全国の皆様へ(勝利声明)


 プルサーマルの是非を判断する刈羽村の住民投票は反対1925、保留131、賛成1533だった。
 有権者は4090、投票数3605、投票率88.14%。反対は投票数に対して53%、有権者数に対して47%。保留を含む現状否定は投票数に対して、57%、有権者数に対して50%である。
 原発計画発表以来、村民は初めて意思表明することができた。その結果はプルサーマルにNOである。
 刈羽村の世帯数は1400余、東京電力とその関連企業関係者が380人、3.7世帯に一人が原発関係者という企業城下町である。東京電力の計画発表(69.9.18)から32年、運転開始から16年が経過し、世界最大の原発が建設された。その結果、全国で最も濃密に原発依存を強いられた地域となった。こうした地域で、住民投票が実施されるのは、原発史上最初のことであり、わが国の民主主義、市民自治にとって画期的なことである。困難な中で住民投票を決定した村長と議会に心より感謝したい。
 刈羽村民は本日、プルサーマルに判断を示しました。刈羽村民から東京都民をはじめ、大都市圏で暮らす人たちに訴えたい。プルサーマルは刈羽の問題でもありますが電力を消費する都会の皆さんもまた真剣に考えなければならない問題です。
 住民投票告示後の20日と22日には公開討論会が開催された。20日の住民討論会は2部構成の変則的なものだったが、22日は厳正な時間管理のもと実施され、争点が明確になった。こうした催しが実施できたことは有意義だった。
 投票前の2〜3日間の明るくする会の運動は、プルサーマルの争点ぼかし運動に終始したことは残念である。
 それにしても、国の対応は許せない。5月14日未明、平沼赳夫大臣名の脅しともとれるチラシが配布された。作成配布費用は332万円、世帯あたり2400円である。税金で事実無根の脅しをしたことは許せない。
 地元関係国会議員5人の村民へのアピールは、経済産業省の作成文に署名しただけのもの。プルサーマル賛成の明るくする会で全戸に配布された。
 東京電力に対して厳重に抗議する。品田村長は東京電力の介入に自重を求めていた。東電は「有権者村民が自発的に運動することは自由」(12/28)と、社員や下請関連企業を通じて村民に介入を続けた。東京電力の社員向け<刈羽村戸別訪問実施要領>(5/17)やチラシ配布マニュアルはその証拠である。東京電力の地域介入と支配の実態は、関連下請企業関係者や社員の行動が示している。それは人権無視である。
 賛成派は「プルサーマルは国策。核燃料サイクル政策の一環がプルサーマル。プルサーマルを止めれば原発は止まり、雇用の場がなくなる」と村民を脅した。「国策は住民投票になじまない」と主張した。
 刈羽村民は、枕元の東電柏崎刈羽原発3号機プルサーマル計画の是非に反対と判断しただけである。
 中央集権の時代から、地方主権の21世紀となり、地方自治法も改正された。刈羽村民の判断に何人も介入することはできない。手続き的には、国や東京電力がプルサーマルを実施したいなら、刈羽村との調整が必要となる。しかし、社会的には「地元の了解を得て」と公約していたプルサーマルは不可能となったと考える。
 国や電力会社は、破綻した核燃料サイクル政策を転換しなければならない。原子力政策の実態を隠すことなく公開しなければならない。
 全国からの支援に感謝する。それぞれの思いを託して寄せられたハンカチは1万枚を超えた。資金カンパも多額に及んだ。プルサーマル賛成派から「外人部隊が村を混乱させている」と批判されたが、プルサーマルは柏崎刈羽だけの問題ではない。自らの問題として考え、馳せ参じた多くのみなさんと共同の事業として住民投票で反対多数を実現できたことを心より嬉しく思う。
 刈羽村を守る会は、住民投票告示後行われた公開討論会の教訓を基に、賛成派と主張の対立点を認めながら、刈羽村を明るくするために、村内で議論を深めたい。一緒に住む村なのだから。

  2001年5月27日
                                  原発反対刈羽村を守る会



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