セラフィールドの再処理工場閉鎖は原子力の夢を終わらせる
Sellafield shutdown ends the nuclear dream


18億ポンドを費やし無限の電力を約束したソープ再処理工場は、
2010年までに閉鎖
[注:18億ポ ンドは約3300億円]

2003年8月26日 ガーディアン
ポール・ブラウン、環境特派員



セラフィールドのソープ再処理工場の運転は、かつては21世紀を通じて無限の電気を生産するというその約束によって、英国原子力産業の救世主として賞賛されたが、それは2010年までに閉鎖されることになった、とガーディアン紙は暴くことができる。

わずか9年前に18億ポンドをかけて運転を開始したこの施設は、BNFLによって閉鎖されていくことになっている。BNFLはこの施設を、廃棄物処理施設に切り替えることを目論んでいる。

セラフィールドのサイト管理者であるブライアン・ワトソンは、会社は生産会社から核廃棄物処理会社に変わる、とガーディアンに語った。再利用を目的に再処理を行い、プルトニウムとウランを使用済み燃料から抽出する日は、もう終わりが見えている。

「ここには300億ポンドの価値がある廃棄物処理の仕事があります。私たちは再処理から廃棄物処理の仕事へ移っていきます。これはもっと肯定的に見られることを私たちは望んでいます。」

再処理は原子力の夢だった。今、再処理で回収された75トンのプルトニウムと3336トンのウランがセラフィールドにある。それら全ては貯蔵され厳密に保護されているが、明白な使い道はない。

ワトソン氏は大臣らを非難するかのごとく述べた:「この全てをどう扱うべきか、政府から何らかの決定を下してもらえば、それは私達の状況を大きく助けるでしょう。」

BNFLはいくつかの大失敗を犯してきた。つい最近では、1999年の燃料品質ねつ造スキャンダルであるが、しかし変化していいる、と彼は述べた。

「私たちは終身雇用的思考、変化への抵抗、コスト・プラス契約など、規律がないものを取り除いてこなければならなかった。この施設は、回転するにはある一定の努力を必要とする超大型タンカーに似ている。私は変わろうとしない人々を解雇しなければならなかった。そして彼らは去っていった。私たちは、再処理の使命を廃棄物処理という使命に変更した。」

BNFLは、現在410億ポンドと見積もられている負債を抱えており、2年前に事実上破産して以来、セラフィールドの所有者から管理会社に変更されている。政府は、その資産と負債を引き継ぐために、原子力解体機構を新たに設置している。

ソープ再処理工場は、1994年、必要性と正当性について高等裁判所で争った後、運転が開始された。日本から大量の使用済み核燃料が輸入され、再処理される契約があるため、会社は、英国最大の円の稼ぎ手になるとソープを自慢した。

施設に対する反対は、必要のないプルトニウムとウランを生産するという事実に基づいていた。またその過程は、さらに扱いにくい放射性廃液をも生み出し、いずれは最終処分出来る使用済み燃料の貯蔵より、全てにおいてはるかに高いコストがかかる。

ソープは10年間で7000トンの使用済み燃料を再処理することになっていたが、現在その目標に対し数年遅れており、また設備能力の約50%で操業している。これは、再処理によって生み出される危険な液体廃棄物が、政府の安全規制当局を満足させるために十分早く処理できていないからだ。施設は、現行の契約を履行した時に閉鎖される。その見通しは2010年だ。

ソープの閉鎖は、国防省が核兵器用プルトニウムを分離するために1950年代に建設したさらに古い再処理工場の2年前になるだろう。この施設は、全ての古いマグノックス型原子力発電所(それらは国の電力の8%を現在生産している)が閉鎖される2012年まで運転を延期するだろう。全ては赤字で操業しているが、電力供給のために必要だ。

より近代的な発電所と異なり、マグノックス炉の燃料は、再処理以外の処分方法はない。なぜなら、燃料はマグネシウムに覆われており、それが水中で冷却されると急速に劣化するからである。再処理工場はそれぞれ1000人の人々を雇用する。

セラフィールドの状態に関するワトソン氏のコメントは、ソープの再処理とガラス固化施設両方の業績を誇示していた先月のBNFL年次報告とは、際だって対照的であった。

ワトソン氏は、再処理がうまく進展するにはガラス固化技術をマスターする事が秘訣だと認めた。施設は年間600のガラス固化体を生産するために2つの生産ラインを持つよう設計され、これは非常に危険な50年間分の液体廃棄物を安全にするのに十分な能力だ。これらのタンクは、ヨーロッパの施設のうち最も高レベルな放射能を含んでいる。

そのガラス固化施設は、ひっきりなしに故障した。高レベル放射線が、電気ケーブルとそれらを運転するために必要な他の機械類を破損することが主要な理由である。

10年目に第3のラインが建設された、そして現在の目標は、3つのライン全部を一緒に使って、年間500のガラス固化体を製造することである、それは50年前からいつまでもタンクに貯蔵されている廃棄物の量を減らすことには十分だが、ソープがフル生産に至るには十分ではない。

再処理が消え去れば、そのサイトで残る唯一の加工は、プルトニウムとウランの酸化物から核燃料を製造する施設になる。昨年操業を開始したばかりのMOX工場は、ソープ再処理工場からのプルトニウムを使う。ワトソン氏は、この施設はこのまま閉鎖せず、サイトで貯蔵されている75トンのプルトニウムのうちのいくらかを使用することができると言う。

「理想を言えば、私はプルトニウム燃焼炉を建設し、その燃料を作るためにMOX工場を使用したい。サイトの他の施設は、冷戦で生じた汚染された膨大な廃棄物を処分することに専念することができる。しかし、これらは政治判断です」と彼は述べた。