関西電力への要請書
高浜3・4号機使用済燃料ピットの臨界性に関し
米国規格とは異なる関西電力独自の評価方式の根拠となる
具体的な資料(規格・理論)を示してください

   
 高浜3・4号機の使用済燃料ピットの臨界性を評価するための各種数値は、2010年1月27日付原子力安全・保安院作成の「コメント回答(その2)」の表2に記載されています。この数値にはそれなりの議論があり、またそこに書かれていない他の不確定性も問題になり得るところです。
 しかしここでは議論を明確にするために、表2に書かれているままの数値を確定的に扱うことを前提とします。それらは実際に安全性評価に用いられた数値だからです。
 それら数値は以下のものです。
臨界計算に関する数値(臨界実験に関係する数値)
・平均誤差を0.0000とする。これより、平均値はkc=1.0000としていることになる。
・95%信頼度ー95%確率での不確定性 0.0156
ラック等製作に関わる不確定性(貯蔵ピットに関係する数値)
・表2の@〜Cの不確定性を各2乗して加えルートをとると、0.0077となる。
関電方式では、表2のとおり、0.0156及び@〜Cの不確定性を各2乗して加えルートをとった数値0.0174に若干の余裕を入れた「設計に用いる不確定性」を0.020としている。
臨界実験から決まる基準を決める場合の安全余裕を0.020とする。
不確定性を入れない場合の評価値は0.9570とする。

 これらの数値系(集合体)について、以下のことが言えます。
1. 米国原子力学会の規格であるANSI/ANS-57.2によれば、
基準値ka=1.0000-0.0156-0.0200=0.9644
評価値ks=0.9570+0.0077=0.9647
2. 関西電力方式によれば、
基準値=0.980
評価値=0.977
つまり、同じ数値系であっても、米国の規格では不合格、我が国では合格となっています。

 では、根拠のある米国規格を採らないで、独自の評価方式を採用したのはなぜなのか、その根拠はなになのかが問題になります。とりわけ奇妙なのは、基準値は臨界実験から決めるべきで、その不確定性0.0156は基準値で考慮すべきなのに、それを別の世界であるピットの入力値の不確定性と一緒にして扱っていることです。 
 このような評価方式の公的根拠はどこにあるのか、何か別の規格に基づいているならその規格、それがないならその方式を根拠づける理論が示されるべきです。
 その趣旨を文書にし、根拠となる資料を添えて福井県に提示し、我々にも示してください。

  2010年11月30日
グリーン・アクション
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会

グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581

(10/11/30UP)