セイボ判事、パメラ・ジェンキンズの
証言をしりぞける


 1997年6月26日から7月1日まで、フィラデルフィアで新たな証人、パメラ・ジェンキンズの証言のヒヤリングが行われた。一審(1982年)で死刑宣告を行い、1995年の再審請求でも、みずから自分の裁判の再審請求をしりぞけたアルバート・セイボ判事は、7月24日、ジェンキンズをはじめとする弁護側証人の証言のすべてをしりぞけ、他方、検察の言い分をすべて認めて、ムミアのポスト・コンビクション・リリーフ(人身保護請求)を却下する決定を下した。

6月26日から7月1日までのヒヤリングの詳細なレポートは、ここをご覧下さい。(英文)

 1981年12月の事件当時、フィラデルフィアで警察への情報提供者であったジェンキンズさんは、当時のボーイフレンドでもあった警官のThomas Ryan氏から、ムミアがフォークナー巡査殺しの犯人だと証言するように頼まれたこと、自分は現場にいもしなかったので、断ったが、シンシア・ホワイトという女性をThomas Ryan氏に紹介したことを告白している。そのシンシア・ホワイトこそ、ムミアに対して、もっとも不利益な証言をした「目撃者」でありながら、さまざまな疑惑の焦点にいる女性である。

 弁護側は何度もホワイトの再喚問を要求してきたが、警察・検察は彼女は事件以来行方不明だと言い続けたきた。しかし、彼女は警察の保護下にあるのではないかという疑惑がもたれている。

 今回、警察は、ホワイトはすでに死亡していて、証言できないと述べた。しかし、ジェンキンズさんは、ホワイトをごく最近目撃し、しかも彼女はジェンキンズさんを見るとあわてて車に乗り込んで逃げようとした。その車を運転していたのは、ジェンキンズさんのよく知っているフィラデルフィアの警官であった、と証言している。

 ホワイト死亡説の唯一の根拠は、シンシア・ウイリアムズという死亡した女性の不鮮明な指紋がホワイトのものと一致したという警官の口頭の証言だけであり、指紋そのものは法廷に提出されておらず、またホワイトの指紋のコードナンバーと死亡した女性のコードナンバーも一致していない。

 今回のセイボによる決定は、95年の再審請求却下の件を現在なお審理中のペンシルバニア州最高裁に伝えられる。この結果が、最高裁の再審請求の可否の決定に影響を与えるものと考えられる。

 トム・リッジ州知事は、州最高裁が再審棄却の決定を出し次第、死刑執行命令書に再度署名する用意がある、と述べている。

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