ここに来る前はどんなことをなさってたんですか。
逮捕されたときは海軍にいました。

どこの基地にいたのですか。
メイン州バーンズウィック[航空基地]です。

エリートコースですね。
大したもんでしょ。

ハイスクールを出てすぐに入ったんですか。
いいえ、2年待ちました。その間、バイトをしながら、自分はどういうことをすることになるのか、よく考えておこうとしました。

小学校らか高校までの間、どんな子どもだっんですか。
たんなる普通の子ども、だったと思いますよ。ごたごたには巻き込まれないようにしていたし、学校のこともやりました。遊びもしました。

友達はたくさんいましたか。
ああ、そうです。

今でも?
(笑う)

なぜいないんですか。
逮捕されたとたんに皆が僕に見限りをつけたんですね。人目を気にした者もたくさんいました。。すっかり僕が有罪だと思い込んだやつもおおぜいいて。マスコミの宣伝のせいだと思います。

自分は無罪だと信じておられると理解していいですね。
ええ。

自分は無罪だと信じているのに有罪だという判決が朗読されるを聞いたとき、どんな気持でしたか。
正直なところ、法廷での裁判のやり方のせいで、あんまりショックを受けることはありませんでした。彼らは何があろうと僕を有罪にするつもりだったのです。僕はそのように準備をされていたのです。世間でも相当な宣伝が流され、マスコミと地域の一部の団体が、僕を有罪にするよう圧力をかけたのです。

ここに2年間おられるわけですが、一番つらいことは何ですか。
家族と接触できないこと。特に家族はここにとてもよく来てくれるので。妻はいつも来てくれます。家族が帰っていくときの気持は、ほんとにねえ、辛いです。夜横になって眠ろうとしていても、家族のことや、ここにはないいろんなもののことを考えてしまいます。妹のこととか。まだハイスクールなんです。いっしょに育って、辛いことがあれば、いろいろ助けてやった妹なんです。

さぞ不満なことでしょう。海軍は大変じゃありませんでしたか?
いいえ、楽しかったですよ。

じゃ戻りますか?
いいえ。

どうして?
最初に入隊したとき、軍に入るっていうのは大きな家族の一員になるようなもので、向こうはこっちの面倒を見る、こっちも向こうのためを考えろって言われたんです。誓約もしました。僕は自分の生活を、国に奉仕するために、捨てたんですよ。それなのに、僕が逮捕されると、2日目にお払い箱です。このことで僕に何一つ聞きもしないで。僕は少なくとも部隊の指揮官くらいは味方してくれると思っていました。何かしてもらえると期待していました。でも何もしてもらえませんでした。

逮捕されてから、たくさんの人たちからひどい仕打ちをされたと言うことですね 。
家族は別です。

友達ですね。
そうです。大半は友人です。

ここには友人はたくさんいますか?
いいえ。

どうしてですか?
僕は一人で入りました。出て行くときも一人でしょう。

新聞は読みますか。
いいえ。あんまり読みません。スポーツ記事は読みます。テレビでフットボールを見るとか。

ひいきのチームはありますか。
ネブラスカ・コーンハスカーズです。

今年のコーンハスカーズの見込みはどうでしょう。
全米優勝です。今は全米第3位で、様子を見ていると全米優勝できそうです。あのチームは僕がこの州でただひとつ好きなものですよ。好きでないものはたくさんあります。特に税金が。いつもおふくろが税金のことでカリカリきているのを見ています。政治もいやです。それにこの州は退屈です。あんまりぱっとしたことは起こりません。みんな税取り放題の州だと言っていますよ。

今の世界のどこがまちがってると思いますか。
まちがってないところを探したほうが早いでしょう。僕が大きな問題だと思うのは、少なくともアメリカに関するかぎりは、親が十分に時間を子どもと過ごさないことだと思います。両親とも働いてることが以前より多くなったし。片親のうちも多くなったし。両親そろった家庭が不足しているのです。ぼくが小さいとき、いつも学校から帰ると父がいたもんです。今どき、そんなことはまずありません。

テレビ番組の暴力シーンは現実の暴力事件に影響していると思いますか。
この部屋に入る前、ぼくが外て待っていたとき、皆で話していたのはレスリングのことでした。僕はレスリングを見るのをやめました。今では女のレスラーを登場させて、それを大男たちがボディスラムをやったり、頭の上から椅子で叩いたりするところを見せたりしていますね。なんで皆あんなものを見るのか僕にはわかりません。あれはとにかく正しくありません。見物人の中には子どももおおぜいいるんです。その子たちが、リングで女性が殴られているのを見れば、当然、女をなぐってもいいと思い込むようになります。特に親といっしょに見ていればね。ほんとにぞっとします。

ほかにテレビが子どもに間違ったメッセージを与えていると思うことはありますか。
たいていの映画やショーでは、悪者が騒ぎを起こしますよね。乱暴な恐ろしい場面です。そして犯罪を見せます。とにかく、少なくともショーでは、たしかに悪者が問題を起こすところを見せているのです。

フットボールはどうですか。あれは男たちが殴りあいをしてもいいということも示すものではありませんか。
それはちがうと思います。あれは本気で殴り合ってはいませんから。それに、ほんとに乱暴なことをしても、その報いはあるということが誰の目にもわかるようにしています。最近、相手チームの選手を抱えてあげて地面に投げ落とした選手がいましたが、彼はクビになりました。たくさんのテレビのショーに出て謝罪して、自分が詫びたことが誰にもわかるようにしたし、二度とそんなことはしないということも表しました。

ここで暮らすあいだ、その年月を不当に奪われているという感じがしませんか。
僕は仕事についたばかりでした。結婚したばかりでした。自分の未来と家族を打ち立てるのを楽しみにしていました。それがみんな奪われてしまいました。ここから出たら、また全部やり直さなければなりません。

それはできますか。
ええ。そうしなくちゃならないんです。


2001年5月 無罪判決を受け、釈放される。