(2000年4月27日)

 4月27日、篠原さんが亡くなられた。昨年の大内さんに続き、尊い命がまた奪われた。二人は、国の原子力政策の最大の犠牲者である。
 我々は改めて、@東海臨界事故について国の責任を明らかにすること、A脱原発に向けて国のエネルギー政策を抜本的に転換すること、B被曝した住民に対し、国の責任で健康・医療保障等を行うことを強く要求する。
 中曽根科技庁長官は、東海臨界事故について、「刑事責任も民事責任も、行政責任もない」と国の責任を一切認めようとしていない。無責任極まりないとはこのことである。「国策」の名のもとに進められてきた原子力事故の責任を、国が取らずに一体だれが取るというのか。
 東海臨界事故は、多数の住民と労働者の被曝事故である。東海住民は、国によって「いわれなき被曝」を強要された。地元住民の間では、事故直後から体調の異変が起こっている。さらに、今後数年から、10年、20年後に現れるであろうガン・白血病等に対する不安が高まっている。
 しかし国の健康管理検討委員会は、「最終報告」で、東海住民の被曝被害をばっさり切り捨て、闇に葬り去ろうとしている。政府・科技庁は、この「最終報告」で事故の幕引きの総仕上げを行おうとしている。「最終報告」は@中性子の得意な猛毒性に口をつぐみ、A50〜200mSv以下なら影響はないとして切り捨て、B低線量被曝の危険を全面的に否定している。「専門家」達は、「ガンは絶対に起きない」「そんなに被曝が心配なら墓石を持ってこい、線量をはかってやる」「国が恩情で一般の健康診断をやってやる」等々の暴言を吐き続けている。「専門家」という権威をカサに着て、住民を侮辱し愚弄し続けている。
 さらに、「最終報告」は、東海臨界事故のみならず、今後の被曝事故の「管理指針」とすることを明記している。福井で原発事故が起きても、その被害は認めないということである。
 政府・科技庁・「専門家」一体となった、被曝被害の切り捨てを断じて許してはならない。東海事故に即して、住民集団のリスク評価を行わせ、ガン死の危険を認めさせよう。「被曝被害なし」を撤回させる突破口としよう。



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