《蓋 山 西》
ガイサンシーとその姉妹たち

班忠義(パン ツォンイ)著著


A5判 360ページ 上製
定価:2,800円+税 
ISBN4-8166-0610-6


●「ガイサンシーって,何のこと?」私はたずねた。
 「ガイサンシーさえ知らないの? あなたがこのことを調べるなら、まずガイサンシーのことを知るべきだ。彼女は日本軍に一番ひどい仕打ちを受けた人で、最初に日本軍のトーチカに連れて行かれた一人なのだから」――1995年、こうして、中国山西省における中国人女性に対する、日本軍の性暴力に迫る著者の長い旅が始まった。
ガイサンシー《蓋山西》とよばれた女性と数知れないその姉妹たちが、日本軍からうけた性暴力の事実と背景を9年の歳月をかけて追う。
            ガイサンシーとその姉妹たち」が様々なメディアで紹介されております
赤旗に班さん登場、対談相手は内海愛子さん。日曜版「本と話題」4/8でも紹介
「世界」5月号では、倉橋綾子さんが『私たちをつかんで離さない「過去」―「ガイサンシーとその姉妹たち」から見えてくるもの』を書いておられます。

○「シネ・フロント」2月号では、「ガイサンシーとその姉妹たち」の特集を組んでおり、班さんへのインタビュー記事と山田朗先生の解説論も掲載されております。
8月4日(土曜)朝日新聞に莫 邦冨(モーバンフ)が「戦争の傷と癒す人々」と題して、この本を取り上げてくださいました。
☆下記の先生方から推薦(文)をいただきました。
小森陽一・東京大学教授 田中優子・法政大学教授 熊谷博子・映像ジャーナリスト
2009年9月13日 朝日中学生ウィークリーで紹介されました。
長編ドキュメンタリー映画 同時完成!
『蓋山西とその姉妹たち』
問合せ先:シグロ

TEL 03-5343-3101
東京都中野区中野
DVDも発売予定 2008年春
予価5040円(税込)
【主要目次】
主要目次
第一章 出会い
第二章 歴史を調べる
第三章 戦争の時代
第四章 進圭村での日々
第五章 戦後
第六章 永遠に
    記憶される
    「蓋山西
【プロフィール】
1958年、中国・撫順市生れ。82年黒龍江大学卒業。上智大学大学院、東京大学大学院研究生を経て、現在フリージャーナリスト。82年『曽おばさんの海』(第七回ノンフィクション朝日ジャーナル大賞受賞)九六年『近くて遠い祖国』(ゆまに書房)
【あとがき】
1992年に万愛花さんと出会った時のショッキングの一幕が頭に焼きついた。
三年後、日本の国会で終戦50周年を際にして通称「不戦決議」という議案が採択された。多くの日本の政治家の持つ戦争認識に危機感を持った。もっと戦争の真相を知りたい、日本の演壇に倒れた万愛花さんと、健康状態で日本に来られなかった侯冬娥のことを気にして中国山西省へ現地の歴史調査に出かけた。それからあっという間に10年という時間が流れた。使命感、責任感のようなものを感じて、いつか本にまとめたいと思いながら月日が流れた。
日中の歴史問題については、これまで政府主導でやり取りがなされてきたが、歴史の事実は充分に調査されたとは言えず、私たち戦後世代にはその真相、詳細を知る機会が少ないところから、ゆがんだ感情的な対立を生じさせ、両国民間の不信、嫌悪感を増幅させたようになった、と私は思う。
加害者側である元日本軍人たちへの取材と交流は、加害者側の人間に対する私の認識を変化させた。はじめて山西省の戦争被害者たちと出会い、彼女たちの訴えを耳にし、その体に刻まれた数々の傷跡を目の当たりにした時には、人間の仕業と思えないことをした加害者の日本人への怒りが胸にこみあげてきた。初めは犯人探しのような気持ちで日本軍兵士を探した。沖縄戦でほぼ全滅し、生き残った数少ない兵隊と会うと、私の想像とは違って、どの方も残虐さなど微塵も感じさせないであった。
 その時、思い出したのは「恨罪不恨人(罪を憎んで人を憎まず)」という中国古来の言葉であった。例え相手が過去に大変な間違いを起こし罪を犯しても、その人間を憎むのではなく、重要なのは、彼らが証言したように、「天皇を頂点とした当時の教育、社会風潮」が彼らをそのように形成させたということだ。証言で知ることができるのは戦争犯罪の痛ましい事実である。これに十分に耳を傾け、戒めとすべきである。

今年に入って、北京の中国文聯出版社から「血涙ガイサン蓋山シー西(血と涙の蓋山西)」というタイトルで中国語版を出版したが、若者の間で大きな反響をよんだ。中国の『人民日報』の書評では「視角独特、引人入勝(見る角度が独特で、興味津々だ)」と評価された。独特の着眼点を持つ、という意味は、大変ショッキングな性暴力被害についての調査を、被害者側だけの立場から感情的に加害者側を追及し、また中国国内で日中戦争の歴史が書かれる場合必ずと言っていいほど抗日戦争における共産党の役割を事実以上に強調するという従来の書き方ではなく、<何があったのか>、という歴史事実を追うことに努力した点を評価してくれたのだろう。このような書き方は、一般の中国人には目新しく見られたのだろうか。

