事件現場と関係者たち

1999年2月に現場に行って来ました。そのときの私の見た感じから言うと以下の地図は若干印象が異なる気がします。

今井恭平

DF:
ダニエル・フォークナー巡査 26歳
フォークナー巡査は、頭部と背中を撃たれていた。頭部の傷は、4フィート(約1メートル20〜30センチ)以内の近距離からの銃撃によるもの。弾丸は背中の上部から進入し、頸部の左前部に貫通していた。
MAJ:
ムミア・アブ・ジャマル(本名 ウエズリー・クック)
フォークナー巡査が撃った38口径の銃弾はジャマル氏の右乳首のすぐ下に命中。右肺、横隔膜、肝臓を切り裂いて脊椎の直前で止まった。警官隊が駆けつけたとき、自分自身の血だまりの中に座り込んでいたジャマル氏は、警官達から激しい暴行を受けた。救急病院に運ばれた時、ジャマル氏の額はざっくりと割れ、左目と顔の右半分が腫れ上がっていた。
警官達は現場に到着してすぐ、まだ状況も分からないはずなのに、倒れている二人の男のうちの一方を、他方を撃った犯人となぜ決めつけて暴行を働き、逮捕したのだろうか?
RC:
ロバート・チョバート(Robert Chobert) ユナイテッド・カブ社のタクシードライバー(23歳)。ローキャスト通りの南側で、フォークナー巡査のパトカーからクルマ一台分後ろに駐車した自分のタクシーの中に座っていた。
BC:
ウイリアム(ビリー)・クック(William ("Billy") Cook)
アブ・ジャマルの弟。交通違反の嫌疑で、フォークナー巡査から車を道のわきに止めるよう命じられた。ローキャスト通りと13番通りの交差点に車を寄せて停止。巡査との間でもめ事がおこった。(図ではパトカーの右側にあるVWフォルクスワーゲンが彼の車)
ワーゲンにはビリー以外にも搭乗者がいたが、その人数や、事件後どうしたのかなどはいっさい明らかでない。
JF:
ジェームズ・フォーブス巡査 (Officer James Forbes) 29歳。
射撃事件がおきた直後に現場に到着した。(図上には示されていない)
RH:
ロバート・ハーキンス・ジュニア(Robert Harkins Jr.) 42歳。ブロード・ストリート方向から来て、ローキャスト通りの東側を車で通過中だった。そして現場で車の速度を落としたが、停止したことが明らかになっている。
WH:
ウイリアム・ハーモン(William Harmon)38歳。ローキャスト通りの北側でアブ・ジャマルを呼びとめて話をした。彼によれば、射撃がおきたとき、ムミアは現場から1ブロックも離れた場所にいて、道路を渡っていった。
DH:
デシー・ハイタワー(Dessie Hightower)22歳。ローキャスト通りと13番通りの交差点の北西のコーナーに立っていた。
VJ:
ヴェロニカ・ジョーンズ(Veronica Jones)売春婦。20歳。犯行現場から1ブロック東側のローキャスト通りと12番通りの交差点に立っていた。
DK:
デビー・コダンスキー(Debbie Kordansky)29歳。犯行現場を見下ろす位置にある、セント・ジェームズ・ホテルの自室でテレビを見ていた。
AM:
アルバート・マギルトン(Albert Magilton)。13番通りの西側からローキャスト通りを北側に向かって渡る横断歩道の途中にいた。
MS:
マイケル・マーク・スキャンラン(Michael Mark Scanlan)。自分の車、フォードのサンダーバードに乗って、赤信号待ちでローキャスト通りに停止していた。
WS:
ウイリアム・シングレタリー(William Singletary)。95年8月の再審請求のための審問の際に、2人の人物がフォークナーを撃つところを見た、と初めて証言した。
CW:
シンシア・ホワイト(Cynthia White)売春婦(22歳)。事件が起きたとき、交差点の南東の角にいた、と主張している。しかし、4人の証人が、彼女がそこにいたのを見た記憶がない、と証言している。
? :
真犯人とおぼしき人物が、ローキャスト通りを東側に向かって走って逃走するのを、複数の証人が見ている。しかし、警察はこの人物を捜索しようとせず、裁判でもいっさいこの男の存在は無視された。