ひどい癒着体質では輸送容器の安全性は確保されない
使用済核燃料輸送の強行に抗議する



 輸送容器の安全性に関する信頼性は、内部告発によって大きく揺らいでいます。今年6月に「美浜の会」に電力内部から寄せられた30数枚の資料には、輸送容器をめぐる電力事業者と運輸省・科技庁との癒着の姿が生々しく描かれています。
 問題はけっして、海外にある使用済核燃料輸送容器の検査の遅延という範囲にとどまるものではありません。その遅延は明らかに、日本の電力会社の管理体制そのものに欠陥があったことを示しています。そのことはひいては、国内使用済燃料輸送用を含むすべての輸送容器の管理・監督の在り方に問題を投げかけています。
 そのような中で輸送を強行するのはきわめて無謀なことです。

 12月13日の運輸省・科技庁と市民との交渉では次の点が明らかになりました。
@運輸省は、26基以外に検査の遅延がなかったかどうかの把握も放棄。電力事業者の管理上の欠陥を認めながら、廃止届けですべてを免罪にしました。局長の注意文書案を事前に電力に流したことも、「電力に調査報告の準備をさせるために必要」と開き直る始末。実際には、準備させたはずの調査報告はいまだに何もなし。結局、管理上の欠陥を把握する努力はまったく何もなされていないのです。しかも、廃止届けを出させた容器をまた使うことを許可する姿勢を示しました。これでは、廃止届けは問題を明るみに出さないための隠れ蓑。すべて電力の言いなりになった措置で済ませただけです。

A科技庁は、管轄の中部電力の1基の遅延は検査施設の事故のためで、通達違反ではないとの態度。しかしその遅延が本当にやむを得なかったかどうかの具体的調査はなし。しかも、この問題を担当する科技庁安全局は、直接管轄の1基だけへの関心で済ませられるわけではなく、輸送容器の安全性全般に関して責任をもつべき立場にあるはずです。事実、告発資料にある「科学技術庁メモ」によれば、今年1月13日の電力との会合で、BNFLの品質管理に欠陥があるなどと自分の直接の管轄範囲を超えた発言をしています。初めはこのメモの内容を全面的に認めながら、追及されるとそのメモは信用できない、自分が着任する前のことなどと言い逃ればかり。結局、輸送容器の安全管理の欠陥に目を向けることなど、まったく何もしていないのです。

 このように電力とべったり癒着した体質にあることが明らかになった以上、その癒着体質で検査された輸送容器の安全性はまったく信頼できません。今回の問題の調査をまず行い、管理上の欠陥と責任を明らかにすることを優先すべきです。それまでは使用済核燃料の輸送をいっさい中止するべきです。
 使用済み核燃料輸送の強行に抗議の意志を表明するとともに、輸送に反対するみなさんのご健闘に心から連帯します。

                                    2000年12月16日
                                       美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会



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