ドイツ、BNFLとの契約を停止
「ガーディアン」紙3月9日


ポール・ブラウン、ジョン・フーパー
ベルリン、2000年3月9日(木)

 ドイツ政府は8日、安全上の理由からBNFLからの再処理燃料の購入契約をすべて無期限に停止し、BNFLに新たな打撃をくわえた。
同社が300億ポンドをかけてセラフィールドにつくった新しい再処理燃料工場は決して稼働することはなさそうだし、燃料用のプルトニウム製造を唯一の目的とする18億ポンドをかけたソープ再処理工場の将来にも暗雲がかかる事になる。政府が次の選挙までに計画している同社の部分民営化と15億ポンドの資金調達も更に一層困難になる。
 BNFLの日本に次ぐ最大の顧客の今回の動きは、政府の原子力主任検査官がセラフィールドの安全性について厳しく批判したレポートをだし、両国にねつ造した文書資料をつけて燃料が送られたことがあきらかになったことを受けたもの。
 ロビン・クック外相は、BNFLが自社の社員に外交官のパスポートを持って東京のイギリス大使館に勤務させ、政府代表として交渉にあたらせるために年50万ポンドを支払っていたことを暴露した「ガーディアン」の8日の暴露記事をめぐる紛争に巻き込まれた。
 国会議員たちは8日、大使館の参事官(原子力担当)の地位にあるトム・マクローランの外交官の信任状を取り消すよう外相に要求した。
 外相はほかにも、どれだけの他の会社がイギリス大使館のポストを「買って」いるか、また誰々が実際に関係諸国と金融、貿易上のつながりのある会社の従業員なのかを列挙するようもとめられている。
 労働党下院議員アラン・シンプソン、リュー・スミスは、8日、この問題について質問を提出した。Blaenau Gwent選出のスミス議員は、「原子力問題について日本で何が起こっているのか、大使館を通じて正確な見解を持つ事が政府にとって決定的だが、紛争の中心にいる会社の一従業員が、物事の中立的で客観的な説明を与えるとは期待できない」と述べた。
 南ノッチんガム選出のシンプソン議員は言う。「政府は、ソープが経済的にも環境問題的にも頭痛の種では決してないというBNFLの言い分を徹底的に再検討しなければならない。私が政府におくる最良のアドバイスは、穴に落ちれば掘るのをやめろという事だ」
 日本はすでに契約をキャンセルし、イギリスが品質管理チェックをねつ造して納入された未使用の燃料を持ち帰る事を要求した。
 BNFLは、ねつ造によって損なわれた日本との関係を修復できると政府に改めて保証しようとしてきた。それは、3億ポンドをかけたセラフィールドの再処理燃料の転換工場のライセンスを環境省に交付してもらうための宣伝活動の一部だった。BNFLがライセンスを得られるかどうかは、工場がペイするだけの注文があることを環境省に十分納得させるように証明出来るかどうかにかかっている。
 今ではこれは不可能な課題のように見える。
 燃料の輸送をキャンセルしたのと同時に、ドイツのトリッテン環境相は、ソープ工場での再処理のためにセラフィールドへの使用済核燃料の輸送再開に疑問を投げ掛けている。この輸送は放射線漏れの警告が出たのに伴って中断していた。
トリッテンは、新たな輸送は「問題だらけだ」と述べた。



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