英仏は、再処理工場を直ちに閉鎖せよ!放射性廃液の垂れ流しをやめろ!

グリーン・ピースの「OSPAR2000」キャンペーン・ホームページに注目を!


 BNFLスキャンダルの影響で、ヨーロッパでは再処理即時中止を求める動きが、北欧諸国やアイルランドを中心に強まっています。6月26日〜30日の日程で、デンマークのコペンハーゲンにおいてOSPAR(北東大西洋の海洋環境の保護を目的にヨーロッパ16カ国が加盟している会議)の2000年会議が開催されます。すでにデンマークとアイルランドが、ヨーロッパの全再処理工場―ラ・アーグ、セラフィールド、ドーンレイの即時閉鎖を要求する提案を出しています。フィンランド、アイスランド、ノルウェイ、スウェーデンは、この提案に賛成するだろうと報道されています。
 OSPAR会議の関心は、再処理工場から毎年大量に垂れ流される放射性廃液による海洋汚染にあります。グリーン・ピース・インターナショナルは、OSPAR会議開催に向けて、再処理工場の放射性廃液垂れ流しを中止するよう加盟国政府に働きかけるキャンペーンをホームページ上で呼びかけています。
 ホームページには、再処理の罪状と放射性廃液による深刻な汚染の実態をまとめたグリーン・ピースの『SAVE OUR SEAS 2000年6月』というレポートが紹介されています。ここでは、このレポートから放射性廃液による汚染の実態を紹介します。 (全文【英語】はhttp://www.greenpeace.org。)
『SAVE OUR SEAS − プルトニウム再処理と海の汚染』
もくじ
・はじめに
・再処理とは?
・核拡散リスクが増している
・海への放射能垂れ流し
・放射能に安全なレベルはない
・汚染プルトニウム工場
  ラ・アーグ
  セラフィールド
  ドーンレイ
●ラ・アーグ再処理工場
・仏・コジェマ社が1994年にUP2、1989年にUP3が操業を開始し、年間1600トンの再処理能力がある。
・トリチウム、ストロンチウム90、セシウム137、ヨウ素129、コバルト60、ルテニウム106、アメリシウム241等多種の放射性物質が、工場から大気中と海に放出されている。
・ヨウ素129は、1995年時点で、1980年のレベルの10倍も多く放出されていた。1年間で放出されるヨウ素129は、世界中で50年間に行われた核実験によるヨウ素129の5倍。
・放射性廃液の汚染は、ノルウェイや北極海にまで広がっている。ノルウェイ南西部には、ラ・アーグからの汚染が15ヶ月で流れつくという研究結果も出されている。
・1997年に続いて、今年4月に、グリーン・ピースが、廃液放出パイプの先端で廃液のサンプリングを行った。コバルト60、ルテニウム106、アメリシウム241が検出された。コジェマは、5月に予定していた廃液放出を延期した。
・1996年にラ・アーグ周辺での被曝と小児白血病発生の因果関係、ラ・アーグ周辺の海岸で過ごした時間、魚介類の消費とガン発生の因果関係を指摘する研究が発表された。

●セラフィールド再処理工場
・現在、BNFL社が、B205再処理工場とTHORP再処理工場を操業している。
・1985年にNRPB(英国放射線防護局)は、海水の水しぶきのせいで、セラフィールド周辺のハウスダストのプルトニウム汚染は、イギリス南部の400倍も高いと報告した。
・ドイツの科学者は、セラフィールド周辺のセシウム汚染はビキニ環礁の5倍〜12倍にもなると報告。
・1980年代に、大衆運動の力で、放出量を削減させたが、1994年のTHORP工場の操業開始にあわせ、政府は、廃液と希ガスそれぞれ、年間900%〜1100%放出増を認めた。
・1993年から1995年に放射能放出レベルは倍になった。その中でも、テクニチウム99は、27倍以上に。1996年の政府調査で、セラフィールド近海で捕れた魚介類のテクニチウム99濃度は、1993年の40倍以上だった。1996年のBNFLの資料によれば、アイリッシュ海のロブスターのテクニチウム99濃度は、欧州会議が原子力災害時に住民に食糧汚染を知らせなければならないレベルの42倍以上だった。
・昨年、政府が新たに許可した放射能放出量は、ヨウ素129の大気中への放出を60%増やしている。
・セラフィールド再処理工場からの汚染は、アイリッシュ海、北海、バルト海、ノルウェイ、バレンツ、グリーンランドにまで広がっている。セラフィールドから9ヶ月で汚染は北海にたどりつく。
・最近の報告では、カナダの北極海にも、汚染が広がっていることが確認されている。

●ドーンレイ再処理工場
・ドーンレイ再処理工場は、1998年に再処理を中止している。政府は、MOX燃料の再処理用に再開を考えている。
・ドーンレイには、2つの工場があり、高速炉用再処理工場と、高燃焼度ウラン燃料研究炉用の再処理工場である。1996年に、高速炉用再処理工場で放射能漏れ事故があり、1998年6月に政府が工場の閉鎖を決定し
た。
・現在、敷地内の使用済み燃料の取り扱いをどうするかという問題が検討されている。@ドーンレイで再処理するAセラフィールドで再処理する、B乾式一時貯蔵する。どれを選択するか今年4月に政府は協議を開始し、6月には協議が終了する。
・1997年末に、スコットランドの環境保護庁が、ドーンレイの廃液放出パイプ周辺2キロ以内での釣りを禁止し
た。



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