東海村臨界被曝事故 集団線量のリスク評価



[1]われわれの線量評価に基づいた場合の集団リスク評価
(1)集団線量

350m 圏内住民・勤務者※1 265人 2650人mSv※10
350m〜500m圏内住民・勤務者※2 約650人 650人mSv
建設作業員※3 7人 458人mSv
消防隊員※4 3人 113人mSv
事故処理作業従事者※5 57人 163人mSv
水抜き作業員※6 21人 1106人mSv
ホウ酸注入作業員※7 6人 2人mSv
JCO従業員(実測値あり)※8 56人 2205人mSv
JCO従業員(実測値なし)※9 96人 270人mSv
   合            計 1167人 7617人mSv
(※1)350m圏内の住民数は科技庁の1月31日報告に従った。科技庁報告では20時間後に1km以遠に移動した住民を除外しているが、この試算ではすべて数に入れている。
 JCO敷地境界80m地点から350mまでの中間地点である215m地点、16:00(避難)までの実効線量(推定値)の積算値約10mSvを用いて計算。
(※2)350〜500m圏内の住民数は推定で求めたおおよその数である。以下の方法で、住民数を推定した。
 (500m圏内の世帯数170) − (350m圏内の世帯数52) = (350〜500m圏内の世帯数118)
 (118世帯) × (350m圏内の1世帯当たりの住民数の平均3.7(186/52)) = 437人
 さらに、350m圏内では、住民186人に対して事業所勤務者は93人。住民1人当たり、勤務者は0.5人。350〜500m圏内の事業勤務者の推定は437×0.5=219人。
 350m〜500m圏内の総人口の推定は437+219=656人
 350m地点から500mまでの中間地点である425m地点、6:15(臨界終息)までの実効線量(推定値)の積算値約1mSvを用いて計算。
(※3)水抜き作業員の個人線量計の実測値との対照関係を用い、WBC検出値から計算。ただし、個人線量計は1cm線量当量(ICRP1977)を指示するので、実効線量当量へ換算するため0.6倍し、さらに実効線量(ICRP1990)に修正するため、中性子の線質係数を2倍した。
(※4)水抜き作業員の個人線量計の実測値との対照関係を用い、WBC検出値から計算。ただし、個人線量計は1cm線量当量(ICRP1977)を指示するので、実効線量当量へ換算するため0.6倍し、さらに実効線量(ICRP1990)に修正するため、中性子の線質係数を2倍した。
(※5)1月31日科技庁報告の数値をそのまま使用
(※6)個人線量計の実測値を使用。ただし、個人線量計は1cm線量当量(ICRP1977)を指示するので、実効線量当量へ換算するため0.6倍し、さらに実効線量(ICRP1990)に修正するため、中性子の線質係数を2倍した。
(※7)個人線量計の実測値を使用。
(※8)WBC検出値が存在するものは、水抜き作業員の個人線量計の実測値との対照関係を用い、WBC検出値から計算。ただし、個人線量計は1cm線量当量(ICRP1977)を指示するので、実効線量当量へ換算するため0.6倍し、さらに実効線量(ICRP1990)に修正するため、中性子の線質係数を2倍した。その他のものは、フィルムバッチのガンマ線の数値を使用し、中性子線の線質係数をかけて求めた。
(※9)1月31日科技庁報告の数値をそのまま使用
(※10)実効線量(ICRP1990)で計算

(2)リスク

 ゴフマン(1981)−100万人レムあたり4000人のガン死=1000人mSv当たり0.4人
 健康管理検討委(2000)−100万人レムあたり1000人のガン死=1000人mSv当たり0.1人
 ICRP(1990)−100万人レムあたり 500人のガン死=1000人mSv当たり0.05人
 ICRP(1977)−100万人レムあたり 100人のガン死=1000人mSv当たり0.01人
 ICRP(1966)−100万人レムあたり 40人のガン死=1000人mSv当たり0.004人

・ゴフマンに従えば、今回の事故の結果、7617人mSv×0.4÷1000=約3人のガン死の危険が発生することになる。
・また、比較的高線量を受けた、建設作業員7人、消防署員3人、JCO従業員56人、水抜き作業員21人の合計87人の集団線量は3990人mSv。これらの水抜き作業員をはじめとするJCO労働者等87人からは 3990人mSv×0.4÷1000=1.6 人のガン死の危険が発生する計算になる。



[2]検討委「最終報告」(1/31科技庁報告)に基づいた場合の集団リスク評価
(1)集団線量

  @最小値 (0〜5mSvの範囲に入る場合はすべて0mSvで計算)
350m 圏内住民・勤務者 200人 227人mSv※1
350m〜500m圏内住民・勤務者 −  −    
建設作業員 7人 65人mSv
消防隊員
事故処理作業従事者
3人
57人
30人mSv
水抜き作業員
ホウ酸注入作業員
24人
350人mSv
JCO従業員(実測値あり) 49人 325人mSv
JCO従業員(実測値なし) 96人 30人mSv
  合            計 436人 1027人mSv

  A最大値 (0〜5mSvの範囲に入る場合はすべて5mSvで計算)
350m 圏内住民・勤務者 200人 783人mSv
350m〜500m圏内住民・勤務者 −  −   
建設作業員 7人 100人mSv
消防隊員
事故処理作業従事者
3人
57人
330人mSv
水抜き作業員
ホウ酸注入作業員
24人
470人mSv
JCO従業員(実測値あり) 49人 570人mSv
JCO従業員(実測値なし) 96人 520人mSv
  合            計 436人 2773人mSv

  B中間値 (0〜5mSvの範囲に入る場合はすべて2.5mSvで計算)
350m 圏内住民・勤務者 200人 505人mSv
350m〜500m圏内住民・勤務者 −  −   
建設作業員 7人 82.5人mSv
消防隊員
事故処理作業従事者
3人
57人
180人mSv
水抜き作業員
ホウ酸注入作業員
24人
410人mSv
JCO従業員(実測値あり) 49人 447.5人mSv
JCO従業員(実測値なし) 96人 270人mSv
  合            計 436人 1895人mSv

(2)リスク

(a)検討委「最終報告」によるリスク
  ・最大値を採用した場合−2.773×0.1=0.28人のガン死
  ・最小値を採用した場合−1.027×0.1=0.10人のガン死
  ・中間値を採用した場合−1.895×0.1=0.19人のガン死

(b)ゴフマン(1981)によるリスク
  ・最大値を採用した場合−2.773×0.4=1.11人のガン死
  ・最小値を採用した場合−1.027×0.4=0.41人のガン死
  ・中間値を採用した場合−1.895×0.4=0.76人のガン死




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