報   告
6月12日 原告134名で、国を相手とした裁判を大阪地裁に提訴
大飯発電所3号機、4号機運転停止命令請求事件

「首相のメッセージを聞いて怒りがこみ上げてきた」

 平日の午後2時という集まりにくい時間帯、また小雨降る中でしたが、大阪地方裁判所前に約60人の方が集まって提訴行動に参加しました。提訴自体は窓口カウンターに書類を提出する事務的で地味なものですが、その訴状が政府に届けられるわけです。緊張感を持って見届けました。
 その後、川を渡ったところにある中之島中央公会堂の展示室で午後3時より提訴集会が行われました。
 原告の方、支援の方含めて、約70人の参加となり、いすが足りないほどでした。「わずか3日間の原告募集期間にもかかわらず、134名もの原告が集まったことは、大飯原発の再稼働をなんとしても止めたいという強い意思の現れである」など、グリーン・アクションのアイリーンさんの挨拶から提訴集会が始まりました。
 熱気あふれる中、弁護団5人の内、出席された3人の弁護士の方々からこの裁判の持つ意味などについての説明、報告がなされました。「運転停止を命ずることができ、かつ、停止を命ずる義務のある経済産業大臣」に、「運転停止を命ずることを求める」という珍しい訴えとなっていること、「立法対国」が問われている重要な裁判であることを伺いました。
 続いて、美浜の会小山さんからは、新しい知見である大飯原発真下の破砕帯の問題、3つの活断層が連動して動いた場合に制御棒を基準値(2.2秒)以内に挿入できないという問題についての報告がありました。
 そして、134名による原告団が結成され、原告団共同代表、事務局長、会計の指名と承認が行われ原告団の規約案、事務局のメンバーも承認されました。
 その後は、原告や支援者の4人のお話が続きました。
 福井県若狭町の石地さんは、「福井県の西川知事が国と責任のボールを投げ合って、何とか責任を取らずに済むようにしている、そして知事は"首相が国民にきちんと説明するように"、と求めましたが、その言葉をそっくり知事に言いたい、知事は福井県民に対して何の説明もしていない。また、知事は関西の府県首長に対して、福井県はずっと苦しんできたんだ、といった態度だが、県の中心は原発から遠く離れた嶺北であり、原発のある嶺南の住民から、そのままそっくり知事に返したい」といった話を伺って、その知事が「福井県の理解」を示すことに恐さを改めて感じました。
 宮城から大阪に避難してきた人は、「政府の無責任さには以前から腹がたっていたが、関西電力相手の裁判に続いてだったのでこの国相手の裁判の原告になるかどうか迷った。そして、野田首相の国民向けのあのメッセージを聞いて、本当に怒りがこみ上げてきた。福島事故の責任もとらず、『国民の生活のために再稼働』という言葉を聞いて、どこまで無責任なんだと思った。それで原告になることを決心した。」と力強く話されました。京都北部の方からは「"サイレントマジョリティ"と呼ばれるまだ意見を表明しない多くの皆さんに動いてもらえるように、これからも努めたい」と訴えられました。滋賀県が作成し、京都府が公開していなかった放射能拡散シミュレーションを公開させた京都の支援者は、「公開がなぜなされないのか、その情報の開示不足が問題であり、このような状況で再稼働が行われるなど本末転倒だ」と話されました。そのどれもが深く共感する内容でした。このような思いを持ってこの裁判に臨んでいます。
 ぜひ、多くの皆さんのご支援をいただき、裁判の経過を共有しながら、ともに頑張っていきたいと思います。

2012年6月12日
                                  原告S(京都)

(12/06/14UP)