4月28日の交渉を踏まえた、
渦電流探傷検査の精度、「中間貯蔵施設」等に関する質問



関西電力社長 藤 洋作 様

2003年6月11日


I 炉内計装筒管台および上蓋管台に関するもの

 ECTの検出性能と傷の「判定基準」について、これまでの貴社の回答をまとめると以下の表になります。炉内計装筒管台における傷の「判定基準」は3mmですが、実機条件でのECT(プラスポイント型)の検出性能は分からないとのことでした。
炉内計装筒管台 上蓋管台
実験レベルでのECTの検出性能 0.5mm 1mm
実機条件でのECTの検出性能 不明 3mm
「傷」の判定基準(※維持基準のため) 3mm なし

(1)炉内計装筒管台における実機条件でのECTの検出性能は深さ何ミリメートルですか。

(2)上蓋管台における実機での検出性能は3mmとのことでした。他方、1995年に公表された上蓋管台についての「関西電力の渦電流探傷検査状況(平成7年12月末現在)」の表の下には「装置の検査精度 約1mm」と記載されています。この点について質問します。

1. 例えば深さ2mmの傷があったとしても、「関西電力の渦電流探傷検査状況」では損傷本数ゼロとして公表していたということですか。

2. このような渦電流探傷検査の結果はこれまでに、国、福井県に対して報告されていますか。報告されている場合、「装置の検査精度 約1mm」と報告されているのですか。

3. また、国、福井県に公表した検査結果そのものを開示してください。

4. 1995年時点での実験レベルの検出性能が約1mm、実機条件の検出性能が3mmなのですから、その根拠となる実験結果や資料が存在するはずです。実験が行われた年月日および資料を提示してください。

(3)「これまで告示501号の解釈はあいまいで、運転中の場合でも告示501号の材料規格の考え方を適用し、基本的に傷があれば補修してきた」が「傷があっても告示501号の構造規格の方で規定されている強度や肉厚を満足していれば良いという解釈が最近になって明確になったのだ」とのことでした。この点について質問します。

1. 解釈が「明確」になったのはいつの時点ですか。年月日を明らかにしてください。

2. 「明確」になるに至った経緯および根拠とした事実資料等を具体的に明らかにしてください。

3. 東京電力や貴社はこれまで、告示501号の理解が「あいまい」だったため、不要な補修を行っていたということですか。

(4)炉内計装筒管台におけるSCC発生の可能性について質問します。

1. 炉内計装筒管台は上蓋管台よりも応力が大きいため、上蓋管台よりもSCCが発生しやすいとの説明でした。また、「美浜発電所2号機 容器の技術評価報告書」では「炉内計装筒については高応力条件であり、運転の長期化に伴い応力腐食割れ発生の可能性は否定できない」とされ、「最も条件が厳しい炉内計装筒」と書かれています。炉内計装筒管台は原子炉容器でSCC発生の可能性が最も大きい部位であり、SCC発生は否定できないと確認して良いですか。

2. WJPによって「引っ張り応力が完全に緩和されたのでSCCは問題にならない」とのことですが、WJP実施後の計装筒管台のSCC発生予測時間は評価していますか。評価している場合、発生予測時間をプラント毎に明らかにしてください。

(5)上蓋管台において初期の傷深さを3mmとした場合、傷の進展速度は年当り2mmとのことでした。同じように炉内計装筒管台において初期の傷深さを3mmとした場合、傷の進展速度は年当り何ミリメートルになりますか。

(6)上蓋管台の維持基準に関して、NRCインスペクション・マニュアル 2002年10月18日に書かれているとのことでした。この内容を説明してください。


II 「中間貯蔵施設」に関するもの

(1)2001年4月時点で貴社は社長のコメントとして、中間貯蔵施設の建設候補地点は「4地点」であるとしていましたが、現在は「複数地点」として地点数を明確にしていません。このことについて質問します。

1. 「複数地点」に変ったのはいつの時点ですか。年月日を明らかにしてください。

2. 地点数を明示することを取りやめた理由は何ですか。

3. 「複数地点」とは4地点よりも多いですか、少ないですか。

(2)中間貯蔵施設の建設計画について確認します。
・建設は一地点であるが、複数地点を候補として検討している
・その候補地点の中に御坊市は含まれていないし、中間貯蔵施設の件で御坊市と接触を持ったことは一度もない
・福井県に建設することはない
以上の確認で良いですか。

