11月25・26日 福井県と高浜町へ緊急要望書提出
高浜3号へのMOX装荷を認めないで!福井・関西から3344名の賛同を携えて
使用済燃料プールの臨界安全性について
 福井県 「関電に資料提出を求める」「説明責任は関電にある」
 高浜町 「国に要望内容について問い合わせる」

  
11月25日 福井県庁にて提出 11月26日 高浜町役場にて提出

 
■わずか2週間で、福井と関西で3344名もの賛同

 高浜3号機へのMOX燃料装荷が12月初めにも行われようとする中で、福井と関西の11団体の呼びかけで、福井県と高浜町に対してMOX燃料装荷を認めないよう求める緊急要望書への個人賛同を募ってきた。賛同は立地県の福井県と関西電力の電気を使っている関西6府県の在住者に限定し、各地の人々がそれぞれの地域や職場で、母親仲間で、ホームページやメールを通じて賛同を呼びかけ、各府県から多くの賛同が寄せられた。個人賛同は、3344名に達した。核燃サイクルの行き詰まりの中で、プルサーマルに疑問を抱き、反対する意識が広範に広がっていっている。11月25日に福井県庁、26日に高浜町役場を訪れ、緊急要望書を提出した。交渉の焦点は、使用済MOX燃料の処分の方法が決まっていない問題、11月18日の関電交渉で明らかになった高浜3・4号機の使用済燃料プールの臨界の危険性についての2点だった。

■福井県―臨界評価方式の資料を出すよう関電に伝えること等を約束
 25日10時半より約40分間、福井県との交渉を行った。市民側は福井県から6名、関西から7名が参加した。県側は、岩永原子力安全対策課長と内園主事が対応した。交渉ではまず賛同人名簿を添えて緊急要望書を提出した。
 次に、使用済MOX燃料の処分の問題について、「第二再処理工場」は「これから10年で検討」という近藤原子力委員長発言等も含めて県の見解を質した。岩永課長の回答は、国に善処を申し入れているなど従来通りのものでしかなかった。また、「『第二再処理工場』の検討開始が遅れている一因としてプルサーマル開始の遅れがある」とも述べた。私たち市民側は、「それは違う。原子力政策大綱では、『第二再処理工場』の検討開始は、六ヶ所再処理工場と『もんじゅ』の進捗等を踏まえるとされており、プルサーマルの進捗を踏まえるとはされていない」と指摘した。原子力発電に反対する福井県民会議の小木曽さんは、「地元が原発を受け入れたのは、核のゴミを絶対に地元に置かないという約束があったからだったにもかかわらず、50年経っても最終処分の場所すら決まらない。使用済MOX燃料は搬出先すら示されていない状況にある。国がやるかどうかというよりも、県は絶対にそうさせないという裏付けを国からきちんと取ってほしい。県民の不安をきちんと受け止めてほしい」と訴えた。課長はじっと聞いていた。
 次に、使用済燃料プールの臨界評価の問題に移った。この問題については、11月20日にグリーン・アクションと当会が、福井県と県の原子力安全専門委員に要望書を提出しており、それについての回答を求めた。課長は当初、「国の安全審査の中で関電が未臨界性を示し、それを国が認めたのだから県がどうこうする問題ではない」、「判断の基準や方式の内容は安全審査の中で議論されること」等々述べていた。
 しかし、非常に重要な問題なので、国と関電に任せるのではなく、県として慎重に検討してほしいと次々に訴えると、「ご意見に対して関電に回答をしっかり出すように申し伝える」と明言した。「米国の規格と違う方式に従っていると関電が言うのであれば、その根拠、資料を明らかにするよう関電に求めてほしい」と言うと、課長は「それは言います」と約束し、「説明する義務というのは関電の方が持っている」と述べた。
 最終的に、@使用済燃料プールの臨界評価方式に関する資料を出すように県から関電に伝える、A関電から資料が出ればそれを専門委員にも渡す、Bその資料を私たち市民団体に直接渡すように関電に伝える、と約束した。
 交渉には記者も多数参加し、交渉の内容は、翌日、各紙が報道した。

■高浜町―要望があったことを国に伝え、内容について問い合わせると約束
 26日11時より約40分間、高浜町に申し入れた。市民側は福井県から3名、関西から7名が参加した。町側は岡本総務課長等2名が対応した。
 まず、原発設置反対小浜市民の会の中嶌哲演さんが緊急要望書を読み上げ提出した。続いて、9、10月に行った町内戸別訪問の際の反応を生々しく伝えた。町の大半の人が、使用済MOX燃料が六ヶ所再処理工場に行くと思っていたという事実を訴えた。課長は、使用済MOX燃料の処分の問題について、「『第二再処理工場』の検討はスケジュールとしては遅れているが国を信じている」とこれまでと同様の回答を行った。また、「使用済MOX燃料は、40〜50年は高浜に留め置かれることになる」という認識を初めて示した。私たちは、「50年後には既に高浜3号機は寿命が来て閉鎖になっている。生まれたばかりの赤ちゃんが50歳になった時、核のゴミだけが町に残っていることになってしまう。町としてもそのようなことは望んでないでしょう」と問いかけた。課長たちはじっと聞いていた。
 プール臨界問題については、「専門的な問題で、町だけで判断することは難しい」、「危険があるのであれば国が判断するはずだ」とした。私たちは、「この先の長い将来のことを考えれば、MOX装荷が多少遅れても大した問題ではない」、「臨界の問題をまず検討してほしい」、「前日に県は関電に資料を出させると約束し、そのことは新聞にも出ている」と次々に訴えた。課長は「市民からこういう要望を受けたことを国に伝え、内容について問い合わせます」と約束した。

■関電と保安院は、未臨界性評価の判断基準を具体的に示し、納得のいく説明を行え
 約束どおり、県は関電に回答するように連絡し、町も国に問い合わせていた。
 さらに26日には、グリーン・アクションと当会は、関電の未臨界性評価方式に関する質問書を原子力安全・保安院に提出した。関電と保安院は、使用済燃料プールの未臨界性評価について、どのような判断基準に沿っているのか具体的に明らかにし、納得のいく説明を行うべきである。福井県は、関電から資料が出れば、原子力安全専門委員会を開き、この問題を審議すべきだ。少なくともそれなしにMOX燃料を装荷することは許されない。


(10/11/29UP)