ひろげよう!「今こそ脱原発を!百人署名」を
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脱原発百人署名交流ニュース No.3

1月31日 第一次署名提出行動特集
草の根の思い集めて2万3654名の署名提出

通産省・科技庁交渉、署名提出行動報告
 1月31日(月)、竹村泰子参議院議員(東加奈子秘書)のお世話で、「今こそ脱原発を!百人署名」の第一次提出と併せて、通産省・科技庁交渉を行いました。当日の行動を報告します。交渉の詳しい内容や参加者の感想等は4頁以降をご覧下さい。事前に出していた質問書に対しては、文書での回答を約束しています。また美浜の会の質問書(99年11月29日付け)についても文書で回答することを確約しました。

1.大阪・東京・柏崎から17名が交渉に参加
 交渉の会場は参議院議員会館第3会議室。大阪から6名、東京からは10名も(ふくろうの会、原発を考える品川の女たち、日消連、東井さん、グリーンピースジャパン、ストップザもんじゅ東京)、さらに柏崎からの参加も。集まった署名は「百人署名」16,369、「原発やめて!スピード署名」7,285名分です。署名してくれた多くの人々の声を背に、17名が力を合わせ交渉にのぞみました。

2.通産省交渉(午後2時〜3:10)
通産省からの出席者4名
 牧野守邦総括班長(原子力発電課)、星野岳穂課長補佐(原子力産業課)、市村知也課長補佐(原子力発電安全企画審査課)、坂内俊洋課長補佐(原子力発電安全管理課)

 交渉の最初に、大阪の久保美恵子さん、東京の東井伶さんから、プルサーマルを取りやめること等について、署名活動を通じて得られた多くの庶民の声を代弁して訴えました。
 質問書に沿っての回答の後、関電と東電のMOX燃料データ不正の問題について交渉を行いました。45分間という予定も大幅に延長して、追及を続けました。
 ポイント1  関電は、イギリスのNII(原子力施設検査局)がデータ不正の疑義があると指摘したロット783について不正を認めていません。この問題について坂内氏は「P783も含めて関電には再調査し報告するよう指示している」と回答。関電追撃の一つの手がかりです。
 ポイント2  NIIが昨年9/21、11/8付けで不正疑義を伝えた文書を、国が12月15日まで隠し続けた問題について。「関電にも伝えていないし、外交文書なので公開しない。相手国の承認等もいるので簡単に公開できない。今後もそうだ」。これには怒りが集中。データ不正問題が大問題となり、住民の命に関わる問題なのに!相手国の承認を求める努力をしたのか!と詰められると、だまったままです。無責任の極地です。
 ポイント3  関電の最終報告書(11/1)を妥当と認めたことについて。基本的には誤りであったことを認めました。ただし「『妥当』というのは『妥当』であってすべてを認めたわけではない」等の官僚ならではの責任逃れの発言を付け加えることを忘れていません。
 ポイント4  東電MOXについて。「関電の不正が明らかになりなった今、東電にどのような指示を出しているのか」との追及に対し、「東電からの報告書をみるだけ」。再調査に対し何ら具体的指示も与えていないとあいもかわらぬ無責任な態度です。

3.科技庁交渉(3時20分〜4時すぎ)
科技庁からの出席者4名
水元伸一(事故調査対策本部、原子力安全局放射線安全課課長補佐)、明野吉成(原子力安全局防災環境対策室室長)、吉西真(原子力安全局原子力安全課課長補佐)、上田光幸(原子力局核燃料課核燃料サイクル係長)

