六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会(第12回)への要望書
化学試験中に生じた不適合をクリアしないまま
ウラン試験に入ることのないよう、指導してください



2004年6月17日

 日本原燃は6月14日に、「再処理施設の化学試験に係る報告書(その2)の概要について」を公表しました。それに関して、まず次の点を確認することができます。
1. 化学試験に係る不適合等79件のうち、報告書(その1)で再試験が必要とされながら未実施であった2件のうちの1件(第2酸回収系不良)については再試験が終了したと報告されています。さらに、機能確認等が未だに実施されていない3件については、ウラン試験開始までに措置を終了させることになっています。しかし、残りの1件の不適合(臨界安全に係る施錠弁に関する計算機ソフトウエアの改造)については、再試験をウラン試験開始前に行うのではなく、段階を飛ばしてアクティブ試験開始までに行うことにしています。実際、ウラン試験計画書の25頁に、「臨界安全に係る施錠管理がシステムとして問題なく機能すること」が、確認事項として今年3月16日に追加されています。
2. 化学試験に直接関係しないものを含めると不適合は合計414件も発生しています。そのうち工事等を実施中の件数が67あります。ところが、これらをすべてウラン試験前までに実施するのではなく、「ウラン試験以降に措置が継続されるもの」が11件あります。

 日本原燃が行っている試験は段階を追って行われているはずのものです。このことは、日本原燃発行のパンフレット「六ヶ所再処理工場における試験の概要」の中でも、「このように段階的に試験を行いながら、設備の操作性、保守性、安全性等を確認し、不具合があればその都度修正(改善)して次の試験へとひとつひとつ確かめながら進めていくことにしています」と記述されています。化学試験中の不適合を11件も残したまま、次の段階であるウラン試験に入るというのは、やはりスケジュール優先の姿勢だとしか考えられません。
 とりわけ、化学試験に係る不適合である1件は臨界安全に関するものです。日本原燃は、劣化ウランは臨界の危険がないことを、ウラン試験前に再試験をしなくてもよい理由として挙げています。しかし、それならなぜこの試験を化学試験の中に置いたのでしょうか。現に、貴検討会第1回に提出された参考資料5である「原子力安全・保安部会 核燃料サイクル安全小委員会報告書『日本原燃(株)再処理施設試運転段階の安全規制について−試運転計画の確認の基本方針及び使用前検査の進め方−』について」の表「日本原燃再処理施設の試験運転段階の安全規制(試験運転計画の確認と使用前検査)の流れ」には、化学試験の欄の「ウラン試験で必要となる安全機能について」の中に、「臨界安全機能注」が含まれており、その注)として、「臨界安全機能は総合試験(引用者注:アクティブ試験)で必要となる安全機能であるが、この時期に実施」と明記されています。
 それなのに、実際に試験をして不適合が生じてみると、この試験は元々次の段階でしてもよかったのだと言い訳しているのです。臨界安全に係る重要機能の不適合が現に起こったのに、なぜその是正に直ちに取り組もうとしないのでしょうか。その再試験をしないままウラン試験に入ることはけっして許されることではないと考えます。まして、日本原燃はプールの不正溶接等、さまざまな問題を引き起こした当の企業であることを、けっして忘れないでください。
 以上の考えに従って、以下の点を要望します。

要 望 事 項

 化学試験の過程で発生した臨界安全に係る不適合を含む11件の不適合については、ウラン試験を開始する前に必ず再試験または措置を行うよう、日本原燃を指導してください。

2004年6月17日


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