[報告] 大飯原発3・4号運転差し止め仮処分裁判 第2回審尋(5月21日)

安全設計審査指針はなくても、「生の安全性」がある−関西電力

 2012年5月21日13:30から約30分間
「関西電力大飯原子力発電所3号機、4号機運転差止仮処分命令申立」第2回 審尋 
    大阪地方裁判所508号室
    裁判官3名、書記官1名
    債権者(原告262名)代理人弁護士4名 原告出席者23名
    債務者(関西電力)代理人弁護士 7名 関西電力側8名

 まず、裁判官が5月17日に提出された債務者の主張書面6頁・7頁について質問をしました。
 裁判官の「"所定の手続きを経ることなく安全設計審査指針等が存在しない状態にならない"、"本件発電所の安全性については安全設計審査指針等の存否で直ちに判断されるものでもない"について、どういう位置づけなのか。2段構えの反論なのか。」の問いに、債務者(関電)
 代理人弁護士は、「安全設計審査指針は廃止手続きをしていないので『ある』。また、指針と、安全性自体は別問題で、指針が仮に存在しなくても『生の安全性』は確保されている。」と答えました。
 これに対し裁判官から、「指針は廃止の手続きはされていないという意味では形としてはあるということだ。しかし、それが規範としてあるのかないのか、実際に判断に耐えるものかが問題だ」との重要な指摘がありました。
 さらに、裁判官は、「債権者(原告)の主張書面にも主張立証責任について主張があり、判例の流れがあるのは踏まえた上で、債務者(関電)に(主張立証責任があるということだが、)債務者(関電)には、新たな主張があるのか。債権者(原告)の方は、具体的な問題をいくつか挙げているが、それに対してどうするのか? 」と問いかけ、債務者(関電)代理人弁護士は、「検討する。」と回答しました。
 債権者(原告)代理人弁護士からは、「国は再稼働を進めているため、6月末から7月の初めには結審を希望する。次回、期日までに答弁書を出されたら、こちらの反論も提出する。」との意向を発言したが、債務者(関電)代理人弁護士は、「専門技術的なことで、裁判所に理解していただくよう説明するためには時間がかかるので6月末にしか出せない。(提訴からは十分時間があったというが)今回も新たな主張が出てきたので、それから時間をいただきたい。」と、またも誠意のかけらも見られない回答をしました。
 裁判官は、「債権者の主張はもう全て終わったか。そうであれば、債務者にも十分な主張をさせるよう、期日を6月末と決める。債権者には、判断すべき項目、それに関連する書証はどれかをメモにて提出し、どれの判断が必要かを明らかにしてほしい。」と結びました。

  *次回は、6月29日が債務者提出期限で、審尋は7月9日13:30〜

 最後に、感想をまじえて一言。
 関電側の言う「生の安全性」は、実際に対策を取っているということを言っていると思われます。その「『生の安全性』でいけるんだ」という主張は、「国の定める基本的な指針や安全評価が無くても、関電が安全だと言えばそれで安全だ」と言ったにも等しく、暴論です。
 ずっと原子炉を動かしてきた事業者であるにもかかわらず、その安全性については専門的技術的であるため裁判所に説明するには時間がかかる、そして説明ができなくても運転再開はできるとは!

 車の運転に免許は不可欠です。無免許はもちろん、免許証不携帯でも運転したらいけないのです。免許証を発行できない事態においては、自作の免許証があれば運転してもいいのでしょうか。                                

原告 S

(12/05/24UP)