日本原燃・修正点検計画の評価にあたっての
検討会への要望書
──日本原燃の当初工程表及び変更工程表を検討してください──



2003年12月9日

六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会
主査 近藤駿介様
委員 各位様

 日本原燃の修正点検計画書が12 月11 日の検討会で説明されるとのことです。これについて原子力安全・保安院は、「検討会でかなり注文がついた。品質保証体制点検計画書の修正版に再注文をつける内容にはならないだろう」と話していると、12 月5 日付け電気新聞は報じています。当の修正点検計画書がまだ提出されてもいないのに、保安院が委員のみなさまの結論をこのように先取りしているとすれば、それは貴検討会を軽視する行為ではないでしょうか。
 これまで4 回の検討会での議論を通じて、貴検討会のみなさまは、日本原燃の建設能力に疑わしい点が多々あることについて、十分に把握しておられることと私たちは察しています。けっして、原子力安全・保安院がいうような、無批判な姿勢をとられることはないと信じています。
 私たちは、検討会のみなさんが日本原燃の修正点検計画書を評価されるにあたって、次の点にぜひとも留意されるよう切に要望いたします。

1.「不適切溶接施工についての原因究明」に関する検討会4 回の議論が十分考慮されているか、厳密な評価を行ってください
 日本原燃の修正点検計画に、「不適切溶接施工についての原因究明の結果」に関するこれまで4 回の検討会で議論されてきたすべての内容が、十分に考慮されているかどうかを、厳密に評価してください。

2.不適切溶接施工の原因究明はまだ終了していません。そのように扱ってください
 近藤主査は第4 回検討会での最初の議論の最終場面で、貴評価意見の最終まとめに入る直前において、スケジュール問題に関する議論をいったん抑えて、「この原因問題はだんだんと真実に近づけていけばよいのであって、今日で終わるわけではない」との趣旨の発言をされています。つまり、原因問題はけっして終了していないことを確認されています。
 また、第4 回検討会で松田委員が、「点検されていたのになぜ不正溶接が起こったのか、これを丁寧に書くべきだ」との趣旨の発言をされています。
 ところが、「不適切溶接施工に関する問題点の原因究明」は終了したかのような趣旨が、11 月14日付け貴評価意見の最後の部分に書かれています。その判断は上記のように第4 回検討会での議論内容に反しているのではないでしょうか。この原因究明はまだけっして終了していないという扱いをされるべきなので、その旨要望します。
 もし検討会として「不適切溶接施工に関する問題点の原因究明」は終了しているとのお考えならば、不適切溶接施工の原因は何なのかを、誰にも分かるように明確に規定してください。

3.当初工程表及び変更工程表を提出するよう日本原燃に求め、それを一般に公表してください
 とりわけ、スケジュール優先が「不適切溶接施工」の原因ではないのかという問題については、毎回の検討会で議論されてきており、「この議論はずーっと続いている」との発言も第4 回でもまだなされています。また、近藤主査自身が第4 回検討会の議論の冒頭で、「スケジュールに関する議論がやや空回りをしている。答えてないに等しい」という認識を示されています。
 これまで日本原燃は、スケジュール優先はないとの立場を表明していますが、その理由として挙げているのは、当初スケジュールに関する状況説明ではなく、スケジュールをなぜ変更しなければならなかったのかという理由に過ぎません。これはスケジュール問題の焦点をはぐらかすものであります。日本原燃がはぐらかしていることの本質を委員のみなさまは十分にご理解されていると、議事録を通じて私たちは感じています。
 例えば、問題になっているのは過去のスケジュール問題なのに、日本原燃がスケジュール優先ではない「証拠」として、つい最近の社長記者会見まで持ち出したことなどは、一種の嘲笑の的にさえなっていると言えるでしょう。
 これだけスケジュール優先問題が繰り返し議論されてきたのに、奇妙なことになぜか、この問題はあいまいなままにされています。
 本当は、スケジュール優先問題の背後には、使用済み核燃料の原発サイト内貯蔵に関する逼迫状況があったのではないでしょうか(私たちはそのような状況証拠をつかんでいます)。

 スケジュール問題に関して明白にすべきことは、次のような点だと考えます。

 ― a スケジュール(特に工程終了時期)が何に合わせて決められたのか。
 ― b 工事量が軽水炉の場合の6 倍もあったのに、なぜ軽水炉と同様の工事期間が決められたのか(十分な人数が投入されたと日本原燃は言っていますが、その根拠は明らかではありません。むしろ、日立と三菱の比較からそうではないことが明らかです)。
 ― c その工程を決めるとき、コンクリート躯体の現場での寸法測定なしで板取するような工法が明らかに予定されていましたが、なぜそのようなことが、そして誰によって許可されたのか。
 ― d スケジュール問題と関連して、日立で不正が多く、三菱で少なかったのはなぜか。
 検討会として、改めて以上の問題を解明されることを要望するとともに、次の点を強く要望します。
──当初工程表及び変更工程表を提出するよう日本原燃に求め、それを一般に公表してください──

4.日本原燃は市民に説明責任を果たすべきです。貴委員会のご配慮をお願いします
 「不適切溶接施工」問題について、日本原燃は国民に広く説明すべきです。とりわけ地元青森県の人たちに丁寧に説明すべきです。この点、11 月14 日付け貴評価意見には、短い文章の中に「地域社会などからの信頼回復」という言葉が3 回も書かれているほどです。
 ところが、日本原燃はその地域社会からの説明せよとの要望をにべもなく冷淡にはねつけています。このようなことがないよう、貴検討会としても配慮してくださるよう要望します。

5.貴検討会の議事録を速やかに公開してください。また、市民がビデオ撮影できるオープンな会議にしてください
 貴検討会の議事録がきわめて速やかに公開されるよう要望します。ちなみに、第4 回検討会の議事録はいまだに公開されていません。
 また、市民による検討会のビデオ撮影について原子力安全・保安院は、公開の原則に反して、会議冒頭の3 分しか許さないという態度ですが、この禁止の姿勢には根拠がないので、11 日の会議を含めて全面許可するようにしてください。

 以上、要望します。


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