六ヶ所再処理計画およびその安全評価に関する質問書



経済産業大臣 平沼 赳夫 様

 私たち「再処理止めよう!全国ネットワーク」は、プルサーマル計画が頓挫しているという現状、および、私たちが実施したはがきによる海流調査を踏まえて、下記の質問を行います。回答は1週間以内に文書でお願いします。また、その内容について私たちに直接説明し、かつ質疑できる場を設けてください。

1. 六ヶ所再処理計画の目的はすでに失われているのではありませんか

 ご承知のとおり、福島県は福島第一原発3号機の、新潟県は柏崎刈羽原発3号機のプルサーマル計画承認を白紙に戻しました。福井県の高浜原発4・3号機のプルサーマル計画もBNFLの不正によっていまだに何らの目途も立っていません。プルサーマル計画は事実として頓挫した状況にあります。
 この場合、貴職が刈羽村で2001年5月14日に撒いた署名入りのビラのとおり、六ヶ所再処理工場は目的を失っています。事実、貴職はそのビラで「我が国のプルトニウムの利用は、当面原子力発電所における燃料としての利用がほとんどとなるため、プルサーマル計画が進まず、原子力発電所における利用が進まないとなると、使い終わった使用済燃料のリサイクルが困難になります。リサイクルしないなら、使用済燃料を原子力発電所からリサイクル施設(青森県六ヶ所村)に運び出すわけにはいきません」と率直に認めています。まさに、貴職が認めたとおりの状況がいま到来しているのではないでしょうか。
 それにもかかわらず、使用済み燃料は何の躊躇もなく六ヶ所再処理工場に運びこまれ、再処理工場は化学試験をも開始しました。しかし他方、福島県知事はこの状況をいったん停止するよう提言しています。

質問1.貴職は前記ビラでの言について、現在の状況に照らしてどう考えているのですか。その言の内容について、どのように責任をもつのですか。
質問2.もし、プルサーマル計画はまだ生きているとの認識であれば、いつ実施できるのか具体的な目途を示してください。
質問3.プルサーマルを実施できる目途が立たないのに再処理工場を運転すれば、減らすべきプルトニウムがますます増えるのは自明の理です。この点はどう考えているのですか。
質問4.貴職のビラの言に立てば、少なくともプルサーマルの目途が立つまでは、再処理工場計画を停止し、使用済み燃料の搬入も停止すべきだということになるのではありませんか。
質問5.現在の状況で使用済み燃料を六ヶ所に運び込めば、青森県は核のゴミ捨て場になる恐れがきわめて高いと考えられますが、この点はどのように考えていますか。

2. 日本原燃が六ヶ所再処理工場について行った安全評価には、虚偽が含まれているのではありませんか。

 日本原燃が六ヶ所再処理工場の事業許可申請書で行った安全評価には、放射能の海洋放出による被ばくが含まれています。そのうち、海藻類は泊漁港で採れるものを食べるとされているため、泊漁港での放射能濃度評価が直接に効いてきます。
 この点、日本原燃の行った海流の想定では、下北海域の海流はどこでも同じ向きと速さをもつとされているばかりか、西向きの流れはいっさいないと仮定されています。それどろか東向きに強めの流れがあると仮定されており、要するに海岸線から放射能が遠ざかるように仮定されています(事業許可申請書第5.1-31表及び第5.1-32表)。この結果、泊漁港にはあまり放射能が行かないことになり、海藻類経由の被ばく線量が小さいという結果になっています。
 しかし、私たち「再処理とめよう!全国ネットワーク」が8月末に実施したはがきによる海流調査では、はがきは大挙して泊漁港方面に押し寄せていきました。海上保安庁の海流観測の結果でも、西向き流は、この季節ばかりでなく他の季節でも存在しています。これらの事実に照らせば、日本原燃の西向き流なしとの仮定は、きわめて恣意的なもので、ある種の虚偽が行われたと言わざるを得ません。このような虚偽は、日本原燃の安全評価全体に対する信頼性を失わせるものです。

質問6.なぜ貴職はこのような虚偽の仮定を含む安全評価を妥当と認めたのですか。
質問7.日本原燃は1年間かけて海流観測をしているのに、なぜその21地点の測定データを平均せずに忠実に使うよう指導しなかったのですか。
質問8.日本原燃の仮定では、放射能は海岸線で完全反射されて海に戻るとされています。ところが、はがきは多数が海岸に打ち上げられました。海岸に打ち寄せられ蓄積される放射能による被ばくが完全に無視されているのに、なぜ妥当と認めたのですか。
質問9.日本原燃は海洋放出口のごく近辺での被ばく評価しか行っていません。ところが、放出された放射能はいったん広がった後、再び三陸海岸付近の狭い海路に集中する傾向があります。三陸海岸付近は豊富な漁場であるだけに、そこでの魚介類や海藻類の放射能汚染はきわめて深刻な問題です。三陸海岸付近の放射能濃度がどうなるか、そこの魚介類や海藻類を食べる全国の人たちの被ばく線量がどうなるかを評価する必要があるのではないでしょうか。

 以上の質問事項に明確に文書で答えてください。


2002年12月25日
再処理とめよう!全国ネットワーク
【再処理とめよう!全国ネットワーク・連絡団体】
グリーン・アクション グリーンピース・ジャパン 脱原発ネットワーク・九州
花とハーブの里 みどりと反プルサーマル新潟県連絡会 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会

【質問書・賛同団体】
[北海道]ITERネット・北海道 核の諸問題を考える会 クリーンエネルギーフォーラム北海道支部 ぐりんぴーす(室蘭) 健康をつくる会 原発いらない小樽市民の輪 沙流川を守る会 市民グループ大地の会 消費生活を考える会 苫小牧の自然を守る会 日本婦人会議札幌支部 函館・「下北」から核を考える会 フリースクール『虹』 ホタル通信社 北海道大きなかぶの会 北海道平和運動フォーラム 無防備・非核市民ネットワーク北海道 山道アイヌ語学校スタッフ [青森]牛小舎 グリーンアクション・六ヶ所 核燃から海と大地を守る隣接農漁業者の会 核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会  [新潟]柏崎原発反対地元三団体 刈羽村いのちを守る女性の会 プルサーマル中止を求める新潟県連絡会 プルサーマルを考える柏崎刈羽市民ネットワーク 巻原発を考える新潟市民フォーラム [宮城]原子力発電を考える石巻市民の会 ! みやぎ脱原発・風の会 [茨城]反原子力茨城共同行動 [福島]脱原発福島ネットワーク [千葉]核燃やめておいしいごはん 原発いらない!千葉 [東京]原子力資料情報室 ストップ・ザ・もんじゅ東京 福島老朽原発を考える会 [静岡]浜岡原発を考える静岡ネットワーク [福井]原子力発電に反対する福井県民会議 原発設置反対小浜市民の会 [広島]プルトニウム・アクション・ヒロシマ [徳島]核について考える会・徳島



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