高浜4号MOX燃料の使用差止仮処分を求めるにあたって

             1999年11月19日  原告一同
  

 本日、我々は高浜4号プルサーマルで使用される予定のMOX燃料に重大なデータ不正疑惑があると考えるがゆえに、その使用差し止めの判断を求めて大阪地裁に提訴した。
 我々は燃料ペレット外径データを詳細に分析した結果、そのデータに不正疑惑が色濃く反映していると判断し、これまでその旨を関西電力にも伝えて説明を求めてきた。しかし関西電力からは何らの説明もなく黙ったまま、装荷に向けての準備が強引に進められている。それでやむなく裁判所の判断を求める決心をした次第である。

 この問題をめぐる焦点は次の点にある。

1.高浜3号機用のMOX燃料にはデータ流用という不正があったため、その燃料ペレットを作り直すことがすでに決められている。高浜4号用燃料には不正はなかったと判断されているが、ペレット外径については「流用」だけが問題にされ、他のデータ偽造、ねつ造の可能性については何も調査されず、何も報告されていない。

2.ペレット外径データについて関西電力は、不正のあるなしを判断するために、全数検査のパターンと抜取検査のパターンを比較するという方法をとっている。この考えは我々と同じであり、同じ土俵に立っていることが確認できる。違いは例えば下図のような2つのグラフについて、関西電力は同じパターンだと判断しているが、我々は違うと判断していることにある。この裁判での焦点はまさにこの判断にある。関西電力はどのような基準で同じであると判断しているのか、その判断基準を何も示していない。

3.関西電力から最終報告が出された11月1日の翌日の2日に早くも福井県議会が開かれ、そこに資源エネルギー庁と原子力安全委員会から出席した人たちは、関西電力の報告は妥当であるとの判断を示した。この人たちはいったいいつ最終報告を検討したのだろうか。資源エネルギー庁は、ペレット外径データには流用以外の不正はあり得ないと主張しているが、関西電力の最終報告書にも書かれていない内容について、なぜそのような判断をするのだろうか。東海村事故で国の安全管理のあり方が批判され、その責任が問題になっているのに、いまだこのような姿勢をとっていることについて強い憤りを禁じ得ない。


 これでは東海村の次は高浜かと、我々は非常に不安な思いにかられるのである。もしMOX燃料に我々の主張どおりの不正あったとすれば、高浜4号プルサーマルの安全性が保証されないことは明らかである。福井県民のみならず関西一円に住む我々も、いつ何が起こるかと絶えず不安な日々を送らねばならないことになる。 
 少なくとも裁判で判断が出るまでは、関西電力はMOX燃料を装荷するのを中止するべきである。資源エネルギー庁も東海村事故の教訓をくみ取って、装荷を中止するよう指導するべきである。 
 また、福井県知事と高浜町長には、周辺住民の不安を十分に考慮され、せめてこの裁判が終わるまで、疑惑のMOX燃料の装荷を認めないよう切に要望したい。
 この裁判について多くの方々から、物心両面にわたる心からの支援をいただいたことについて深く感謝する次第である。




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