 最初に、久保さんと東井さんから、東海村事故について、被曝線量を切り縮め、健康に影響なしとする無責任な態度を許すことはできないと切々と訴えました。
 ポイント1  「ガンなどは200mSv以上でのみ現れる」との科技庁見解について厳しく追及。「200mSv論」の根拠は「ICRP90年勧告パブリケーション60をわかりやすくかみ砕いた」などと苦しまぎれのデタラメをいけしゃあしゃあと述べました。科技庁は、ガン等の発生には「しきい値はない」ことは認めましたが、実質的には「200mSvしきい値論」「50mSvしきい値論」なのです。この暴論は、なんとしても正式に撤回させ、「ニュースレター」等を回収させていきましょう。
 ポイント2  科技庁は、住民の被曝は「実効線量当量」(ICRP77年勧告)で評価していますが、「200mSv論」や「50mSv論」は「実効線量」(ICRP90年勧告)での話です。科技庁は、77年勧告当時に考えられていたよりも中性子線は2倍も危険であるというICRPの1985年声明を法令に取り入れていません。そのため「実効線量当量」で被曝を評価すると中性子の被曝が半分に値切られてしまいます。東海村事故のように中性子線が被曝に大きく寄与した場合、少なくとも「実効線量で評価すべきではないか!」と追及すると、「実効線量当量で明記しています」を繰り返すだけです。「法令も来年4月からは実効線量を使うようになるではないか」に対しては、「現在の法令は実効線量当量ですから」と形式論だけ。住民の被曝、今回の被曝の危険性をまったくないがしろにしています。

4.国会請願署名として紹介議員に署名をたくす
 交渉の後、紹介議員に署名を提出しました。科技庁交渉に参加された福島瑞穂議員は、「科技庁の態度は非常に悪い。被曝問題について国会でもとりあげていきたい」と力強く語られました。また海渡弁護士も参加され、日弁連の東海村事故調査にも今日の内容をいかしていきたい。ともにがんばりましょう」と。その後、手分けして、紹介議員9名の部屋を回って
署名を提出しました(紹介議員は以下の方々です。敬称略。竹村泰子・福島瑞穂・金田誠一・大渕絹子・清水澄子・梶原敬義・保坂展人・辻元清美・中村敦夫)。
 
5.最終集約(4月中旬)に向けて、署名を一層広めていこう
 「通産省・科技庁の態度には本当に腹が立つ」「このままではまた事故が起こる」これが参加者の率直な感想です。「脱原発署名」は現在18種類の署名用紙で取り組まれています。今年に入ってからも新しい署名用紙で、静岡、名古屋、関西よつ葉府南産直でも署名が開始されました(詳しくは「つつうらうら」bQを参照してください)。チェルノブイリ事故記念日に向けて、広範な草の根の声を署名に結集していきましょう。
 東井さん達も「スピード署名も続けるよ」とのこと。また共同して取り組みましょう。


通産省、科技庁交渉参加者の感想
これが国民の安全を守る役所の姿勢か    
 待たされた部屋に、役人がぞろぞろと入ってくると、ぱっと緊張した。データ偽造問題も東海事故の被ばく問題も、まともな解答ができるとはとても思えなかった。2万人以上の署名を前にして、いったいどのように弁解するのだろうか。黒服の役人がとてつもなく悪い人間に見えてきた。
 通産省も科技庁もあらかじめ渡されていた質問書には、回答を用意していたようだ。しかし、一体彼らは、自分たちの責任をどのように考えているのだろうか。おどおどした通産省もふてぶてしい科技庁も、国民の事など全く考えていないという事がよくわかった。
 まず通産省。関電のMOX燃料データねつ造を分かっていながらいつまでも公表せず、現在、東電に行わせているねつ造の再調査でも、その内容を全く明らかにしていない。国民の目の届かない密室で、こそこそと調査するそぶりを見せるだけというのは、これまでと全く体質が変わっていない。科技庁も同じく重罪だ。東海事故での周辺住民の被ばく線量を、少しでも低く見せかけ、住民をだましている。"法律上は問題なし"という科技庁のふてぶてしい態度には、全く腹が立った。うまく言葉にできなかったのが残念で仕方がない。
 これが国民の安全を確保するために働いている役所の姿勢だろうか。はっきりとおかしい。プルサーマル計画を撤回させて見返してやろうと思った。 
    (大阪学生 K)

