BNFLと再処理
顧客への欺瞞は続く

BNFL & Reprocessing
The Deception of Customers Continues


2001年6月
CORE[Cumbrians Opposed to a Radioactive Environment]
(環境の放射能汚染に反対するカンブリア人の会)



                            報告書

セラフィールドのソープ再処理工場操業の最初の10年契約を結んでいる海外顧客は、1994年―2004年間のベースロード契約は2005年3月に終了すると、BNFLによって伝えられている*1。当初の計画より1年遅れ、11年目が必要な理由は、ソープ再処理工場、及び関連する下流の工場での、一連の予期しない故障と供給停止の広がりの連続による再処理スケジュールの不履行である。

日本、ドイツ、スイス、オランダ、スペイン、イタリアから成る海外ベースロード顧客(OBCs)は、ソープ再処理工場の性能の低さと、ベースロード契約分を完了するのに必要なもう1年のために追加費用を顧客に課そうとしているBNFLを非常に非難している。最近開示されたリーク資料で、BNFLの顧客たちは次のように主張している。

「・・・次のビジネス計画は、主に計画されているソープ再処理工場の11年目の操業のために、操業コストが10%以上追加で必要となる結果になるだろう。……このようなコスト増と不確実性は、商業的には非常に不満であり、我々自身の燃料サイクルビジネスを経済的に実施することを不可能にするという、コスト面でのプレッシャーを感じている。」*2

この報告書は、追加の11年目がベースロード契約を完了するのに本当に十分なのかどうか確認することを追求する。結論としては、BNFLについて使える過去の情報とこの報告書で再生された情報を考慮して、ソープ再処理工場は、目標の処理量を達成できないだろうし、しかもBNFLと海外顧客の間で続いている交渉で、BNFLは意図的に顧客を欺いている。

報告書は、将来の処理能力を決めるために、ソープ再処理工場の過去と現在の操業記録を調査している。また、ソープ再処理工場の前進を制限しそうな他の要因も調査している。ここには、すでに請け負っているマグノック燃料の再処理量、高レベル廃棄物のガラス固化、高レベル廃液の在庫を削減するために要求されている規制、ソープ再処理工場の高燃焼度燃料への対応、ソープ再処理工場からのトリチウムガス放出の制御、ソープ再処理工場や他の工場からの他の放射能放出を制限内に抑えるという差し迫った難題が含まれる。


COREは、環境圧力団体で、COREの活動は、セラフィールドでの再処理事業と、世界中のBNFLの事業に焦点を当てている。1980年に結成さた。
(住所と連絡先)


                            結  論

・BNFLが修正したベースロード契約分を完了する期日2005年3月を達成するためには、ソープ再処理工場は、年平均955トン再処理しなければならず、これ以上の停止は許されない。過去の工場の実績からすれば、両者とも達成できそうにない。

・現実的な評価は、ソープ再処理工場の年間処理量を約700トンと示唆している。このことは、最近の2001年―2002年の達成できそうな目標として、BNFLによって確認されている。この年間処理量でいけば、ベースロード契約分は、2006年9月まで完了しないだろう。顧客に伝えている期日よりも18ヶ月遅れる。

・BNFLは、ソープ再処理工場の8年目の処理目標が700トンであることを認めていながら、ベースロード契約分の完了期日を2005年3月であると、海外ベースロード顧客達を意図的に欺いてきた。

・ソープ再処理工場の処理能力にかかわらず、計画された700トンの目標は、この数字自体、その施設には直接関係のない他の要因によって達成が危うい状況である。これらには、計画されたガラス固化目標が含まれる。このガラス固化の目標は(仮に達成できたとしても)、ビジネス計画に従って、マグノックス燃料を1000トン、酸化物[軽水炉燃料]955トンを再処理するという、現在表明されている目標を達成するようBNFLの能力を強制するだろう。

・ガラス固化処理能力に基づけば、酸化物燃料の再処理は、年間約170トンに限られるだろうし、ベースロード契約分の完了は、2015年に延びるだろう。これは、顧客達が伝えられてきたのより10年遅れることになる。

・再処理とガラス固化処理からの予想される放射能放出量を現在の制限値に抑えることと、ソープ再処理工場での高燃焼度燃料もしくは冷却期間の短い燃料への対応とにより、BNFLの修正されたベースロード契約分の完了期日が変更されることは避けがたい。

・ソープ再処理工場の処理能力へのこれらの要因から必然的におこる制限される影響は、ここ数年、BNFLに知らされている。彼らの隠蔽がなければ、海外ベースロード顧客達は955トンの目標が達成不可能で、700トンの目標自体も危うく、ベースロード契約分は、2005年3月以降にかなり延びそうだと気づくだろう。

・ソープ再処理工場の能力不足とBNFLの非効率の結果として、完全に顧客たちに課される追加の費用に対する非難が既にあり、海外ベースロード顧客達は今、ベースロード契約分が完了する前に、11年目の再処理への支払いだけでなく、ことによると付加的な10年の支払いが発生する見とおしに直面している。追加費用は、ガラス固化処理施設の増設分も含むかもしれない。


*1 ヒュースローで2001年3月23日に行われた海外ベースロード顧客達とBNFLとの会議の議事録、www.britishnuclearfuels.comで見ることができる。

*2 2000年9月18日の海外ベースロード顧客の声明



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