日本原燃の2月4日付報告書
「再処理施設アクティブ試験第4ステップにおける
高レベル廃液ガラス固化設備の試験状況報告」に関する
核燃料サイクル安全小委員会委員各位への要望書

ガラス固化試験は根本的な欠陥が未解決なことを確認しただけです
第4ステップの終了を認めないでください


核燃料サイクル安全小委員会
委員                 様

2008年2月9日
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会

 2月4日付原燃報告書は、むしろガラス固化技術に本質的な欠陥があり、それがなんら克服されていないことを誰の目にも明らかにしています。欠陥技術でガラス固化をすることは危険で無謀です。
 下記の問題点・疑問点をもつ原燃報告書は審査に値するものではないため、直ちに差し戻すよう原子力安全・保安院に進言してください。第4ステップの終了をけっして認めないでください。
1.A系統だけの試験で第4ステップを終了するという手続き変更はなされていません。
2.B系統も運転しながら、それに関する報告が出されていません。
3.A系統は6.5日の連続運転の後、白金族問題で故障続きです。
4.70L/hの処理能力確認が確かになされたという具体的証拠が示されていません。
5.白金族問題はなんら解決していません。
6.グラフによる説明のない期間があります。
7.1100℃以下で製造された欠陥ガラス固化体が12月4日までだけで数体存在します。

説  明

1.昨年7月17日の小委員会に提出された参考資料4ではA,B両系統の試験を第4ステップで行う計画になっています。その計画についての変更申請が提出されていないことを、私たちは今年1月15日に原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課の金城慎司課長補佐に何度もなんども確認し、2月7日にも改めて同氏に確認しました。
したがって、2月4日付報告書での計画変更は日本原燃が勝手に行ったものなので無効であり、小委員会の議題にもなり得ないものであることは明らかです。

2.原燃報告書の図-23に「B系で運転」と3箇所に書かれていますが、それがどのようなものだったのか、まったく説明されていません。

3.「ガラス溶融炉運転性能確認試験」は図-3の示す最初の区間で行われただけで、そのときはまだ白金族が溜まる前だったのです。その後白金族問題で悩まされ続けているので、とても性能確認がなされたとは言えません。

4.処理能力確認試験については、3頁で「判定基準である70L/hを上回る処理能力があることを確認した」と述べているものの、それは言葉だけでその具体的証拠がどこにも示されていません。8体のガラス固化体を製造したというものの、そのときの処理速度が記述されていません。モックアップ試験の報告(サイクル機構技法 No.14, 2002.3)では、処理速度を示すグラフが書かれていますが、原燃報告書ではそのようなグラフはまったく見当たりません。

5.原燃報告書では1頁で、「また、白金族元素の堆積が発生していることを判断するための指標を定め、指標に達した場合には炉底攪拌操作を行うこととした。これにより、白金族元素の影響を考慮し、管理された運転状態が維持できると考えた」と書かれています。ところが9頁の結論では、「『白金族元素の影響を考慮し、管理された運転状態で維持されること』については確認出来なかった」となっています。このように、最も肝心の白金族問題については、モックアップ試験の段階にさえ達していないことが図‐12でも確認されているのです。

6.グラフによって運転性能を示す必要がありますが、12月6〜10日及び12月17日以降にはそのようなグラフが示されていません。

7.グラフの縦軸はすべて白紙で情報が著しく隠されています。それでも、報告書図-12にモックアップ試験との比較があり、モックアップ試験では温度が公表されているので、そこからガラス温度や底部電極温度を推定することが可能です。また、ガラス材を落とす時は底部電極温度のピーク時点から分かります。これらに基づくと、明らかに1100℃以下で作られた欠陥ガラス固化体が12月4日までだけで数体存在します。さらに、12月17日以降にも多く存在すると推定されます。
 また、炉底攪拌操作、洗浄運転や抜出し操作で造られた多くのガラス固化体も、「製造したガラス固化体本数」に数えられています。
 このような地層処分に耐えられない欠陥ガラス固化体が多数できる状態では、仮に本格運転でガラス固化体を製造しても、地層処分の引き受け手はどこにも現れないことでしょう。

 日本原燃のガラス固化技術がこのような本質的な欠陥をもつことは、当初から十分に予測されたところで、やはりそれが現れるのは避けられなかったということです。このような欠陥を吐露するような報告書をけっして安易にお認めにならないよう、強く要望いたします。


連絡先
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    美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(代表:小山英之)
    TEL:06−6367−6580/FAX:06−6367−6581

(08/02/09UP)