関西電力交渉参加者一同から佐賀県知事・県議会議長への要望書
 
MOX燃料に関する国の具体的審査基準は存在しないことを関電は認めました
具体的基準が確立されていないプルサーマルは中止すべきです
玄海3号機の調整運転をただちに中止するよう九電に要請してください


佐賀県知事 古川 康 様
佐賀県議会議長 留守茂幸 様
2009年11月9日

 私たちは、11月6日に大阪市内で関西電力とプルサーマル問題で交渉を行いました。約30名の市民が参加し、関西電力からは広報部の社員3名が出席しました。交渉で明らかになったことは、玄海原発3号機のプルサーマルにも関係することなので、その内容をお伝えします。
 MOX燃料については、ウラン燃料と異なり、国の具体的な審査基準がないということを関西電力は認めました。このことは、原子力安全・保安院も10月28日に認めています。
電力会社も国も、「安全を第一にプルサーマルを進める」と日頃繰り返し宣伝しています。しかし、その前提となる、国の具体的審査基準がないという実態に、私たちは驚きました。同時に、こんな状況でプルサーマルが開始されることに、強い不安と憤りを感じています。
 貴職は、「国の検査に合格しているから安全」と繰り返し述べていますが、その見解にはなんら法的根拠がないということが明らかになりました。
 そのため、関西電力との交渉で明らかになった点をお伝えし、要望をいたします。

 関西電力は国に提出した輸入燃料体検査で、「不純物」の検査について、40種類の元素をあげ、その濃度上限値を定めています。他方、九州電力は同検査では28種類の元素しか挙げていません。さらに、中部電力となるとわずか4種類です。国の検査であるにもかかわらず、電力会社によって取り上げる元素の種類はバラバラです。これについて関西電力は、「米国材料試験協会(ASTM)のウラン燃料の規格や、これまでのウラン燃料で定めている目標値を参考にして設定している」と述べました。国の統一的な基準はないということです。

 10月29日、貴県の原子力安全対策課は、佐賀県民との10月29日の交渉で国の具体的審査基準があるのかという問題について、「発電用核燃料物質に関する技術基準を定める省令」が国の審査基準だと述べました。
 しかし、この省令について関西電力は、「MOX燃料については具体的な元素、基準値は技術基準では示されていない」と11月6日に回答しました。
 国の法的根拠を持った具体的な審査基準は何かという質問に対し、関西電力の回答は、「保安院に当社の上限値設定根拠を説明し、国が審査を行い妥当と判断したものと考えている」と回答しました。すなわち、国の具体的な審査基準は存在せず、電力会社の説明が唯一の判断根拠になっているのが実態なのです。

 また関西電力は、「ペレット不純物は被覆管への影響等を考慮して上限値を決定する」とも述べ、不純物が安全性に影響を与えることも認めました。それなのに、安全を保障する国の具体的審査基準は存在しないのです。

 貴職のいう「国の輸入燃料体検査に合格しているから大丈夫」というのは、実は、法的裏付けのないものだということです。

 原子力発電所は、やはり、安全第一で事故を未然に防いでいくように慎重にも慎重が必要です。まして、海外の実績と比べても多くのプルトニウムを使用する玄海プルサーマルについてはなおさらです。MOX燃料に関する国の具体的審査基準が必要だというのは、賛成、反対を問わず、当然のことではないでしょうか。それまで、プルサーマルを延期しても何の不都合もありません。

そのため、以下を要望します。

要   望   事   項

1.原子力安全・保安院を佐賀県に呼んで、MOX燃料に関する国の具体的審査基準について説明させてください。

2.MOX燃料に関する国の具体的審査基準が確立されていないプルサーマルは実施すべきではありません。玄海3号機の調整運転をただちに中止するよう九州電力に要請してください。  

2009年11月9日
11月6日関西電力交渉参加者一同

連絡先
グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581


(09/11/09UP)