あきれたり、怒ったり、驚いたりの連続
 関西から署名提出と通産省・科技庁交渉においでになった皆さん。遠くから本当にお疲れさまでした。
 署名してくれた人々の力に後押しされてか、すごいパワーがあって「そうだ!そのとおり!」と拍手したくなる場面がたびたびありました。
 緊急のコンビネーションもさすがでした。
 それにつけても対するお役人の発言内容にはあきれたり、怒ったり、驚いたりの連続でした。
 通産省原子力発電安全管理課の坂内氏は、「英国原子力施設検査局(NII)からのペレット捏造をしらせた文書を関電に知らせていない。『外交文書』だから外には簡単に出さないのだ。これからもそうだ」「東電に対して(関電用MOXのデータ捏造があった後でも)具体的指示もデータ提出も求めず、東電が報告書をあげてくるのを待っている」との事!!
 こんな状況で、安全だ、大丈夫とプルサーマル運転をするつもりなわけ、エーッ!
 科技庁の事故対策本部の水元氏は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告の中から、都合の良い部分だけを拾い出してJCO事故で200ミリシーベルト以下ではガンは発生しないと住民に思わせる役割を、頭の良さそうな顔をしていたから、きっと全部わかっていてやっているのだろうと思われる人でした。
 原子力発電の監督官庁がこの状態では、なにが起こっても不思議ではないんだと恐ろしさがますますつのりました。
 国の言うことを信じている多くの庶民の信頼に答えてしっかり役目をはたしてもらいたいです。
                       (原発を考える品川の女たち N)
                      
世間の皆さんの怒りをバックに
 「百人署名」の第一次提出に私も参加できました。「綿毛にのせて」780名、「コープ生活ネット」は2週間で1170名分も集まり、東海村の事故が起こったこと、事故への対応が全くできなかったことへの世間の皆さんの怒りの強さを感じています。街頭署名はやればやるだけ集めることができるんだ、という感触を持っています。
 去年の6月に、プルサーマルを福井県知事が受け入れたという報道に大変ショックを受けました。大阪の運動ができていなかったからだと思い、まだ何か出来ることはあるに違いないと思いました。でも実効性のある運動をどうやったらできるのかわからないまま時が過ぎてゆき、「美浜の会」が仮処分の裁判や「百人署名」という実効性のある運動に導きつなげてくれました。本当に感謝しています。
 署名の提出でも「ハイ出しました」ではなく、9人もの紹介議員を集めたり、通産省・科技庁との交渉もセットで行うなど、裁判の時を思わせる見事な連携プレー(今回は東京との)ですね。署名を集めて下った皆さんにも嬉しく報告できます。交渉では通産側が「不正のあるMOX燃料は合格にしない」と言ったのですが、言葉通りに受け取っていいのか悩みます。ちゃんと確認すればよかった。
 大阪に帰ると「安全委員会健康管理検討委員会」の中間とりまとめ(1月25日)が出ていて、意見募集もしているというので資料を入手しました。この「中間とりまとめ」はわずか6ページ。1月31日に科技庁事故調査対策本部が出した報告にある、住民の被曝にも全く触れず、200ミリより更にかさ上げした「500ミリシーベルト程度で血液中のリンパ球が一時的に減少する」と書いてあります。最終報告を出した後に、事故から4ヶ月も経ってほとぼりがさめてから住民の被曝の数字を出してくる。1ミリシーベルト以上被曝してはいけないはずなのに、200ミリ以下は問題ないと受け取れるパンフをバラまく。そんなことをして益々信用を落とすということが分かっていない頭の悪い人達が日本を仕切っているのですね。
 でも、いつまでも通用するはずがありません。「自然エネルギー促進議員連盟(超党派)が電力会社に買い取り義務を柱とした議員立法に着手」(2月3日新聞報道)の動きなど、世の中は今大きく変わろうとしています。運動の積み重ねにもう一息頑張っていきたいです。
                        (綿毛にのせて大阪 K)


関電MOX燃料で通産省
イギリスからの不正を示す手紙「外交文書だから公開しない」
 通産省交渉のテーマは、関電と東電のMOX燃料のデータ不正疑惑に関わる問題であった。その中の関電MOXに関する部分を報告する。
 関電MOXに関してはもっぱら坂内氏が応答した(昨年11月10日にやはり坂内氏とこの問題で出会ったときは実に饒舌であったが、今回は顔色も青白く、ボソボソと力無くしゃべったのが印象的であった)。

