アクティブ試験・ガラス固化工程に関する1月15日保安院交渉
「第4ステップでA、B両系統の性能確認を行うという計画に変更はない」
この確認を踏まえ、さらに、ガラス固化トラブルの実態を明らかにさせよう

 昨年12月28日に日本原燃は、年末年始の作業について、「11月からアクティブ試験を実施しているガラス固化溶融炉については、溶融ガラスの粘性が高くなり、ガラスの流下に時間を要する状況であることから、12月27日から炉内にある溶融ガラスを抜き出す作業を実施しており、当該作業を継続して実施します」と発表した。当初から問題視されていたガラス固化溶融技術の本質的な欠陥、白金族問題が露呈したのは明らかだ。アクティブ試験の中で百数十本の固化体をつくる予定でありながら、11月に21本つくった後、早くもにっちもさっちも行かないような状況に追い込まれている。その抜き出し作業も実際に開始したのは1月11日になったという(1月15日付電気新聞)。
 アクティブ試験の各工程の中で、ガラス固化建屋の進捗率は41%で、他の80〜100%と比較して圧倒的に低い。アクティブ試験の終盤の進行はまさにガラス固化工程の如何にかかっている。その進行が思うようにいかないためか、日本原燃は12月14日付で「再処理施設アクティブ試験計画書(使用済燃料による総合試験)」に関する内容改正を保安院に提出した。
 その改正についてデーリー東北は、12月15日の記事で「第4ステップで性能確認を終える予定だった2系統の製造工程のうち、片方を先行させる。もう一方は第5ステップに先延ばしした」と書いている。このニュースソースは日本原燃以外に考えられない。ガラス固化溶融炉は2機ありA、Bの系統を構成しているが、12月14日の改正ではA系統だけの性能確認を先行させ、B系統は第5ステップに先延ばししたと見られている。事実、電気新聞の12月28日付WEB版でも、「アクティブ試験の第4ステップは、2系統あるガラス固化工程のうちA系統で国の性能検査が受けられると判断した段階で終了する」と報じていた(ただし、紙面版ではこの記述は削除)。
 この変更内容が事実なら、昨年7月17日に日本原燃が第13回核燃料サイクル安全小委員会に提出した参考資料4に書かれている、第4ステップでA、B両系統の性能確認を行うという予定が変更されたことになる。ところが、1月15日の交渉で、保安院・核燃料規制課の金城慎司・課長補佐は、「そのような変更の報告は受けていない」と明確に何度も何度も繰り返した。この発言によって、日本原燃は第4ステップ内でA、B両系統の性能確認を行う予定を変更していないことが確認された。さらに、我々の要望書では「それゆえ、日本原燃は予定どおりに、B系統についてもこれから第4ステップ内で性能確認を行うものと私たちは理解し、貴院も当然そのように指導されるものと考えています」と書いているが、これについて金城氏は「そのとおりだ」と同意した。つまり、変更届けを受けていないだけでなく、そのような変更は認めないとも表明している。この点を我々はしっかりと確認しておきたい。
 また、金城氏は要望書に書いたガラス固化をめぐるさまざまな事実については、「特に争うつもりはない」と表明した。今回、抜き出し作業までしなければならないほどのトラブルは、事前に予期されたものだったことを認め、それによって、ガラス固化の現に起こっているトラブルは驚くようなものではないと言いたいようだった。しかし、このようなトラブルを事前に予期すること自体が異常なのだ。この点を言うと苦笑いするだけだった。
 ガラス固化工程が停滞したまません断・溶解工程を続けると、超危険な液体状の高レベル廃棄物が溜まり続けることになる。このような事態を避けるために、私たちは再処理作業を直ちに停止するよう要望書で要請している。またガラス固化工程の実態は余りにも明らかにされていないがゆえに、トラブルなどの実態をあるがままに明らかにするよう要求している。とりわけ、ガラス固化試験に使う廃液が不足しているなどというが、それなら不良品をたくさんつくっていることになる。廃液の量とガラス固化体の本数、不良品の量を明らかにするよう要求した。これらについては、小委員会や再処理WGの委員に要望書を手渡すことも含めて、川田龍平議員に回答がくることになった。
 アクティブ試験の今後については、第4ステップのガラス固化工程について日本原燃が性能確認結果を保安院に報告する。保安院はそれを再処理WGにかけ、さらに小委員会にもかけると明言した。その後、第5ステップに入り、そこで保安院は現場に行って使用前検査を行い、規定どおりの速度(70リットル/h)でガラス固化ができるかどうかを、A,B両系統について行うと述べた。
 今回の確認によって、アクティブ試験工程は相当に遅れることが明らかとなった。逐一の内容を公開させ、そこに介入していけばアクティブ試験が3月中旬までには終了することはきわめて難しくなる。そうすれば、年度内に本格運転に入ることは事実上できなくなる。そのように介入しながら、同時に、次の安全協定締結阻止に向けた運動を準備していこう。
なお、1月15日交渉の全体については、ふくろうの会でまとめていただいているので、それを参照されたい。

(08/01/17UP)