「国の承認がおりなくとも、カラの容器は運べる」(広報員)を撤回せよ!
MOX燃料返送用容器の設計変更申請等に関する
要 求 及 び 質 問 書



関西電力株式会社 御中

1 MOX燃料輸送容器の設計変更申請に関して

1.貴社の広報員は、4月17日の私達の電話に対して、「変更申請の承認がおりなくとも、空の輸送容器を英国から運ぶことは可能である」旨を話されました。これは傲慢きわまりない発言であり、まず、この発言を撤回し、謝罪することを要求します。
 貴社が英国からの輸送船の出港を認め、その後、輸送容器に関する日本の行政機関の承認がおりない事態になることも十分考えられます。既に貴社が経験しているように、国の認可が得られるかどうか確認せずにコジエマ・メロックス工場でMOX燃料製造を開始した為、この燃料が製造中止となった事実があります。再び同じようなことが現実に起こりうるのです。また、「国の許可がおりなくとも空の輸送容器は運べる」という発言は、あまりにも国の許認可権をないがしろにするものです。国の許可が出て初めて、貴社が常日頃述べている、「地元や市民の理解をえる活動」が開始されるのではなかったのですか。
 よって、これから始まる輸送容器の設計承認の審査等、少なくとも国の許可がおりるまでは、輸送容器が英国の港を出港しないことを公言するよう要求します。
 以上の要求について、貴社の回答を求めます。
   ↓
輸送容器にかかる許認可手続きは、実際にMOX燃料を収納して輸送する時に必要なものであり、設計変更申請中にカラ容器の輸送を行っても問題ない。

2.貴社は4月16日に、高浜4号MOX燃料返送用輸送容器の設計変更申請を国土交通省に提出しました。3月18日に国土交通省から容器承認証をもらっておきながら、それを「返納」し、再度、輸送容器の設計承認申請を出し直すこととなりました。
@ この経過と理由を明らかにして下さい。経過については、3月18日以降、貴社と国土交通省との間のすべての打ち合わせ、協議、正式な話し合いなどの日時と内容を明らかにしてください。
A申請のやり直しが国土交通省からの指導によるものであれば、指導の日時・内容等を明らかにして下さい。
  ↓
@とAあわせて
 容器承認書本文に記載されている総放射能強度が最大となる時の各種別の放射能強度の内訳の最高値は制限値ともとられる記載であり、国土交通省へその扱いについて、4月11日にご説明いたしました。そして4月12日に国土交通省より、当該燃料を収納するためには、放射性物質の仕様の表記に変更が必要との見解が示されました。

3.貴社ホームページ資料「設計内容の変更」に書かれている、各プルトニウムの同位体重量によれば、Pu241の集合体当たりの重量(s)は、「1.18以下」となっています。ところが、「容器承認申請書添付資料 安全解析書 平成13年10月 関西電力」のしゃへい解析用の組成(ロ?D?4頁)によれば、同じPu241の重量の数値が「0.93」となっています。他の核種については、双方の数値は一致しています。
@なぜPu241だけが、低い値で解析されたのか説明してください。
  ↓
MOX燃料に含まれる主要6核種のうち、プルトニウム241は比較的短い半減期で、ベータ崩壊によりアメリシウム241へ壊変するが、プルトニウム241とアメリシウム241を比較した場合、アメリシウム241の方が輸送容器外側への線量への寄与が大きいため、時間の経過にともない線量は増加する。したがって、線量は想定期間の終期に最大となるため、プルトニウム241が崩壊しアメリシウム241が最も蓄積された時点の核種組成で評価すれば、5年間の全ての時期をほうらくしていることになる。

4.貴社のホームページ資料「MOX燃料返送用輸送容器の設計変更の概要」では、「現行の設計承認申請書においてもAm241が関係するしゃへい、密封性能に関する安全解析では6.00×102TBqを用いて評価しており、今回の設計変更申請で安全評価の結果が変わることはありません」と記載されています。
この「しゃへい、密封性能に関する安全解析では6.00×102TBqを用いて評価」とは、申請書のどこに記載されていたのかを示して下さい。
  ↓
密封解析につきましてはロ−C−11ページ。
遮蔽解析につきましてはロ−D−4ページ。
(やりとりで、結局、重量の数値しか書いていない。重量から換算すれば6×10^2となる。ベクレル単位の数値は書いていないことを認める。)


