セラフィールドMOX工場は[MOX燃料]引渡しの約束を果たせていない
−2年目の運転で

Sellafield Mox Plant fails to deliver - for the second year running.


2004年5月16日 COREプレスリリース

http://www.corecumbria.co.uk/newsapp/pressreleases/pressmain.asp?StrNewsID=193
CORE
(環境の放射能汚染に反対するカンブリア人の会)


BNFLがひじょうに自慢しているセラフィールドMOX工場(SMP)は、ベズナウ原発の今夏の毎年の燃料交換停止に間に合うようにMOX燃料注文品を引き渡すことができなかったために、またもや最初の顧客である北東スイス発電(NOD: Nordostschweizerische Kraftwerke)を失望させた。この工場のプルトニウム操業の遅延によって、スイスの注文品の引渡しはおろか、製造さえもまったく不可能となっている。

昨春、同様の失敗があり、BNFLはSMPの少なくとも2つの注文をフランスとベルギーの競争相手に下請けに出させた。政府の試算によれば、昨年の遅延と契約の喪失だけで、SMPが失った利益は1000万ポンドにのぼるだろう。今年の失敗からくる会計上、契約上の悪影響は、さらなる利益の喪失と顧客の信頼へのダメージという点でBNFLとSMPにとって大惨事となりそうである。

COREによる継続的な調査によれば、2年以上前の2002年4月に最初の酸化プルトニウム粉末が工場に導入され、その年にプルトニウム燃料製造ラインの放射性物質を使った操業が開始したにもかかわらず、SMP製造ラインの全ステージで放射性物質を使った操業が遅れていることが、1体のMOX燃料集合体さえ製造されていない原因である。

「このMOXの失態はBNFLにとって大きな困難となるにちがいない。このことは、経済的にも技術的にも進められないだろうという環境活動家たちの予測にもかかわらず、論争の余地がありながら工場に許可を与えた閣僚たちに警鐘を鳴らすことになるだろう。評判はすでにぼろぼろなので、もっとも親切な行為は、SMPをこの窮状から解き放ち、ただちに閉鎖することである。」とCOREスポークスパーソンは今日述べた。

SMPの製造ラインは、ペレット製造と燃料棒製造と燃料集合体製造の主要に3つのステージからなっている。最初の2つのステージではここしばらくの間、プルトニウムを使ったアクティブ操業が行われていると原子力施設検査局(NII)発行の四半期報告書では示されている。最近のNIIの確認では、MOXペレットを詰めた燃料棒を完成した燃料集合体にするために束ねる第3ステージのアクティブ操業がいまだに始まっていない。このことは、事実上、SMPが今年、スイス向けのMOX燃料を製造し、引き渡す機会を逃したことを意味する。

MOX燃料集合体が最終的に製造されるとすると、SMPにとっての最終ハードルは、装備が改良されたMOX輸出施設のアクティブ操業になる。この施設では、完成した燃料集合体を梱包し、顧客に引き渡されるために優先的に貯蔵されることになるだろう。

「燃料集合体製造ステージと輸出施設の両方のアクティブ操業は、数週間ではなくむしろ数ヶ月かかるだろう。これが完成し、NIIによって承認されるまでMOX燃料は1体もセラフィールドを出発することはできない。欧州の顧客たちは、SMPは成功の見込みがなく、工場の今後は核解体機構(NDA)によって問題にされそうである、と今は考えているだろう。NDAは来年、セラフィールドの操業を引き継ぐ。」とCOREは付け加えた。


編集者の注釈
Notes for editors:


SMPは日本からの契約で注文台帳のほとんどを埋める見通しで4億7000万ポンドの費用をかけて建設された。

4億7000万ポンドの建設費が都合よく「減価償却された」ので、工場は政府が指名したコンサルタントによって2001年に、純資産価値がちょうど2億1600万ポンドあると評価された。−この評価は日本との契約が確保されることに大いに依存していた。

今日でも、日本からの利益はまったく実現しておらず、SMPはスイス、ドイツ、スウェーデンからの相対的に小さい注文が残っているだけで、そのうちのいくつかは、それらの原子炉の「最終閉鎖期日」のために逼迫した引渡しスケジュールに直面している。

品質保証データが捏造されたBNFL製造MOX燃料が日本に到着した1999年のスキャンダル以降、いまだに敏感になっている日本の会社は、いまでもBNFLのMOX製造能力を信用していないように思われる。そのひとつ、関西電力は最近、フランスのコジェマとMOX燃料の契約を締結する意向を発表した。