 高浜4号MOX燃料の不正を昨年12月16日に関電は認め、これまで英国BNFLで製造した高浜3号と4号に関するすべてのMOX燃料を廃棄にすることを決定している。昨年12月16日に関電が発表した文書では、MOX燃料使用中止の理由のとして、@英国NIIがP824とP783に関して疑義を提起したこと、A新たにP814の不正が発覚したことを挙げている。ところが、この文書を発表したその記者会見の場では、NII関係の疑義は認めない、NIIとは見解の相違であるなどと説明して、明らかに文書内容と矛盾する姿勢を示している。さらに、今年1月11日にこの問題を再調査する関電の委員会を設定した際に発表した文書では、NII関係が完全に落とされているのである。
 特にP783の疑義は、通産省が昨年12月9日にNIIから疑義の提起を受けて関電に調査するよう指示したものであった。上記の態度は、関電がこの指導に反逆しているようにさえ見えるのである。
 すでに通産省は、昨年の経過の中で、11月1日の関電最終報告を「妥当」と認める誤りを犯している。通産省が現時点でその反省に立って、どのように関電を指導するのか、とくにP783について、関電が頭から疑義を否定し調査対象からはずそうとしていることに対してどうするのか、ここに今回交渉の焦点があった。

質問事項1:英国NIIから、P824とP783について不正の疑義がだされています。この疑義についても十分真摯に考慮すべきだと思いますが、この疑義についてはどのように考えていますか。

坂内氏の回答:昨年12月16日に、P814で新たな不正が発覚し、BNFLから不正を確認したと関電に連絡があった。それを受けて輸入燃料体検査を取り下げるという連絡が通産省に出された。通産省としてはその日初めてP814という新たな不正が確認されたという事実を受けて、通産省から再調査を、P824とP783も含めて再調査するよう申し上げた。1月11日に関電から調査する旨、1次報告と申しますか調査の内容についての報告があり、まとまり次第報告するよう要望した。   


質問事項2:9月21日付け及び11月8日付けNIIのB.J.Furness氏から猪俣氏宛の手紙について、通産省から関西電力には知らせたのですか。

坂内氏の回答:この2つの書簡は外交文書であったこと、また内容について9月21日付けの手紙には統計的に疑わしい(unusual)という内容が含まれるなど・・・(関西電力には言ったのか端的に答えよ)言っていない。


質問事項3:通産省としては、ペレット外径について、全数検査の合格品がそのデータで仕様内であれば、たとえ抜取検査で不正があっても、安全上の問題はないと考えているのですか。

坂内氏の回答:不正が確認されたものについて、それをもとに安全性を確認することはしない。不正が確認されたものを合格にはしない

この後、やりとりを通じて以下のような点が明らかになった。

◇P783について
 P783については通産省として重視しており、それも含めて調査して回答をだすように指示しているのか−−その通りです。
−−坂内氏は、P783とP824への疑義が関電の12月16日文書でMOX燃料使用中止理由の中に入っていること、1月11日文書ではNII関係が完全に抜けているという事実を認めるのを渋った。坂内氏は、P783については、関電がBNFLから連絡を受けていながら報告しなかったなど、関電の調査体制に問題があったので、その体制の問題点を調査することに主眼があるというような説明に置き換えようとした。しかしとにかく、P783をも含めて関電には再調査し報告するよう指示していることを認めた−−これは今の関電の態度とは違っている。

◇外交文書としての手紙の問題
 質問事項2に関連して、外交文書の場合は、公表するためには相手国の承認とそれなりの手続きが必要であり、今後もこの点は変わらないという態度。今回、関電の原発の燃料に疑義が出されているという連絡を受けていながら、なぜ当の関電に知らせなかったのか、国会で追及されるまで存在すら隠しとおし、相手国の承認を求めようとする努力もしなかったのではないか、それでは安全性が保証されないではないか、何のための手紙のやりとりか、という追及に関する答えである。相手国の承認を求める努力を何かしたのかという問いには黙ったまま答えなかった。代わりに9月14日に関電にすぐ調査するよう命じた点を強調した。
坂内氏が言うには、11月8日の手紙内容に関しては、2体にサスペクトとあったが、ちょうどP824がその2体に分散していたので、てっきりP824のことだと思い、不合格という措置はとれなかった。9月にはロット番号を問い合わせず、P824というロット名はNIIから直接聞いたことはなく、関電から聞いた。P783は12月9日に初めてNII聞いた。ロット番号のような細かいことは関電の調査で十分だと考えているとのこと。

