核燃料──日本、政策を見直す
BNFLの(MOX)施設は供給延期で危うい


2001年2月17日 フィナンシャルタイムズ
マシュー・ジョーンズ(ロンドン) 土野 賢(東京)



BNFLの4億6千万ポンドをかけたセラフィールドMOX施設の将来は、運転には不可欠である混合酸化物燃料供給契約が遅れるだろうという日本の地方政府筋の意志表示によって、昨夜ますます不確実に見えてきた。

MOX燃料使用を認める日本初の地域になると予想されていた福島県では知事が、原子力エネルギー政策の見直しとMOX燃料使用に対する慎重な姿勢を表明した。

BNFLにとっては日本がMOX燃料の最大の潜在的市場である。契約を勝ち取ることに失敗すれば、セラフィールドのこの施設は運転開始されず、1800人あまりの雇用を脅かし、BNFLの軽水炉酸化燃料の再処理施設であるソープの将来までもを危うくさせるということを意味する。

福島県の佐藤栄佐久知事は、1年間かけて原子力政策の再検討を行い、地元住民の合意を測りたいと述べた。

また彼の発言は、燃料装荷の承認を最初には出さないというMOX利用凍結を意味する新潟知事の発言を引き出した。

BNFLのセラフィールドMOX施設の主要な建設は1996年には完成していたが、環境大臣マイケル・ミーチャーは、日本からの確実な契約を得ていることをBNFLが証明しない限り、運転開始の認可を渋っていると言われている。

昨年のデータ改ざんスキャンダルのため、今まで契約取り付けには遅れを取っていたが、セラフィールド施設での安全性を向上する一連の厳しい措置を取ることにより、日本の顧客の信頼を取り戻しつつあるとBNFLは主張している。

BNFLは知事のコメントを影響のある物とは受け取らず、MOX施設運転開始準備を継続すると言った。

「私たちが注目しなければならないことは、原子炉を運転する電力会社と中央政府のどちらにも政策の変化はないということだ」と彼は言った。

                         (中略)

BNFLは現在、その競争相手であるフランスのコジェマ社のために、新潟へMOX燃料を輸送している。来月日本に到着予定であるその輸送は、既に、ニュージーランド政府およびオーストラリアの反核運動諸団体から多くの抗議にあっている。

コジェマは、その燃料が1年以内に原子炉に装荷されないかもしれないという事実にもかかわらず、輸送を継続すると発表した。営業部長のジーン=ジャック・ゴトゥローは「地方の住民が原子力エネルギー問題について意見を聞かれることは、日本ではよくあることだ。これがよいニュースになるのか悪いニュースになるのか判断するには早すぎる」と述べた。



 トップ