またも疑惑のMOX燃料が輸送されようとしている。今度は東京電力が、あの高浜4号の悪夢を再現しようとしているのだ。

 東京電力・政府は、危険な海上輸送に反対する沿岸諸国の反対の声を無視し、輸送を強行しようとしている。地元新潟県刈羽村では、プルサーマル計画の賛否を問う住民投票条例制定に向けた運動が開始された。この声も無視して、輸送を強行しようとしている。柏崎刈羽原発に燃料が到着してからデータねつ造が明らかになるという、あの高浜4号の二の舞を演じようとしている。

 輸送予定の柏崎・刈羽原発3号機用ベルゴニュークリア社製MOX 燃料にも、品質管理データのねつ造疑惑がある。東京電力は1ミクロンきざみのデータがあるにもかかわらずそれを公表せず、わざわざ4つずつ足し合わせた4ミクロンきざみのデータしか公表していない。このようにデータ加工を行うと、関西電力の不正燃料でもグラフの異常性が消えて、不正がないかのような形になってしまう。このことは、12月13日に市民が「申し入れ」を行った際の質疑応答で、通産省も「理論的にはあり得る。当然グラフの形が違うと思う」と述べて認めている。
 市民が独自に、4ミクロンきざみのデータから、1ミクロンきざみのデータを予測したグラフを描いたところ、明らかに、なんらかの操作が行われたことを示唆する異常性が現れている。この抜取データの異常は、人為的な操作以外に説明がつかない。東京電力は、関西電力が公開したように1ミクロンきざみのデータを公開し、その実際の異常な形を示すとともに、なぜそのような異常があるのかを説明すべきである。
 しかし、東京電力は、これらデータを一切公開しないばかりか、データ不正の有無を明らかにする責任を全く放棄している。それは、福島地方裁判所で係争中の福島T−3号MOX燃料使用差止仮処分の裁判で示した姿勢に端的に現れている。@データ不正がないことを示す立証責任は東電側にはない、A不正疑惑がないのにベルゴニュークリア社にデータ公開など要求できない、というのである。

 一昨年、BNFL社のデータ不正が明らかになった時、通産省は東京電力に対しベルゴニュークリア社の燃料についても安全性の確認をするよう求めている。また、自らBNFLデータ問題検討委員会を設置し再発の防止に務めるとうたっていた。それらに照らしても、現在の通産省と東京電力の対応は無責任極まりないものである。

 危険なMOX燃料はその輸送自体にも大きな問題をはらんでいる。事前の審議も了解も得ず、事故の際の環境への影響評価も、その責任の所在についての議論もなされないままに強行されようとしている今回の輸送に対し、周辺諸国から強い反対の意志が表明されている。また、地元刈羽村では、受け入れの是非を問う住民レベルでの議論がようやく始まった段階である。今後、地元が反対を表明する可能性も少なくない。

 このような状況の中、既成事実を先行させ、なし崩しで計画を進めることは断じて許されない。
東京電力は安全性を確認するためのデータを一刻も早く公開すべきである。また、地元や輸送ルートの国々からの合意が得られないままでのMOX燃料輸送は直ちに中止すべきである。


2001年1月17日

柏崎原発反対地元三団体
グリーン・アクション
グリーンピース・ジャパン
原子力資料情報室
東京MOX差し止め裁判の会
巻原発を考える新潟市民フォーラム
みどりと反プルサーマル新潟県連絡会
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
プルサーマル公開討論会を実現する会
プルサーマルを考える柏崎刈羽市民ネットワーク



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