JCO臨界事故調査についての質問書


科学技術庁事故調査対策本部 御中
東京都千代田区霞ヶ関2-1-1
Fax.: 03-3500-3702

                美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
   代表 小山 英之
  大阪市北区西天満4-3-3星光ビル1階
                      Fax. 06-6367-6581

 科学技術庁事故調査対策本部が、原子力安全委員会ウラン加工工場臨界事故調査委員会第5回会合に資料として提出した、「(株)ジェー・シー・オー東海事業所の事故の状況と周辺環境への影響について」と題する11月4日付けの資料について質問があるので、速やかに書面にてお答え下さい。

(1) 同資料3ページの5行目より「がんの増加に代表される確率的影響も、一般的には実効線量で約200ミリシーベルト以上の線量でのみ現れるとされている」と記されています。これは科学技術庁が、がん発生の敷居値が約200ミリシーベルトであり、それ以下の実効線量ではがんは生じないとの見解を持っていることの表明であると理解してよいですか。

(2) 放射線の影響については国際放射線防護委員会(ICRP)の活動と勧告が広く知られているところですが、私たちは同委員会の1990年勧告(Publication60)を含め、色々と「がんの増加に代表される確率的影響」についての記述を調べました。ところが、同資料に書かれているような主旨の記述は果たしてどこにも見あたりませんでした。科学技術庁はいったどのような事実を拠り所にして「がんの増加に代表される確率的影響も、一般的には実効線量で約200ミリシーベルト以上の線量でのみ現れるとされている」と書いたのですか。

(3) ここでは「がんの増加に代表される確率的影響」が「実効線量」で議論されています。ところが、臨界事故による周辺の線量を評価する「理論的な基礎資料」やホールボディ・カウンタで測定した「実際の測定値に基づく線量評価」では、「実効線量当量」での計算と評価がなされています。「実効線量当量」と「実効線量」では評価値が異なります。どうしてわざわざ「実効線量当量」で計算するのですか。なぜ「実効線量」で評価しないのですか。

(4) ICRPは1985年に中性子の線質係数Qについての声明を出しました。そこでは「委員会は、中性子の場合Qを2倍にすること」が勧告されました。科学技術庁はこの声明を尊重しますか。「実効線量当量」の計算において、Qを2倍にしていないのはどうしてですか。この声明を国内の法令に取り入れないのはどうしてですか。
                                以上



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