経産省が使用済み核燃料の直接処分コスト試算を隠ぺい

ウソと隠ぺいで塗り固められた再処理
当時の原子力部会委員である近藤駿介氏(現原子力委員長)は事実を知らなかったのか
六ヶ所再処理工場のウラン試験を中止せよ
プルサーマル計画を中止せよ
核燃料サイクル政策を転換せよ



 使用済み核燃料の直接処分のコスト試算を行った資料が、突然、資源エネルギー庁のロッカーから見つかった。10年前の1994年に作成された資料である。これまで経産省・資源エネ庁は、直接処分のコスト試算はやっていないと繰り返してきた。今年3月の福島瑞穂議員の国会質問に対しては、当時の日下エネ庁長官が存在しないと答弁した。6月7日に全国の市民団体が行った交渉の時にも、資源エネ庁・原子力政策課の職員が、同じく「我々としてはそのような試算は行っていない」と平気で話していた。
 またもや、都合の悪い資料の隠ぺいだ。10年前のコスト試算では、国内再処理の場合は2.30円、直接処分の場合は約半分の1.23円と試算されている。この数字が公になれば、再処理工場、核燃料サイクル政策への批判の声が高まることを恐れて隠ぺいし続けた。しかも再処理費用は当時より格段に上昇している。はじめにプルトニウム政策推進ありき。それに都合の悪い資料はひた隠す。これが日本の原子力政策の本質だ。

 今回経産省が公開した資料は、総合エネルギー調査会原子力部会の下にある、非公開の、「核燃料サイクル及び国際問題作業グループ」の議論用として資源エネ庁が作成した。資料は、1994年2月4日の「作業グループ」の会議に提出された。「要回収」の判が押されており、回収したという。そして、同年6月10日の原子力部会がまとめた「中間報告」では、「最終処分の見積もりが極めて不透明であることから、両路線の比較を行うこと自体が困難である。」と結論づけた。
 この当時の原子力部会の委員には、近藤駿介氏(現原子力委員長)、木元教子氏(現原子力委員)も名前を連ねている。問題の資料が出された作業グループの議論の内容等は、原子力部会に報告されていなかったのだろうか。近藤氏は、コスト比較を行っていたという事実を知らなかったのだろうか。また、当時の作業グループの委員は一体誰だったのか等々、経産省は明らかにすべきである。

 政府は、10年間、再処理が高くつくことをひた隠しにし、多くの反対の声を踏みにじり、核燃料サイクル路線を推進してきた。政府・経産省は、この10年間の隠ぺいについて、全ての資料と経過等を明らかにすべきだ。「訓告」や「厳重注意」で済むような話ではない。その責任は重大だ。
 六ヶ所再処理工場のウラン試験を中止せよ。
 プルサーマル計画を中止せよ。
 核燃料サイクル政策を転換せよ。

2004年7月6日
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会