関西電力へのCOREの要請文


環境の放射能汚染に反対するカンブリア人の会(CORE)
2002年6月17日
関西電力株式会社
社長 藤 洋作様

環境の放射能汚染に反対するカンブリア人の会(CORE)は、今回、関西電力株式会社、並びに日本のその他の電力会社が続けている核燃料会社BNFL社との取引に関し、長い間抱いてきた深い憂慮を表明する機会を与えてくださったことに感謝いたします。

COREは、世界中と、BNFL社のセラフィールド工場がありますカンブリアの会員の意見を代表しています。日本やその他の国からの使用済み核燃料のセラフィールドにおける再処理は、長年、放射能放出により施設周辺の環境を大変なレベルで汚染しています。再処理が続く限り、我々の故郷は汚染され続けるのです。我々の故郷の海岸の放射能レベルは、チェルノブイリの立ち入り禁止区域内のいくつかのエリアよりも高いのみならず、日本であれば違法とみなされるレベルにまで上がっていることが詳細に記録されています。このような状況は、COREやその他の英国国民にとって受け入れ難く、すぐにでも止められなければなりません。

セラフィールドにおける再処理は、さらに、危険な高レベル放射性廃液を含む大量の核廃棄物を生み出しています。約70トンものプルトニウムも作られています。東海村マグノックス燃料のセラフィールドB205施設における再処理と、関西電力やその他の電力会社の酸化燃料のTHORPにおける再処理によって、日本はこれらの核廃棄物蓄積に大きく貢献してきたのです。そしてこれらの多くは、2度と日本で再使用されないどころか、日本に返却もされないのです。これは、カンブリア住民、その他の英国国民にとって、大変不公平な問題と言えます。この意味においても、誰にも歓迎されない蓄積がこれ以上増えないように、再処理は即刻に中止されるべきです。

COREは長年、全ての国は、それぞれ国内で生じる核廃棄物やその他、あらゆる廃棄物を管理する道徳的な責任を有するという見解を持っています。日本や、BNFL社の顧客であるその他の国々は、世界に対するこの責任を果たさず、日本やその他の国々の核廃棄物を英国に押し付け続けているのです。この様な行いは、名誉ある国のすることではありません。日本は今、この過ちをただす先導者となり得るし、また、そうしなければならないのです。

名をなした責任ある団体として、COREは、セラフィールドの操業が引き起こすカンブリア地域社会の健康被害について深く憂慮しています。施設からの放射能と化学物質は、発癌性があるうえ、小児の白血病の環境的要因としても知られています。これらはセラフィールドから毎日放出されており、我々は、この地域に小児性白血病やその他の癌が普通より多い原因の一つだと考えています。関西電力やその他の日本の電力会社は、カンブリア地域社会とその将来の世代の健康への配慮無しに、BNFL社との再処理契約によりこれらの放出を促進し続けているのです。この様な態度をとり、またとり続けることは、あらゆる国、特に日本にとって恥ずかしいことです。

過去9年の間、COREは、セラフィールドでのMOX燃料製造に対して反対を表明してきました。1999年以降、COREは、高浜原発用にセラフィールドのMOX試験工場(MDF)で製造された、不正MOX燃料についての関西電力とBNFL社間の交渉を注意深く追ってきました。BNFL社の不名誉な行動は、カンブリア及び英国の全市民に悪影響を及ぼしています。この様なことは繰り返されるべきではなく、関西電力がこれ以上のMOX契約をBNFLを結ばないことを強く求めます。

COREは、高浜からセラフィールドへの、差し迫った不正MOX燃料返還に関して国際的に増大している懸念に共感します。昨年の9月以降、プルトニウム燃料へのテロ攻撃の可能性は大変大きくなっています。さらに、BNFL社は、この燃料を処理する計画を持っていないので、この燃料はそのまま保管されるでしょう。したがって核廃棄物と考えられるわけです。カンブリアでは、日本からのこれ以上の核廃棄物を必要としないうえ、COREは、今回の輸送は、核廃棄物の英国への輸入を禁止する英国政府政策に違反すると確信しています。

1980年に設立されて以来、COREは、国際的な原子力産業が、放射性物質と核廃棄物に関していかなる「良い選択肢」も持っていないことを学んできました。このため、COREは、あらゆる機会において、「よりましな」選択肢を見つけるため努力してきました。高浜の不正MOX燃料の場合、COREは、数々の悪い選択肢のうちでよりましなのは、日本国内の適切な場所に保管することだと考えます。同燃料は英国へ返還されるべきではなく、COREはこの輸送に断固反対します。

BNFL社は、現在経済的に破綻しています。THORP再処理工場は、予定より大分遅れて操業しており、BNFL社が効率的なガラス固化プログラムを実行することが出来ないため、今よりも更なる遅れが予想されます。現在の時点ですでに、日本のTHORPとのベースロード契約は、BNFL社が広く主張するより数年遅れ、最も早くても2006年から2007年まで完了することはないであろうことが予想されます。

英国における公聴会で提出された書類によれば、新しいセラフィールドMOX工場(SMP)の展望も明るいものとは言えません。すでに見られる同工場での製造の明らかな遅れ、MOX燃料が従来の燃料よりも高価なこと、この兵器への使用が可能な物質を世界の大洋を通る輸送に関して必要な保安とその経費を考えれば、関西電力、ならびにその他の日本の電力会社が将来SMPとの取引を続けることは、非論理的、かつ不合理です。

最後にCOREは、おそれながら関西電力に、以下の質問を真剣にお考えになることを求めます。

関西電力、またその他の日本の電力会社は、現在英国政府がBNFL社の債務とセラフィールドでの操業を引き継ぐために設立しようとしている債務管理機関(LMA)から、近い将来、損失を生むだけのMOX工場(SMP)の「管理」委託を受ける、すでに悪評高い破綻企業(BNFL社)と、保安上のリスクの高い取引を、なぜ、これからも続けようとするのか?

COREは、誠実なご返答を歓迎いたしますし、それは日本国民の皆さんも同様だと確信しております。

CORE署名

Martin Forwood(キャンペーン・コーディネーター)
Janine Allis-Smith(健康問題担当)



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