになり、ひょっとしたら、この企画でもそのような事態が起こるかもしれないと多少覚悟はしていた。いや、それ以前に執筆依頼をどのくらいの人が承諾してくれるかということも正直不安だった。
 実際には執筆を依頼したほぼ全員が、いち早く承諾の回答をしてくれ、また、締切日までにきちんと原稿を寄せてくれた。驚くべきことに、原稿を依頼してから一週間経つか経たないかのうちに原稿を仕上げて送ってくれた人もいた。
 この背景には何があるのだろうか―。
つまり、みな自ら「書きたい」、「伝えたい」こと・思いがいっぱいあるのだ。編集作業を通してそのことがよくわかった。堰を切ったようにあふれ出す言葉、あるいは、原稿用紙に自筆で力強く書きつづられたある原稿からはその熱い思いのほとばしるさまがじかに感じ取れた。執筆者の多くは仏教の現場に日常的に身を置きながら、女性という性別の縛りによる差別や生きにくさを経験してきた人たちである。しかし、それらの経験に苦悶し、疑問を抱きながらも、男性中心に成り立ってきた仏教界において、女性がそれらを表出する機会はなかなかない。この原稿の集まりの早さは、執筆への熱意の表れであると同時に、仏教界の女性が自らの言葉で自らの思いを自由に発言できる場がいまなお限られているという現実の裏返しでもあろう。
 本書は、「女性と仏教 東海・関東ネットワーク」の編集による著書の3冊目になる。当ネットワークは、現代の仏教界の在り方について問題意識をもつ当事者自身が考え、議論し合い、発言していけるような環境を、ネットワーク、すなわち、〈つながりあう〉という形で実現してきた。そして、いまそのつながりが、ジェンダーという問題を通じて日本という国、仏教という宗教の境界を超え、徐々に広がりを見せつつあるのは、「はじめに」で述べられている通りである。
 なお、本書の脱稿後、東日本大震災が発生した。未曾有の大災害に対し、いち早く救援の活動を始めたネットワークのメンバーもいる。このような危機的状態にある時こそ、その渦中において弱者の声がかき消されることのないよう、ジェンダーの視点を有した取り組みがより一層求められる。
 東海ネットワークはまもなく結成15周年(関東ネットワークは14周年)を迎える。このような節目の年に無事出版の運びとなったことに、梨の木舎をはじめ多くの関係者の方々に心より感謝申し上げます。
                                                                                              2011年秋


紹介されました
「中外日報」1月21日
「佛教タイムス」2012年2月23日