◇自らの判断の誤りについて
 11月1日の最終報告を妥当と認めたことの誤りを認めるか−−基本的に認める態度を表明−−通産省としては珍しいこと。今回P814という明らかな不正があるのに見抜けなかった。ある側面での調査に限ってしまった。
 といいながら、他方では、流用以外に検査員には動機がないと強調したことの誤りを認めるかに対しては−−P814も流用である。「妥当」というのはあくまでも妥当であって、すべてを認めたわけではない。福井県議会でも妥当として説明したから皆が通産省も認めたと信じているではないかに対しては、妥当という表現が誤解を生んだとすれば残念だ。通産省としてはあくまでも輸入燃料体検査で判断していると主張した。

◇不正があったものの使用を認めないのは方針転換か
 質問事項3への回答−−不正があったものは使用を認めないことに関して−−前の輸送容器の場合は不正があったのに使用を認めている。今回は方針を変えたのだな、という問いに関しては明確な答えがなく、これも含めて全体について再度文書で回答をもらうことになった。

                                    美浜の会 小山


東電MOX燃料の製造時計測データで通産省
「あるかないかわからない。聞いてもいない」
 交渉で通産省は、東電が9月に提出したベルゴニュークリア社の品質保証についての報告書を妥当なものとし、東電MOX燃料問題に関して、検査の元データにあたっての検討は全く行っていない、としている。通産省の言うことに従えば、通産省が確認したのは、東電が通産省に提出した輸入燃料体検査の申請書類だけで、品質保証に関しては、保証できますと書かれたペラの紙切れを見ただけである。肝心の元データについては、その存在すら未確認だという。東電の問題に関して国はいったい何をしたのか?ただ東電に再調査をしろ、と言っただけなのか?その再調査についても東電に具体的な指示はしていない、と言い張る。
 関電の問題では、燃料検査について製造時計測データと品質管理検査データが共に公開され、二者を統計的に分析する中で、品質管理検査データにねつ造があることが、反対運動の側で明らかにされた。関電・通産省はそれを見ぬくことができなかった。問われているのは国の調査能力である。関電の疑惑を受けての東電の調査である以上、これを教訓にし、国としてベルゴニュークリア社に元データの提出を迫り、それを公開しながら、製造時測定データと品質管理検査データの分析をきちんと行うべきであろう。しかし、今の通産省にこうした姿勢は微塵も見られない。元データについては、存在を確認し速やかに公表するようにと、12月に問題が浮上して以降再三にわたり要求してきた。これに対して通産省は「品質管理検査データはベルギーにあるらしく、東電が現地で確認したらしい」製造時計側データについては「あるかないかわからない。国も知らないし東電も知らない。聞いてもいない。」との回答を繰り返すだけである。データの存在を聞くこともできない、というのはどういうことか?通産省というのはそんなに立場の弱い存在だったのか?そして、データの公開については「ベルゴニュークリア社の企業機密にかかわるので・・・」いったいどっちを向いてものを言っているのか?
 実際のところは、通産省が何もせず、何も知らずに調査を東電任せにしているとは考え難い。東電の9月報告書が通産省との合作であったことからも、またベルギーでの再調査についても、12月 20 日前後に通産省と東電がいっしょに赴いていることからも、通産省の強い指導の下で事が動いているとみていいだろう。「なにもしないふりを続けさせてはならない。そのためにもさらなる追及が必要と感じた。
                         ふくろうの会 阪上


