転載
玄海プルサーマル:安全委員会交渉報告
玄海プルサーマル二次審査をめぐり安全委員会事務局と交渉

「コストがかかる」ことを理由に慎重審査と透明性の確保を拒否
これのどこがダブルチェックなのか?


 玄海3号プルサーマルの二次審査問題で4月28日、原子力安全委員会事務局と交渉を行い、要請書を提出しました。相手は3人で、最初に審査指針課課長が一般的なあいさつをした後はすべて安全調査管理官が対応しました。こちらは近藤正道議員のほか、九州の唐津、大阪、新潟をはじめ各地から市民が参加しました。二次審査で慎重な審査をしないのは「コストがかかる」から、という問題発言も飛び出しました。

■専門部会はあってもなくても同じ?
 はじめに安全委員会事務局が、二次審査には、専門部会を設けて審査する方式と、原子力安全委員が直接審査する直轄方式の2つがあると型どおりの説明。ところが、2つの方法は審査のやり方も意見募集についても、同じだ同じだと繰り返すので、ますそこで議論になりました。はじめは、近藤議員が、直轄方式よりも専門部会を設けた審議のほうがより慎重な審議ということですね、と確認しても、それすら認めないというありさまでした。しかし、具体的に議論をしていくと、審査については、専門部会が、55名の専門家が会合を繰り返して審査するのに対し、直轄方式は、5名の原子力安全委員からさらに限られた人(玄海の場合は3名)が、個人的に見て判断するのに過ぎないことが明らかになりました。意見募集については、高浜の場合には、一次審査が終わった時点で安全審査書についての意見募集が行われ、97件の質問にはすべて回答がなされました。しかし今回は、この件についての意見募集など何もなく、ただホームページの質問箱にいつでも受け付けてますよというだけであり、やはり全然違うということが明らかになりました。事務局は、玄海の件について要望や質問を出しても、回答が審査が終わって結論が出た後になる可能性も否定せず、それでは全く意味がないではないか、との声が飛びました。彼らには、透明性の確保という意識はまるでないようです。

■高浜と同じ部分だけをとりだして「同じだからやらなくてよい」
 玄海の審査が、直轄方式になった理由については、やはり高浜と同じであるというのを強調していました。玄海と高浜では、炉の大きさが異なり、燃料集合体の配置や冷却系も違います。となると安全解析も変わってくるはずなのですが、その辺は問題にせず、燃料集合体が同じだから同じだと。これは、同じ部分だけを持ってきて同じだと言っているにすぎません。直轄方式を決めた経緯についても、原子力安全委員が決めたが議事録はないのでどのような議論があったかはわからない、とあいまいでした。参加者からは、地元に出向いて、今回は審査を簡略な方式でやるがそれでよいか、と説明すべきだとの意見が出ました。フランスでは90万kW級に制限されている件については、「それはあちらの話だからわからない」と。海外の実績をさんざん宣伝してきたのに、都合がよすぎます。

■専門部会を設けない理由は「コストがかかるから」
 やり取りの中で、向こうの本音がみえる問題発言がありました。事務局は、専門部会を設けて審議しない理由に「コストがかかる」からと明言しました。専門部会の委員に交通費を払い、会議を設定して審議するのは、委員が個人的に検討するよりも金がかかるということでしょう、でも原子力予算の中では、微々たる額であろうそんなコストのために、慎重な審議が行われず、安全が犠牲にされてもいいのでしょうか。この発言には参加者全員が怒り、驚き、あきれました。同席した地元紙の記者が怒ったのもこの場面についてでした。さらに事務局は、「どうせやっても結論は同じですから」とも。そんなことは、審査してみないとわからないはずです。それを事務局が判断していいのでしょうか。

 最後に60団体28個人の賛同をいただいた要請書を改めて提出し、回答する約束を取り付けて終わりました。

ふくろうの会HPより