大阪市の食の安全・安心担当者あての手紙


大阪市中央卸売市場
食の安全・安心担当者 様

 前略。貴市場では、「市民への安定的かつ安全・安心な生鮮食料品の供給」を使命・目標としてうたわれ、大阪市中央卸売市場の経営課題の第1として「食の安全・安心への取組」をかかげておられます。このことに、関西市民として感謝しております。
 ところが、貴方針に抵触するような事態が、青森県産の農産物や岩手県産の海産物に生じようとしていますので、この度お手紙を差し上げるしだいです。2月7日に青森県が、県下にある核燃料サイクル施設の六ヶ所再処理工場が稼動すれば、大気と海に大量の放射性物質(放射能)が日常的に放出され、それが農産物や海産物などに実際に混ざることを発表したからです。公表によると、その放射能により、例えば米1kgからは毎秒90個の放射線がでるようになるということです(青森県公表の資料をご参照ください)。
 いま現在はまだ六ヶ所再処理工場は稼動しておりません。4月にも試運転開始かと報道されていますが、青森県が経営主体である日本原燃と安全協定を結ばなければ運転することはできないのです。
 青森県は現在、「決め手は青森県産」をキャッチフレーズにして「安全・安心な食材」の売り込みに三村知事自ら先頭に立って動いています。貴市場にも2月10日のりんご祭りに売り込みにきておられます。青森県の農産物は全国的に見ても実に貴重な位置にあります。私たちもぜひ「安全・安心」をあくまでも守っていただきたいと心から願っています。

 再処理工場から下北半島の海域に日常的に放出される大量の放射能は、南向きの津軽暖流に乗り、三陸沿岸にへばりつくようにしながら流れていきます。リアス式の湾内に入り込み、そこに蓄積されます。三陸海岸は全国的に見ても貴重な海産物の宝庫であり、それらが放射能で汚染されることを私たちは深く憂慮しています。
 岩手県議会は昨年秋に全会一致で放射能汚染について説明を求めることを決議しました。岩手県知事も強い懸念を表明し、六ヶ所再処理工場の経営主体である日本原燃に対し文書で説明を求めています。沿岸15市町村も連名で日本原燃に対し説明を求める要請書を提出しました。

 イギリスやフランスの再処理工場周辺の実態を見ても、六ヶ所再処理工場が動けば相当に広い範囲が放射能で汚染され、全国的にも貴重な食材が放射能で汚染されることは必至です。青森県県も汚染がおこることを公的に認めているのです。
 貴市場におかれても、この事情にぜひ深い関心を抱いていただき、汚染を未然に防ぐために、何らかの懸念の表明あるいは状況の問い合わせなどを青森県内の当事者に対して行っていただけないかと思う次第です。また岩手県内の当事者に対しても事情の問い合わせなど行っていただきたいと思う次第です。

 ぜひこの問題について深くお考えいただくようお願いいたします。草々。

      2006年3月16日
          グリーン・アクション(代表:アイリーン・美緒子・スミス)
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                TEL:075─701─7223  FAX:075─702─1952

          美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(代表:小山英之)
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                TEL:06─6367─6580  FAX:06─6367─6581