プルサーマル計画についての申入書


2004.2.20

福井県知事 西川一誠様

 昨年12月19日、電気事業連合会は今後のプルサーマル計画についてスケジュールを公表しました。それによれば、関西電力は2007年度、2008年度に高浜発電所3・4号機で、日本原電は2008年度に敦賀2号機でプルサーマルを開始するとなっています。
 1999年、関西電力及び三菱重工業はBNFLから「不正データ」、「疑義」、「異物混入」の連絡を受けながら国や自治体に報告もせず、市民団体の度重なる指摘にも耳を貸さず、MOX燃料の装荷を強行しようとしました。しかし、関西電力は国や県の指示を受けてやっとMOX燃料の装荷を断念し、それは係争中の大阪地裁の判決が出る前日のことでした。
 今まで関西電力はMOX燃料加工契約を済ませてから、高浜発電所でのプルサーマル実施の申入れを自治体にし、燃料加工を開始してから事前了解願いを出し、燃料加工がほぼ終了する時に「原子炉設置変更」申請を国に提出していました。品質管理、及び品質保証の能力、体制がなかったことは勿論ですが、国や自治体に「事後承諾」だけを求める関西電力の姿勢は、地元住民はもちろんのこと、福井県をもないがしろにする独善的なものです。地元住民を騙してきたことに対して関西電力は未だに「謝罪」すらしていません。
 このような関西電力の不正隠し、住民無視の犯罪的行為をまともに捉えれば、当然にして関電プルサーマルの事前了解は白紙に戻すべきです。事実新潟県と福島県は、東電の不正行為を重視して事前了解を白紙に戻しています。貴職は昨年12月1日の総理大臣宛要請書の中で、新潟・福島県知事とともに、「国民的理解は依然として不十分である」との認識を示しています。その「国民」の中には当然福井県民、周辺住民も含まれています。

 先日、原子力安全・保安院は関西電力が昨年10月に提出した「海外MOX燃料調達に関する品質保証活動の改善状況について」に対する「評価」を発表しましたが、関西電力が「改善」したとする品質保証活動では不十分とする保安院は、関西電力に対して数度の書換えを要求しました。法律に基づく関西電力への立入り調査は他電力には実施されず、過去の経緯とともに関西電力のずさんな品質保証体制がその理由ではないでしょうか。保安院も指摘するように、「データ不正があっても安全上問題がなければ良い」と豪語(幹部の発言)する関西電力にプルサーマルを進める資格はありません。

 このような認識に立って、以下の点を要望します。

要望事項1:
 関西電力は国に対してばかりでなく、福井県などに対しても、10月23日付け報告書を提出し、それでプルサーマルへの理解を得ると記者発表しています。ところが、その報告書には不十分な点が多々あると保安院から指摘され、立ち入り検査後もまだ不十分な点があると指摘されています。保安規定の変更申請もまだ審査中で国の認可が得られていません。このような現状で、プルサーマル実施に承認を与えることはしないでください。

要望事項2:
 関西電力は、品質保証は安全保証と密接な関係があり、その品質保証を万全にしたと宣伝しています。ところが他方、BNFLデータ不正に関して「データ不正があっても安全性には関係ない」との見解であり、公の場でこの立場を表明しました。データ不正によって住民の生活を脅かしたことに対し、いまだに何の謝罪もせず、新聞広告や折込みなどで品質保証体制が完璧であるかのような宣伝を続けています。このような県民無視、住民無視の関西電力プルサーマル計画はけっして認めないでください。

要望事項3:
 2000年8月に関西電力は大阪市での討論会の場で、地元で、データねつ造事件について説明会を開催すると約束しながら未だに実施されていません。品質保証体制の説明は勿論のこと、BNFLでのデータねつ造とメロックス工場でのMOX燃料破棄について、広く県民に対して説明会を開くように関西電力に要請してください。

要望事項4:
 貴職が福島・新潟県知事とともに昨年12月に内閣総理大臣に提出された「原子力安全規制体制のあり方の検討等に関する要請書」で明示されたように、プルサーマルを含む核燃料サイクル政策は国民・県民の理解を得るには至ってはいません。よって県は県内各地、特にプルサーマルが計画されている地域でプルサーマルについての説明会を開催してください。

                                                      以上

賛同団体

脱原発ネットワーク福井
原発設置反対小浜市民の会
高浜町住民投票条例を実現する会
敦賀反原発ますほの会
グリーン・アクション
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
若狭連帯行動ネットワーク