小泉総理宛の共同要望書


2001年11月9日
内閣総理大臣 小泉純一郎様
要望書
原子力資料情報室
グリーン・アクション
グリーンピースジャパン
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
 去る10月3日、イギリス政府は英国核燃料公社(BNFL社)のセラフィールドMOX燃料加工工場(SMP)の運転許可を出しました。しかし、10月25日、アイルランド政府はこの決定が国連海洋法条約違反であるとし、英国を仲裁裁判に提訴することになりました。さらに、11月23日にも予定されているSMPの運転開始に対し、本日(11月9日)、国連海洋法裁判所に暫定措置(運転差し止めの仮処分)を行うよう要求することになりました。訴えによるとアイルランド政府はイギリス政府に対し、
 (1)SMPの運転を中止すること、
 (2)MOX工場の運転に関連するアイリッシュ海とその周辺での放射性物質の国際輸送を中止すること、
を要求しています。
 アイルランド政府は長年セラフィールドの再処理工場から排出される放射性物質がアイリッシュ海を汚染していることを訴えてきました。アイルランドは海洋環境保護の観点から、セラフィールドからの排出を中止するよう英国政府に対し繰り返し要求してきましたが、排出は依然として続けられてきていました。
 日本の電力会社はこれまでに4300トン以上の使用済み核燃料をセラフィールドの再処理工場に送っています。したがって日本はアイリッシュ海における放射能汚染の荷担責任を負っているのです。また、プルサーマル計画に対する国民の理解が日本では得られていないにもかかわらず、日本の電力会社はSMP工場の「最大の顧客」であることが明らかにされています。
 関西電力は以前、BNFL社のMDF工場にMOX燃料の加工を委託しました。ところが、日本に届いたこの施設からの高浜4号機用MOX燃料の品質管理データはねつ造されており、幸い装荷される前にねつ造が発覚し、燃料は使用されておりません。関西電力は2001年中にこの不正MOX燃料をBNFLに返還したいとしていますが、もしこの返還輸送が強行されるならば、アイルランド政府の要求と真っ向から対立することになり、アイルランド政府およびアイルランドの人々の意志を踏みにじることになりかねません。また、このような行為が実行されるならば国際社会から厳しく非難されることになるでしょう。

 日本はアイルランドの訴訟の理由および要求を重く受け止め、以下のことを至急に行うべきです。
 
 (1)関西電力に対し、アイルランドの要求を真っ向から踏みにじる高浜4号機用不正MOX燃料の返還輸送を中止するよう指導すること
 (2)各電力会社に対し、BNFL社とSMP工場でのMOX燃料加工契約交渉、または契約の締結を行わないよう指導すること
 (3)各電力会社に対し、さらなるアイリッシュ海の放射能汚染を止めるためにBNFLでの再処理を直ちに中止し、再処理契約を破棄するよう指導すること
 (4)プルサーマル計画は国民の理解を得られないことを認め、プルトニウム利用計画の中止を決定すること
 (5)環境を汚染し、経済的に見合わない核燃料サイクル計画を破棄し、総合的なエネルギー政策の見直しを行い、脱原発の持続可能なエネルギー政策を国民参加の下に打ち出すこと


                   連絡先:
                    原子力資料情報室
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