(3)御坊市でおこなわれた市議等主催による中間貯蔵施設についての学習会で、貴社の担当者が講師として話をしたとのことですが、その場で「御坊市は計画に入っていない」と説明したのですか。そうでないなら、どのような説明をされたのですか、明らかにしてください。また、学習会で講師をした方の所属と地位を明らかにしてください。

(4)使用済み燃料を「どの再処理工場に持っていくかは不明」とのことですが、六ヶ所再処理工場の場合、搬出は何年後になりますか。また、貴社のウェブサイトでは「第二再処理工場」に運び込むという趣旨の記述がなされています。六ヶ所再処理工場に搬出するのであれば、ウェブサイトの記述は間違っていることになります。なぜ訂正しないのですか。

(5)「中間貯蔵施設」で50年間貯蔵した後、使用済み燃料を別の「中間貯蔵施設」に持っていくということも、選択肢に入っていますか。

(6)中間貯蔵後に再処理して取り出したプルトニウムは貴社の原発で使用するとのことでした。どの原発で使うのですか。既存の原発の中で50年後に稼動しているものはありますか。また、貴社の計画では50年後に何基の原発が稼動していますか。

(7)使用済み燃料を長期保存するために、原発サイト内に乾式の貯蔵所等を作ることはしないとのことでした。この確認で良いですか。

(8)貴社は高浜原発に使用済燃料輸送容器保管建屋(輸送容器8基分)を設置しようとしています。

1. この保管建屋を建設するのはなぜですか。「搬出作業を円滑に行うために」では良くわかりません。詳しく説明してください。

2. この保管建屋では、使用済み燃料の保管期間はどれくらいですか。

3. 他にも、このような保管建屋を建設する予定があるのですか。

(9)貴社の藤洋作社長は電事連の会長でもあります。新聞報道によれば、電事連の試算として、2045年までの再処理費用のうち、9兆1千億円分が資金手当の目途がついていないとされています。その内訳として、中間貯蔵費、MOX燃料の加工費、海外から返還される放射性廃棄物の貯蔵管理費等があげられています。再処理費用の試算の中に、なぜこれら費用が含まれるのですか。


III 美浜3号機の炉内計装用コンジットチューブで新たに見つかった傷に関するもの

(1)傷が見つかったコンジットチューブは「構造健全性に問題はない」とのことですが、なぜ取り替えるのですか。

(2)傷の発生と配管に貼り付けられた塩化ビニールテープにはどのような相関があるのですか。ビニールテープを貼り付けていた箇所は何カ所ですか、部位も含めて明らかにしてください。

(3)なぜビニールテープが貼り付けてあったのか、理由を説明してください。

(4)新聞報道によれば傷の深さは最大2.7mmとのことですが、すべての傷について深さを明らかにしてください。

(5)全原発のコンジットチューブすべてについて、浸透検査等の詳細な検査を行うべきではありませんか。


IV 内部告発で明らかになった2次系ポンプ据付台板での不良溶接に関するもの

(1)三菱重工から報告を受けた内部告発の内容を開示してください。

(2)不良施工の可能性がある溶接箇所は何カ所ですか。また、その溶接箇所を図示してください。

(3)不良施工の可能性がある溶接箇所の非破壊検査(UT等)の検査内容およびその結果を明らかにしてください。


V MOX燃料製造契約に関するもの

(1)前回の交渉では、MOX燃料製造契約に関して、BNFL社ともCOGEMA社とも交渉はまだ始めていないということでした。これは、現在でも変わりありませんか。

(2)地元の了解なしには、契約に関する交渉は行わないという理解でよろしいですか。


VI 劣化ウランに関するもの

(1)5月20日の電話回答で話されていた、米USEC社との間でかわした「関電の劣化ウランは劣化ウラン弾に使用しない」という確認書を公開してください。

(2)この確認文書は、2001年7月にかわしたとのことでした。

1. 確認書の日付は7月何日ですか。

2. 確認書をかわした場所はどこですか。

3. なぜこの時期に、確認書をかわしたのですか。

(3)電話回答では、「関西電力がひきとらない劣化ウランについては、USEC社が管理することとなっており、アメリカの国内法規に基づいて保管管理されていると理解している。」とのことでした。貴社の劣化ウランが劣化ウラン弾の原料として使用されていないことを保証するために、貴社としては「USEC社の管理」がどのように行われていると確認しているのですか。

                                                        2003年6月11日

      グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
                京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

       美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
                大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル1階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581