関西電力の2回目のMOX製造に関する要望書

関西電力が自主検査で不合格とした4体のMOX燃料
不合格となった原因は解明されていません
「原因はMOX燃料に特有か、工場そのものの問題か」(関電)

不合格の原因は、メロックス社製MOX燃料の安全性に深く関係します。
ウラン燃料の安全基準もクリア出来ない
メロックス社のMOX燃料製造能力が問われています。

少なくとも、4体の不合格の原因が明らかになるまで
関西電力の2回目のMOX製造を認めないでください


原子力安全・保安院長 寺坂信昭 様
2010年2月23日

1.関西電力の4体のMOX燃料で不合格となった原因は未だ明らかになっていません。原因は、「MOX燃料に特有か、工場そのものの問題か」と、メロックス社のMOX燃料製造能力そのものに由来している可能性があります。

 関西電力は昨年8月に、メロックス社で製造した4体のMOX燃料を不合格にした旨を発表しました。不合格になった原因等については、未だ解明されていません。この問題については、情報の公開を含め、福井県原子力安全専門委員会(昨年12月21日第56回)でも議論がなされています。
 専門委員会の委員からは、不合格について「MOX燃料に特有な原因であったのか」と質問が出され、それに対して関西電力は次のように答えています。「MOX燃料に特有かどうかを含めて、現在、メロックスが、その事象について鋭意原因調査している。ただ、今までにウラン燃料でこういう事象が発生した経験はない。MOX燃料に特有のことなのか、工場そのものの問題なのかは、調査結果次第であり、もう少し調査させていただきたい」(福井県原子力安全対策課議事録より)。この回答は、自主検査に限定されたものではなく、メロックス社製MOX燃料の安全性にかかわる普遍的で極めて重要な問題、すなわちメロックス社のMOX製造能力を根本的に問うような問題でありもあります。

 メロックス社の製造能力については、国の燃料ワーキンググループ(WG)でも議論になりました。燃料WGの資料(2008年10月30日第8回燃料WGへの保安院説明資料)では、ペレット不純物の基準について「メロックスから緩和に対して強い要望があった」と関電は説明しています。また、燃料WG資料(2008年12月の保安院のコメント3)では、関電の元請会社がメロックス社に対してウラン燃料の基準を守るよう要求したが、「不合格ロット頻度が高くなること」を理由に拒否されたとしています。これらは、根本的にはメロックス社のMOX燃料の製造能力の低さを示しています。事実、九州電力のMOX燃料では、ペレットの蒸発性不純物について、ウラン燃料の安全基準を下回る粗悪品となっています。

 他方関電は、4体のMOX燃料の不合格の原因も明らかになっていないのに、第2回目のMOX燃料を製造するため、1月26日に貴職に輸入燃料体検査申請書を出しました。そこではこの問題について、「メロックスの品質保証システムに基づく不適合管理が行われ、これにより、原因究明および今後の対策等の再発防止に向けた品質保証活動が適切に実施されている」と述べるのみで、原因究明がいまだなされていないことは明かです。このまま2回目のMOX燃料製造を開始すれば、同様の不合格品が生まれる可能性は否定できません。

2.不合格となった原因等が明らかになれば、公表すべきです。
 福井県原子力安全専門委員会では、不合格になった原因などを説明し公表すべきとの意見が委員から出されています。これに対して関西電力は非公開の理由を「メロックスが(非公開)と判断した」と述べています。
 メロックス社は、検査項目など基本的な情報さえ「商業機密」を盾に公開していません。このことは国の燃料ワーキンググループの委員からも意見が出されています。「試験項目が商業機密とはどういうことか」「このような訳の分からないことをするところと契約できるのかという質問があればどうするのか」と強い不信が表明されています(2007年8月31日第6回燃料WG議事録)。
 メロックス社の情報隠蔽体質は、現時点でMOX燃料を製造できる世界で唯一の独占企業という立場からきているものに違いありません。ウラン燃料の安全基準も緩和して粗悪MOXを受け入れ、自主検査の不合格品の検査項目も秘密にし、その原因究明についても公開しないということを鵜呑みにすることは、まさに、メロックス社の独善的な姿勢に卑屈にも屈服することになります。



要  望  事  項

1.少なくとも、4体の不合格品について原因が究明されるまで、関西電力の2回目のMOX燃料製造を認めないでください。

2.4体の不合格品に関する原因などが明らかになれば、その内容を公表するよう関西電力を指導してください。

 要望事項に関して、貴職の見解を示してください。

2010年2月23日

 グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
   京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
   大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581


(10/02/26UP)