科技庁交渉報告
「200mSv論はICRP90年勧告をかみ砕いたもの?!」
 1月31日の午後、多少遅れて3時過ぎから始まった科技庁との交渉には原子力局と原子力安全局から4名が応じた。当初「3時45分には所用があるので帰りたい」などと言っていたが、結局彼らは帰ることが出来なくなり、約1時間のバトルが繰り広げられた。
 この中で、(1)「ガンの増加に代表される確率的影響も、一般的には約200ミリシーベルト以上でのみ現れる」としている根拠は、ICRP(国際放射線防護委員会)の90年勧告(Publication-60)にある記述を「分かりやすく噛みくだいた」ものであるとあつかましくも回答し、(2)住民や労働者の被ばく線量評価では、中性子線の危険性を2倍引き上げると勧告したICRPのパリ声明(1985年)を無視しており、90年勧告の評価と比べて過少評価になっていることを事実上認めた。

■200ミリシーベルト問題
 「根拠といたしましたのはICRPの90年勧告、パブリケーション60と呼ばれるものです」、そこにある表現を「一般の方にも理解していただけるように噛み砕いたわけです」と、こともなげに水元伸一(科技庁原子力安全局事故調査対策本部)は応えた。しかし彼の言う90年勧告の該当個所は、疫学的調査結果から確率的影響に関する結論を導くのは困難であることを記した部分である。そこには「調査対象集団は大きい(約8万人)が、95%レベルで統計学的に有意ながんの過剰は約0.2Sv以上の線量でのみみられる。」とある。「そこは200ミリシーベルト以下ではガンは起きないと言っているのではありませんよ。そもそもICRPは確率的影響について敷居値はないということ、ここまでなら安全という被ばくレベルはないということで線量限度を設けているのですよ」と言うのだが、またもや「ええ、ですから一般の方に理解していただけるように噛み砕いたわけです」と応える。彼らは確信犯だったのである。臨界事故を終息される「水抜き作業」では100ミリシーベルトを超える被ばくがあった。これは原子力安全委員会委員長代理の住田健二が強要したものだった。科技庁としてはこれをたとえこじつけてでも正当化しなくてはならなくなったのだろう。そして200ミリシーベルトとという数値を探し出し、あたかもこれ以下ではガンは発生しないかのような大宣伝を開始したのである。周辺住民を黙らせ、国民を欺くためにである。
 「ガンの増加に代表される確率的影響も、一般的には約200ミリシーベルト以上でのみ現れる」という記述は東海村のみならず、全国各地の機関に配布された「ニュースレター第2報」にも書かれている。「子供が読んだら200ミリシーベルトまで大丈夫だと間違って思いこみますよ」、「本当に皆さんが200ミリシーベルトまで大丈夫だと考えるのなら、科技庁の職員が事故処理の作業をすればよかったんじゃないですか」、参加者からは幾つもの質問が出されるが、水元氏は「その下には50ミリシーベルトとも書いています」などと要領の得ないことをしゃべり続けるだけだった。

