ソープ漏えい事故最新情報─原子力施設検査局(NII)の改善通達
THORP Leak Update, NII Improvement Notices.

CORE[環境の放射能汚染に反対するカンブリア人の会] ブリーフィング
2005年6月17日


www.corecumbria.co.uk


この一週間は、ソープ事故のためにセラフィールドの経営責任者らの賞与が大幅に削減されるらしいという話でもちきりだったが、セラフィールドは今日、原子力施設検査局(NII)から、その事故に関する2通の改善通達を受け取った。通達のひとつはメンテナンス問題に関するもので、もうひとつは記録保持に関するものである。最初の調査を終了するとともに、NIIは約83立方メートルの燃料溶液の漏えいについての全面的な調査を開始している。英国原子力グループ・セラフィールド(BNGS)を、今回の事故を引き起こした件で起訴するか否かについてのNIIの判断は、全面的調査が完了する将来のある時点までなされない。

BNGSは、漏えいした溶液をソープの供給清澄セルの床から汲み上げる作業が、6月14日に完了したことを確認している。回収された溶液は、破損した配管と計量タンクBとを迂回し、床から、計量タンクAとそれにつながる(損傷していない)配管を経由して、調整槽に運ばれた。回収溶液は今のところ、セル内に3つある調整槽のうちの2つに保管されており、ソープの次の区画である化学分離施設へどのような方法で移送するのかという検討が開始されるまで、そこに置かれることになる。

セル床面からの溶液の回収は、かなりの数のバッチで実施された。最後の数バッチは、汲み上げ作業の前に、建設当初からセル壁面内に据えつけられていた配管洗浄システムから供給される(ガドリニウムを含む)硝酸洗浄液で処理された。表面に残留している硝酸溶液を取り除くために、どのような方法を適用するのかが検討中である。

回収溶液の化学分離施設への移送は、セル内の放射線レベルを下げることで、何らかの立ち入り補修作業の条件をよくするために、セルの破損配管を補修するあらゆる試みに先行して実施されることになりそうだ。今日現在、NIIはBNGSから修理計画をまったく受け取っていないし、そのような作業はかなりの期間にわたって実施されないと思われる。今のところありそうな手順としては、修理計画がいったんBNGSによって準備され、NIIによって許可される、そして、その計画と見積もりとがソープの新しい所有者である原子力廃止措置機関(NDA)から承認されなければならないというものである。

NDAがこの計画を認めるか否かは、財務省から余分な補助金がないもとで、BNGSがソープの修理費用を捻出するためにセラフィールド以外のところで計上されている予算をどのように厳しく削減するか、そしてこれがNDAに受け入れられるものかどうか、これらを含むいくつかの要因にかかっている。

BNGSは独自の調査委員会の終了にともない、5月27日にニュースリリースを発表した。そこでBNGSは、漏えいがおそらく、かすかな浸出として昨年8月に始まり、今年1月にはついに金属疲労によって破損したことを認めた。BNGSは、運転員がセル・サンプリングと他の計測を適切に行わなかった結果、漏えいが続いていることに気づかなかったことを認めた。金属疲労は、つり下げ式の計量タンクB(タンクは内容物の重量をはかれるように吊るされていた)に取り付けられた40o配管への応力によって起きた。4月18日のソープの運転員による漏えいの発見が、なぜ3日遅れの4月21日までNIIに正式に報告されなかったのか、これについてはいまだに疑問が残っている。

6月9日付け地元紙ホワイト・ヘブンへの発言で、セラフィールドの常務取締役バリー・スネルソンは、ソープが今年12月より前に再開する状況にはなさそうだと示唆した。今年ソープが運転を停止することによる減収は、約3億ポンドとされている−ここにはまだ修理費用は含まれていない。

セラフィールドの今年度予算として既に組み入れられているクリーナップ事業の考えられる削減という観点から、NDAはソープ工場からの収益の損失額をすでに計算している。ソープの永久閉鎖要求に回答して、NDAは6月2日の声明で次のように述べた。「ソープでの事故によって持ち上がった広範な複雑な問題があり、それらを適切に検討するには時間がかかるだろう、それゆえNDAはソープの将来についてはなにも決定を行ってはいないが、我々の見解を知らせるための多くの作業の準備を整えてきている」