「六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会」への要望書
「計画外溶接」の原因究明もしないままでの
日本原燃の勝手な補修と点検をまずは中止させてください



主査 近藤駿介 様
各委員 様

 私たちは、六ヶ所再処理工場の使用済核燃料受入・貯蔵施設等での291カ所もの「計画外溶接」の問題について、真剣な検討・議論をなされていることを議事録などで伺い、その議論の行方に大きな関心と期待を寄せています。また、第2回検討会では、プロセスにおいても外部の意見等を聞くべきだとのご意見も出されており、そのご意向にも期待しています。
 ところで、日本原燃は9月19日に、「再処理施設の工事計画に係わる変更の届出について」を出し、その中の「再処理施設の工事計画の変更理由」において次のように述べています。「使用済燃料受入れ・貯蔵施設におけるプール水漏えい等に係る補修、ならびにウラン試験を安全かつ円滑に実施するために必要な品質保証体制の点検について、ともに年内の終了を目指して全力で取り組むことにより、施設の健全性を確認する方針とした」。また、9月29日に出した「使用済燃料の受入れ計画の変更について」では、今年度(来年1〜3月)に420体を受入れる計画を発表し、受入れを再開する意向を早々と表明しました。
 「工事計画の変更理由」では、前記引用文に続けて「実施にあたっては工程優先ではなく」などと述べていますが、「計画外溶接」がなぜ行われたのかの解明もないまま、「補修や点検に取り組む」ことによって「施設の健全性を確認する」という方針は、まさに本末転倒。スケジュール優先の姿勢を如実に示しているのではないでしょうか。
 貴検討会においては、日本原燃の説明にはファクトがあるだけで「なぜ」がないと指摘され、その「なぜ」として、スケジュール優先があったのではないかとの重要な批判がなされています。確かに、設計どおりではなく、実際のコンクリート躯体の寸法を測ってから板取りすることは、工期の関係で不可能だったことが、日本原燃の報告書から伺えます。しかし同時に、原発の場合の約6倍もの溶接線が存在したために、工期がせっぱ詰まったものになっていたことが示唆されているものの、工期が具体的にどのように設定されていたのか、何ら明らかにされていません。スケジュール優先の責任は、大江工業にではなく日本原燃にあることは明らかです。このような問題の根本原因と日本原燃の責任が明確にされないままで、他方では局所ごとの補修と点検が公然と急いで進められています。
 その補修については、原子力安全・保安院が指示したのは昨年11月20日で、それも漏えい箇所だけです。その指示についても、問題のレベルが格段に上がった今年6月段階以後は、当然考え直されるべきではなかったでしょうか。補修優先ではなく、根本原因の究明が改めて優先されるべきだったでしょう。ところが日本原燃は勝手な判断で、291カ所すべての補修に早々と取りかかり、24時間・800人体制の急ピッチで作業を進めています。原子力安全・保安院もそれを容認しています。
 このような相も変わらぬスケジュール優先の姿勢、また、補修という既成事実で真の原因を覆い隠すというやり方が公然と許されているのを見れば、いったい貴検討会の役割は何なのか、何のために議論が行われているのかと疑いたくなります。日本原燃の品質保証点検計画を「評価し意見をとりまとめる」ことが貴検討会の第一の課題として規定されているにもかかわらず、点検作業や補修作業までがすでに行われていることは、貴検討会を愚弄していることにならないでしょうか。この問題は、貴委員会の存在意義に本質的にかかわる問題だと思われます。
 貴委員会の存在意義を明確にするためにも、まずは、日本原燃の補修と点検を中断させるべきではないでしょうか。この点について、貴委員会が、目的と課題に照らして、毅然とした姿勢を取られることを心から願い、次の点を要望します。
1. 日本原燃の勝手な補修作業と点検作業をまず中止させてください。
2. あまりにも多くの「計画外溶接」等が起こった真の原因とその責任を明らかにしてください。


2003年10月26日
再処理とめよう!全国ネットワーク

【再処理とめよう!全国ネットワーク・連絡団体】
花とハーブの里/みどりと反プルサーマル新潟県連絡会/グリーンピース・ジャパン/
グリーン・アクション/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/脱原発ネットワーク・九州