六ヶ所再処理工場 燃料集合体のせん断を再開(10月2日)
原燃は、せん断長期中断の原因・トラブルの詳細を明らかにせよ

  原燃は8月19日から中断していた燃料集合体のせん断を10月2日午前9時ごろに再開した。スケジュールの遅れをとり戻すかのようにほぼ絶え間なくせん断を継続している。
 8月12日にアクティブ試験第2ステップに入り、8月18日午前11時半ごろにせん断を開始し、19日の午前1時ごろまでに6体をせん断した。そこでせん断を中止し、その状態が10月2日まで継続していたのである。原燃に問い合わせると、「6体で終了したのは単に予定どおりです」と答えていた。しかしこれだけの長期中断では、スケジュールが成り立たないのは明らかである。
 第2ステップの作業は10月末に終了する予定である(ただし、社長は9月21日の定例会見で「全体の試験工程は若干、遅れることとなっております」と述べている)。そうするとせん断は10月半ばに終了している必要がある(第1ステップの終了は6月26日だが、せん断は11日に終了した)。第2ステップでは燃料60トン分をせん断する予定であるが、10月1日までにまだ6体分約2.8トンしかせん断できていない。残り約57トンを半月でせん断しなければならない。本格操業の場合は年間800トンだから、半月で33トンのペースになる。その1.7倍のものせん断を10月半ばまでの半月で実施するというのである。無理をすれば、また何か重大なトラブルが起きるし、立て続けに放射能を大気や海に流すのでは周辺が放射能だらけになってしまう。この実情を見ると、6体のせん断の後、長期中断していたのがスケジュールどおりだというのが大ウソであることは明らかである。

 せん断中断の理由らしいものを、原燃は9月末になってようやく、定例のトラブル情報8月分の形で公表した。それを見ると、再処理工場における「不適合」No.4の中に、「せん断機内部の固着物除去方法の追加」がある。そのトラブルの「発見日」がまさにせん断が中断した8月19日になっており、8月31日現在でも「処置中」となっている。これこそが中断の理由ではないだろうか。
 では「固着物」とは何か、「除去方法の追加」とは予定のマニュアルでは除去できないということではないか、その状態ではせん断は不可能なのではないか、したがって処置中の8月31日まではせん断は不可能で、その状態がさらに9月いっぱいまで継続したのではないか、これらの疑問が湧き出てくる。この点を原燃に問い合わせているが、10月4日現在でまだ回答がこない。ただ、このトラブルは原燃が公表しているトラブル等事例集のNo.3-02「燃料横転クレーンにおける燃料集合体押込み中の燃料集合体の引っかかり」に似ているという(図参照)。この事例では「固着物」は燃料集合体しかない。今回の「固着物」は、他に例えば燃料棒内のバネが飛び出したようなものでもあるのだろうか。いずれにせよ、従来考えていた除去マニュアルでは対応できないため、新たな方法を考え出し、それを適用してようやく10月1日にせん断可能であることが確認できたということではないだろうか。トラブル事例集N0.3-02では、修理は遠隔操作で行うため作業員は被ばくしないと書かれているが、今回のトラブルでは非常に長期間の修理を必要とするまでに困難だったのだから、作業員の被ばくも起こっている可能性がある。原燃はこれらすべてについて、詳細を明らかにすべきである。
 前記のように原燃は、問い合わせに対し、6体のせん断で終了したのは予定どおりですと臆面もなく答えていた。しかしそれなら、8月19日にせん断機に引っかかった燃料集合体はいったい何なのか。排気筒でのモニタ(A1)の様子から、6体目が完全にせん断を終了したのは明らかである。そうすると、引っかかったのは7体目の集合体であったとしか考えられないではないか。これが原因で長期中断になったとしか考えられないではないか。現燃はあるがままの事実を詳細に公表すべきである。

 原燃は次の点を明らかにすべきである。
1.再処理工場における不適合(8月分)No.4「せん断機内部の固着物除去方法の追加」について
(1)この不適合の発見日は8月19日になっているが、このときにせん断しようとしていた燃料集合体は、第2ステップに入って7体目の燃料集合体ではないか。
(2)せん断機内部の「固着物」とはどんなものか。それはどの位置に固着したのか。
(3)この状態ではせん断作業は不可能だと理解してよいか。8月31日現在で「処置中」となっているが、少なくともその時点まではせん断不可能だったということか。この状態はいつまで続いたのか。
(4)除去方法の追加とは、従来想定されていた除去方法では除去できなかったため、新たな除去方法を考案したということか。それはどのような方法か。

2.トラブル事例集No.3-02の場合は、修理作業は「セル外からの遠隔作業なので、作業員への影響は生じない」となっているが、今回のこのトラブルではその点はどうだったのか。この作業での作業員の被ばく線量はいくらか。

3.原燃広報は、せん断作業の中断に対する問い合わせに対し、6体で終了したのは予定どおりだと答えていた。この回答は、せん断機内に燃料集合体が引っかかったことと矛盾している。このことを認め、虚偽回答の責任を明らかにすべきではないか。