2006年2月17日

青森県知事 三村 申吾様

青森県知事への要望書
余剰プルトニウムが発生することを政府答弁書が認めた
六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を許さないよう要望します

  青森県は、六ヶ所再処理工場のアクティブ試験で抽出されるプルトニウムの利用は、国の原子力政策大綱によって保証されているとしています。しかし、これが誤りであることが、六ヶ所再処理工場回収プルトニウム利用計画に関して、2月1日付で近藤正道参議院議員から提出されていた質問主意書に対する2月10日付政府答弁書により明らかになりました。六ヶ所再処理工場のアクティブ試験により、余剰プルトニウムが発生するのは避けられません。
 答弁書は、電力各社のプルトニウム利用計画について、記載の不備には一切ふれず、プルサーマルをやるとの形式的な宣言を「妥当なもの」としています。また、答弁書は、プルトニウムの「『保有量が何トン以上になれば需給のバランスが崩れる』というような考え方はしていない。」とし、プルトニウムを大量にため込むことを容認しています。
 さらに、1月24日の原子力委員会の見解のなかで「再処理工場で回収されたプルトニウムの利用先や利用時期が詳細に確定するのは、相当期間の貯蔵の後になることもあります。」とある「相当期間」については、「一概にお答えすることは困難である。」とし、プルトニウムの貯蔵が長期間に及ぶことまで容認しています。
 結局政府は、余剰プルトニウムを持たないという自らの約束を反故にし、余剰プルトニウムが長期間、大量に発生することを前提とした上で、プルサーマルで使うとの決意表明にすぎない電力各社の計画を認めているのです。
 これはプルトニウムの需給バランスを問題にした1991年のプルトニウム需給見通しや1994年の原子力長期利用計画に反し、1997年に政府が国際原子力機関IAEAに対するステートメントで「計画遂行に必要な量以上のプルトニウム、すなわち、余剰プルトニウムを持たないとの原則を堅持」する旨を宣言した国際公約にも反します。
 これについて答弁書は、「現在も御指摘の『余剰プルトニウムを持たない旨の宣言を堅持すること』に変更はない。」と主張しています。その上で、「利用目的のないプルトニウムを持たないという原則を堅持すれば、プルトニウムの『需給がバランス』することにもなると考えている。」との奇妙な論理を展開しています。
 しかし、「需給バランス」で問題となっていたのは、具体的な供給量に対し具体的な需要量がバランスするという文字通りのもので、利用の意思にすぎない「利用目的」が宣言されていればいいというものではありませんでした。「利用目的があれば需給がバランスする」というような主張が、国際社会に通用するはずがありません。
 プルサーマルについての電事連の「不退転の決意」は単なる「決意」にすぎず、実質の伴わないものであることは明らかであり、三村知事がこれを再確認するのは全く意味のないことです。国際的な懸念の元となる余剰プルトニウムを生み出すだけの六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を認めないでください。

グリーン・アクション/グリーンピース・ジャパン/原子力資料情報室
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美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会

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