■被ばくを値切る「実効線量当量」のからくり
 「科技庁は被ばく評価を実効線量当量でやってますね」と尋ねると、「はい」とうなずく。「でもその200ミリシーベルトというのは実効線量ですね、実効線量当量と実効線量とでは値が違いますよ。どうして被ばく評価も実効線量でしないのですか」と言うと、先を読んだのか、「実効線量当量であることを銘記していますから問題は無いと思います」と応える。「え、でも何ミリシーベルトまで大丈夫という話は実効線量でしておいて、住民の皆さんの被ばくは実効線量当量で評価するというのは変でしょう?」。「いえ、実効線量当量であることを銘記していますから」。「どうしてですか、銘記してても一般の人には分からないでしょう、実効線量と実効線量当量の違いなんか?先ほど一般の方にお分かりいただけるように噛み砕いてとかおっしゃってませんでしたか?」。「でも銘記していますから」。官僚というのは自分がミスをすることだけが怖いのだろう。
 「科技庁の被ばく線量評価には、ICRPが1985年に出したパリ声明は取り入れられていませんね?」。「はい、現在の法令はそれ以前に出来ましたから」と、やはりすまして答える。「1985年のパリ声明では、中性子線の線質係数をそれまでの2倍にすると、すなわち、中性子の危険性は77年勧告の時に思っておったよりも2倍危険であることが分かったから係数を2倍にすると書かれてますね?」。「はい、でも実効線量当量であることを銘記していますから」と、あくまでしつこい。「もう2000年ですよ、15年も放っているのですか?」「それはサボタージュですよ。」参加者はいっせいに声をあげた。「線質係数を2倍にすれば実効線量当量でも実効線量と同じ値になりますよ、どうしてそれをしないのですか?」、「線質係数を2倍にする話もICRPの90年勧告に出てきますよ。200ミリシーベルトの話には90年勧告を引き合いにだすのに、被ばく線量の話ではどうしてICRPを無視するのですか?」、「法令も来年4月に変わって実効線量を使うようになるでしょう、どうして実効線量で評価して住民に説明しないですか」、「住民は被ばく線量が半分に値切られていることなど知りませんよ。そういうことこそ科技庁が住民に説明しないといけないのではないですか。」と問うも、「現在の法令はそれ以前に出来ましたから」の一点張り。科技庁はICRPの「権威」を被ばくを正当化するために利用しているだけであり、事実ではICRPの言うことすらまともには聞いていないのである。

 さて、「健康管理委員会」等では200ミリシーベルトに代わって50ミリシーベルトという値が頻繁に引用されるようになっているが、その一方で住民や労働者の被ばく線量は、あの手この手を使って値切られている。その最たるものは、被ばく線量計の読みを割り引くやり方であろう。
 どうしても実効線量当量でやりたいというのであれば、中性子線の線量係数を2倍にするという、かのICRPの言い分を認めて、評価をやり直すことが絶対に必要である。これが科技庁がやるべき最小限の仕事である。
(美浜の会 山内)
<資  料>
■ICRP(国際放射線防護委員会)90勧告の引用■

第3章 放射線防護の生物学的側面
(64) 確率的影響に関する結論を導く道すじは単純ではない。というのは、疫学的調査は、まさに必要とされている情報を提供することはできないからである。疫学的調査は統計的な関連を示すことができるのみであるが、この関連が明らかに線量と関係があり、かつ、対応する実験データにより支持される場合には、強固なものとなる。日本のデータは欠くことのできない、かつ広汎なものではあるが、調査対象者の約60%が生存中であるので、最終的な確率的影響の総数は推定によらなければならない。そのうえ、今後現れるがんの大部分が、被曝時に20才未満であった人々に生ずるであろう。そして、これらの人々の単位線量あたりの放射線の寄与による生涯致死確率は、もっと年齢の多い人々よりもおそらく高いであろう。調査対象集団は大きい(約8万人)が、95%レベルで統計学的に有意ながんの過剰は約0.2Sv以上の線量でのみみられる。もっと低い有意なレベルならば0.05Svぐらいの線量で過剰がみられる。また、忘れてならないことは、これらの日本人調査集団の線量はすべて、きわめて高い線量率で与えられたことである。ところが、急性被ばくでも遅延性被ばくでも、放射線防護の立場から必要とされているのは、ほとんど常にもっとずっと低い線量率での影響に関する情報である。しかしながら、この集団についての調査は、他の調査に比べていくつかのすぐれた点がある。すなわち、この集団は男女両性およびすべての年齢層の人々を含んでおり、しかも、ほとんどゼロから致死量に至る非常に広範囲の線量を全身ほぼ均等に受けたと言う点である。

■科技庁事故調査対策本部11月4日付け資料の引用■
科技庁は上記ICRP文書を参照元とした上で、以下のように「噛みくだいて」いる。
「がんの増加に代表される確率的影響も、一般的には実効線量で約200ミリシーベルト以上の線量でのみ現れるとされている。したがって、今回の事故に関連しては、直ちにがんの増加などの健康影響を懸念する必要はないと考えられる」

■線質係数■
 同じ量の被ばくの場合(付与されるエネルギーという意味)、中性子がガンマー線
とくらべてどれだけ危険かを示す係数。




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