東京電力の検査不正を踏まえた
関西電力の自主点検調査に関する質問書



質問提出日:2002年9月11日
関電回答日:2002年10月8日

貴社は、東京電力の不正を踏また原子力安全・保安院の指示を受けて、「原子力発電所自主点検調査委員会」を設置し、調査を開始しました。

私たちは、東京電力が行ったような不正は広く他の事業者にも存在しているのではないかと疑っております。また、今回2年間も調査を放置した原子力安全保安院の姿勢にも強い疑念を抱いています。検査の不正は原発の安全性の根本を脅かすものであり、東京電力役員の交代だけで済ませられるような問題ではけっしてありません。

同時に今回、改めて情報資料の公開が大きな問題になっています。貴社は、今回の事件を重視するのであれば、当然これまでのような情報非公開の姿勢を根本的に改めるべきだと考えます。とりわけ貴社は、高浜MOX燃料のデータ不正事件で、「不正はない」とウソを言い続けてきた実績の持ち主です。

このことを真摯に反省し、下記の質問事項に対し、具体的に回答するよう求めます。


                        質問事項 と 関電の回答

Q1. 端的に伺いますが、今回の東京電力が行ったのと同様の不正を貴社が行ったことはありませんか。

▼当社におきましては同様の不正はないものと考えておりますが、まあ今回の不祥事につきましては真摯に受け止めまして、原子力発電所自主点検調査委員会で第三者のご意見を伺いながら調査を行っておるところでございます。

Q2. 経済産業省や旧通産省から、検査の手抜きや報告の改ざんなどを指示されたことは今までにありませんか。

▼ そのようなことはございません。

Q3. 貴社が今回調査を行うのは、自主点検に関するものだけですか、それとも定期検査項目に係わる検査にも及ぶのですか。自主点検については、過去に行った自主点検の妥当性をすべて具体的に再点検するのですか。

▼定期検査項目から、自主点検ともに対象でございます。で、現在供用中の原子炉容器、炉内構造物、それから原子炉圧力(バウンダリー)については十年遡った期間。それから非常用炉心冷却設備、その他の一次系設備、それからタービン他所要二次系設備につきましては文書の保有期間や設備の重要度に応じて調査期間を決定いたしました。

Q4. 東京電力は福島第一原発1,3,5号機でシュラウド交換を国に申請した際、ひび割れを隠蔽するために、「変更を必要とする理由」の欄に「応力腐食割れに対する予防保全として」と虚偽の記載をしていました。そこで皆が思い出すのは貴社が行った原子炉容器の上ぶた交換です(1994年以降、上ぶたを交換したのは、美浜1・2・3・大飯1・2、高浜1・2号炉)。上ぶたのひび割れは、貴社が交換を発表するより前に、フランス、スエーデン、米国で発生し問題になっていました。また、最近米国で再び大きな問題になり、NRCが昨年から3度にわたって調査を指示しています。そこでこの問題について以下の質問をします。

Q4-1) 貴社は1993年から95年にかけて9機の原発の上ぶた管(管台)を渦電流探傷検査し、損傷本数をゼロと発表しています。このときは、今回問題になっているような「ひび割れやその兆候」がいっさいなかったということですか。渦電流探傷検査の精度に照らして明らかにしてください。また、他の方法による検査も行っていますか。

▼問題となるような損傷はございませんでした。他の検査の方法といたしまして、あの耐圧による漏洩のチェックと外観の検査を行っております。

Q4-2) そのときの検査結果を示す資料をすべて公開してください。

▼これは別表のところに書いてある上の段ですかね。

Q4-3) たとえば美浜2号機の場合、最初の2回の検査では41本すべてを検査し、次の検査では27本を選んで検査していますが、この選択の基準は何ですか。

▼これはまず、あの最初の2回の時はですね、美浜2号機が長期停止に止まっているときにですね、二回にわけてまあ41本全部検査をいたしました。で、次の検査ではですね、最初の41本の検査ですべて検査した結果、損傷はございませんでしたので、条件的に厳しい外周部を中心にまあ、あのおこなった結果27本ということになっております。

Q4-4) 損傷がないのに交換した理由は「予防保全」となっています。検査費用を節約するために交換したとも報道されていますが、これは事実ですか。

▼これはちょっと長くなりますけれども、1991年にフランスのブジェイ発電所であの原子炉容器の上蓋に取り付けている制御棒の駆動装置の管台に、まあひび割れが認められたということで、まあ、これらの事例を踏まえてですね、自主的に当社も検査を行いました。その結果まあ特に、問題となる損傷はなかったんですけれども、まああの将来の損傷の発生する可能性が否定できないということで、まあ長期的な信頼性、社会的信頼性の確保および検査にかかる費用とか被ばくとかの増大ですね、そういったもの定検工程が延びることによる、まあ火力燃料費用の増大を抑制するために、まあ総合的に勘案して、上蓋取り替え等を行っております。

Q4-5) 取り替えた上ぶたは検査せずに、そのまま保管されていると報道されているのは事実ですか。本当に傷や傷の兆候がなかったかどうか明らかにするために、いますぐ取り出して詳細で精密な調査を行うべきではありませんか。そのことで「傷はなかったが予防保全のため取り替えた」という貴社の発表の真偽も明らかになるはずです。

▼当社では取り替え分の上蓋は、まあ採集はいたしませんし、まあ検査も実施しますとまあ被ばく、費用の増大となることから、取り替えた上蓋の検査は実施していませんし、必要性が認められておりません。

Q4-6) 高浜3,4号と大飯3,4号の上ぶた管(管台)は最近検査しましたか。その結果を示す資料を公開してください。

▼これは別表のところにまあ記載させていただいております。

Q4-7) 貴社はこの検査についての内規をもっていますか。検査期間や方法はどのようになっていますか。それを最近変更したことはありませんか。

▼検査はまあ社内で制定した方法に従って、まあ実施してございます。特に最近変更したこともございません。 社内資料の( )の開示はご容赦願いたいと思います。

Q5.現在実行中の美浜1号の定期検査では、バッフルフォーマボルトを取りかえることになっています。この取替えは米国でひび割れが発生したためだと報道されていますが、そのボルトの検査は行ったのですか。検査結果を公表してください。

▼バッフルフォーマボルトのことなんですけれども、当社では取り替えた分は採集しませんし、検査を実施すると被ばく、費用の増大の観点から取り替えた分の検査は実施しておりません。検査結果につきましてはそこのに示す通りということでございます。

要求:今回の事件の重大さに鑑みて、電力会社による徹底的な情報公開が必要だと私たちは考えます。以上の質問に対する文書回答および検査結果資料の公開を早急にしていただくよう、強く要求します。

▼従来より申し上げておりますように当社といたしましては、文書回答は行わない、口頭においてみなさまに対話の中でですね、ご回答を引き続きやらせていただきたいと思います。ただ資料的なものにつきましてはですね、データの羅列とかですね、そういうものにつきましては・・・






提出団体:■グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
         京都市左京区田中関田町22-75-103
         TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952
       ■美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
         大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル1階 
         TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581



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