残念ながら、21世紀に入ってから、中国では愛国主義宣伝政策を強め、日本でも憲法改正への動きをはじめとして時代を逆戻りするような現象が「国」主導によって起きている。しかしその現象も一口に言えるものではなく、その内側では、中国でも単に日本の損害賠償を求める民族派グループだけではなく、民主化を政府に求めたうえで日本の賠償問題を考え、歴史の事実を知ろうとする民主派グループなど市民側の動きがあり、日本においても、戦争へつながる動きを止めようとさまざまな方法で活動している市民グループがある。そのお互いの和解をめざし、自分たちの国も変えていこうとする人びとの存在はメディアには出てこないし、お互いに知られていない。情報化社会になったこの時代には、国と国の問題、また歴史の問題を捉えていくには、両国の市民の連携、共同作業が重要になってくるだろう。

本文でも紹介したが、外国人として日本で生活するなかで私は多くの日本人に助けられた。中学生時代に日本語を教えてくれた中国残留日本人婦人の曽おばさん、一度だけの面識しかない私と手紙のやり取りによって日本留学を実現させてくれた望月光子さん。生活に困っていたとき寄宿させてくれた東海寺の元住職の大嶽義方和尚。お三方とも故人になってしまったが、共通するのはどの方も戦争世代であったという点である。
彼らが私にこれからの日本と中国の心の和解、架け橋役を私に託したといつも思い、これで恩返しをしたいという気持ちもある。
【推薦します!】
小森陽一・東京大学教授・・・・・ 日本軍の性奴隷とされた一人の女性ガイサンシーの、誰にも語れなかった心の奥底を解きあかす言葉。人間が人間であることの尊厳を奪う戦争が、最も弱い女性の心に刻んだ傷を、私たちは共有していく。

田中優子・法政大学教授・・・・・ 従軍慰安婦はいなかった? いや、従軍慰安婦などという生やさしいものではなかったのだ。普通の生活を送る女性たちに、ある日突然襲いかかり人生を持ち去ってしまった暴力。闇の向こうからその正体が見えてくる。

熊谷博子・映像ジャーナリスト・・・・・ 私たちは、彼女たちが受けた心と身体の痛みをどこまで理解しているのだろうか。でも涙を流し、愛と尊敬の思いで必死に抱きしめ、ともに怒り、伝えることはできる。世の中を変えるのだと、あなたと姉妹たちに約束をしたい。新しい勇気をもらった。
【読者から】
梨の木舎御中
 先頃貴社発行の班忠義著『ガイサンシーとその姉妹たち』を読みました。
 中国の女性たちが受けたあまりに苛酷な肉体的・精神的苦痛に頁を閉じ、読み進めるのがつらいことが何度もありました。日本の占領時代だけでなく、社会主義中国となっても、貧困や差別に苦しむ女性の姿に胸が痛みます。
 著者紹介にあった『近くて遠い祖国』『曽おばさんの海』を図書館から借りて読みました。
どんな逆境にあっても、人としてのやさしさ、ぬくもりをもって精一杯生きている女性たちに注ぐ暖かい視線、そしてその女性たちの言葉を通して、歴史や社会を正しく見ることの必要を読者に訴える著者に敬意を表します。
2006/10/12 日野市在住 Y・I
【世界5月号】でも紹介されました。
岩波書店発行『世界』5月号(2007年)に倉橋綾子さんが「『ガイサンシーとその姉妹たち』から見えてくるもの」を執筆されております。この国の指導者はいまだ「過去」と向き合わない姿勢に、この本のもつ意味・意義について書いてくれました。
【赤旗 2007年3月30日 班さんと内海愛子さんとの対談】
赤旗で班さんと内海さんが、日本軍の性暴力追うドキュメンタリー映画
『ガイサンシー<蓋山西>とその姉妹たち』をめぐって対談!記事が大きく掲載されました。
また4月8日には「本と話題」の欄でも取り上げられました。
「安倍首相は国会で〈官憲が家に押し入って人さらいのごとくつれて行くという強制性はなかった〉と述べました。この発言の誤りを示し、歴史の事実を突きつけるのが班忠義著『ガイサンシー《蓋山西》とその姉妹たち』です。暴力的に連行・監禁され、性暴力を受けた中国山西省の被害者たちの証言を同国人の著者が十年がかりで聞いた記録です。」と
「朝日新聞」 b版にmo@chinaを連載中の莫 邦冨が「ガイサンシーとその姉妹たち」を取り上げました。8月4日掲載
【朝日中学生ウィークリー9月13日 「ブックパラダイス」で紹介されました