容器承認申請をしなかった本当の理由
容器は既に輸送中。海の上では、国の立ち会い検査はできない!



 関西電力は、5月24日、ねつ造燃料を運ぶ輸送容器に関し、国土交通省からの設計変更承認をうけ、「放射性輸送物安全確認申請」を行ったと発表しました。通常の輸送手続きでは、「設計承認」受領後は「容器承認」を行うこととなっています(文部科学省のサイト参照http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/11/03/990325u.htm)。実際、関西電力は4月16日に設計変更承認申請を提出する際、すでに3月に国土交通省から受け取っていた容器承認を返納し、「設計変更の承認を頂き次第、引き続き変更設計に基づく容器承認の申請をさせて頂き、可能な限り早く返送が実現できるよう最大限努力」すると述べています。また、国土交通省も、「容器承認」を取得しないままでの輸送はこれまでないこと、今回の関電の対応がきわめて異例なものであることを認めています。今回の交渉では、なぜ容器承認を行わなかったのか、6月中旬〜下旬に予定されている返還輸送のスケジュールを最優先したためかと追及しました。
 関西電力は当初、「安全確認申請」の中で、「容器承認」で検査される内容は全て網羅されており、法令上何ら問題はないと主張してきました。しかし、3月18日に「容器承認」を受けた際のプレスリリースでは「本日容器承認をいただいたことで、返送に係わる主要な(特別に必要な)許認可手続きは完了」と述べているではないかというと、「容器承認はオプションに過ぎない」といいだし、挙句の果ては「容器承認は1年に何回も輸送する際の便利な手続きに過ぎない」(関電広報小松氏)と暴言を吐く始末です。ところが、追及していく中で、「容器承認」を得るには、国土交通省による立会い検査が不可欠であることが判明しました。関西電力はまだ輸送容器の「設計変更承認」も下りていない4月26日に、イギリスからのカラの容器の輸送を強行しており、国土交通省が立ち会おうにも輸送容器は海の上。検査などできようはずもありません。カラの容器の輸送を強行した関電には、「容器承認申請」など到底できなかった、これが今回関電が「容器承認」を省略した真の理由でした。関電自身も、「確かに容器は船に載っていますから」としぶしぶながらこの事実を認めざるを得ませんでした。これに対し、返還輸送の実績作りのためにスケジュールを最優先させ、承認を受けていない輸送容器を使用しようとする関電に対し抗議し、3時間に及ぶ交渉を終えました。



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