2 コジェマ・メロックス製MOX燃料疑惑に関して

1.フランス政府がメロックスの新施設を許可したのは、1999年7月30日ですか。また、その許可の内容はどのようなものですか。

2.フランス政府がメロックスの新施設・設備にプルトニウム持ち込みを許可したのは
2000年4月18日ですか。

3.貴社のMOX燃料は1999年11月3日から製造が開始されています。これは上記
プルトニウム持ち込み許可の前であり、違法な製造ではないのですか。
  ↓
1から3をあわせて
コモックスからは、当局から許可を得た設備を使用して燃料を製造しており、つねに法令等を厳守しているとの回答を得ている。許可の詳細については、当社としてはお答えする立場にないと考えております。

4.4月11日の交渉の場で、1997年上期から1998年上期にかけて行った資格
審査では、ウランだけではなく実際にMOX粉末を使ってメロックス工場の製造能力を確認した、と発言されました。
@それは事実ですか。
  ↓
事実である。
A事実ならば、それは何キロのMOX粉末を作って、どのようなこと(例えば寸法、密度、プルトニウムスポット、など)を確認したのですか。
  ↓
要求された仕様を満足するMOX燃料を製造する能力を有しているかどうかを評価いたしました。詳細につきましては、契約上の守秘義務でお答えできません。

5.その場合、その資格審査用MOX 燃料は、EDF用の旧ラインを使用してつくったのですか。
  ↓
工場施設の具体的運用につきましては、コモックスからの要求により、守秘義務上、当社からはお答えできません。

6.ベルゴ社が公開しているのと同種の情報を、コジェマ社のメロックス施設では公開できないとしています。ベルゴ社もコジェマ社も同じコモックス社でありながら、社内で方針が違うことになり、明らかに矛盾しています。貴社もこの矛盾を認めており、コモックス社さえよければ、メロックス工場の配置図、監査状況等、メロックスでの関西電力MOX燃料製造に関する情報が公開されてもよいという姿勢をとっています。それならば、貴社自身コモックス社の矛盾を指摘して製造者に情報公開を求めてください。
  ↓
契約に基づき、コモックスに問い合わせた結果、当社からはお答えできないことになりました。
 正確を記すために追加させていただきますと、コモックスといいますのは、ベルゴ社とコジェマ社が合同で設立しましたMOX燃料にかかわる契約の窓口の会社です。ですから、ベルゴ社、コジェマ社の公開する内容で異なっていると、差があるのは事実でございますが、差があるからと言って、矛盾があるというようなことにはあたらないと私達は思っております。


3 BNFL社製MOX燃料返還輸送に付いて

1.返還されるBNFL社製MOX燃料集合体の所有者がいったい誰なのかを明確にしないまま、輸送を行っても貴社としては支障がないと考えているのですか。
所有者が明確になるまでは輸送を行わないことを表明して下さい。
所有者を明確にする手続きを明らかにして下さい。
もし所有者を明確にする必要がないというのなら、その理由を説明して下さい。
  ↓
高浜発電所に保管されているMOX燃料に含まれているプルトニウムは当社のものであるが、MOX燃料につきましては(不適当?)品であるため、燃料集合体としては当社のものではないと理解している。当社は輸送に対して荷送り人が明確であれば問題ないと考えております。

2.輸送に関して貴社は、荷主として責任があると4月11日に回答しています。しかし輸送時のトラブル・事故については、第三者に対する責任はBNFL社と貴社の協定に基づき、BNFL社にあると説明しました。すなわち、輸送時のトラブル・事故については貴社には一切責任がなく、すべてBNFL社にあるということですか。
  ↓
当社は危険物船舶運送及び貯蔵規則で規定されている所の荷送り人になります。当社はこの規則に基づいて荷送り人として、放射性物質等が盗しゅ等による災害の防止のために必要な措置をとる責任があり、また原子力災害特別措置法に基づき、原子力災害の発生の防止に関し万全の措置を講ずるとともに、原子力災害の拡大の防止に関し必要な措置を講じる責務を有しています。
 ただし、返送に関連して、万一第三者損害等が発生した場合には、当社とBNFLとの示談によりまして、○○○最終的にBNFLにあるとしております。

3.貴社は今回の輸送については、1999年にイギリスから日本にこの燃料を輸送した時と同じ警備になると述べています。貴社としてはこれで良いのですか。その理由を示してください。
  ↓
過去のMOX燃料輸送にみならって、適切な護衛方法がとられていると聞いておりますが、その詳細については核物質防護上の理由から、お伝えすることはできません。
 なお、過去のMOX燃料輸送ではどういうふうにやられたかを参考までに説明します。
ひとつめとしましては、英国籍の2隻の武装した船舶を使用いたします。ふたつめとしまして、公海上におきましては2隻の武装船が護衛しながら航行しております。各輸送船には英国原子力庁警察隊から派遣される武装護衛官が乗船しています。


2002年4月19日

 グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
     京都市左京区田中関田町22?75?103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952
 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
     大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル1階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581



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