大飯原発断層の掘削調査を実施させ、大飯原発の再稼働を止めよう! 7月8日緊急集会報告
「写真もボーリングも必要ない。掘って岩盤を出せば決着がつく」
市民及び国会議員の緊急署名を広げ、国に掘削調査の即時実施を迫ろう

  
 
 7月8日、大飯原発運転差し止め裁判原告団主催で、「大飯原発断層の掘削調査を実施させ、大飯原発の再稼働を止めよう!7月8日緊急集会」を大阪市内で行った。ゲストとして東洋大学の渡辺満久教授をお招きした。急な呼びかけにもかかわらず、関西全域から約150名もの参加があった。
 大飯原発3・4号の運転再開を止める大きな焦点は、大飯原発敷地内のF−6破砕帯(断層)の掘削調査を実施させることにある。集会では、この断層問題で精力的に発言され、動いておられる渡辺教授のお話を伺った上で、この間の活動・裁判の報告、今後の活動の提起がなされた。
 まず、原告団共同代表のアイリーン・美緒子・スミスさんが主催者あいさつを行った。「7月5日の国会事故調の報告書では国と事業者の癒着関係が明らかにされた。しかし、国は耐震バックチェックと運転再開を切り離すなど、今もなお癒着関係は変わっていない。これに対し、市民と世論の声で、そして司法に訴える形で、さまざまな力で大飯3・4号の運転を止めなければならない」と訴えた。

◆「掘削可能な場所は3カ所ある。掘削調査で岩盤を出せば決着がつく」
 渡辺教授は、大飯原発敷地内の断層問題を中心に、日本の活断層審査体制の問題点や活断層による地震被害の危険性について非常に分かりやすく話をされた。
 渡辺教授は、大飯3・4号建設前に掘ったトレンチの北側スケッチ図に基づいて、F−6断層が典型的な活断層の構造であると説明した。一方で、「北側と南側のスケッチでは構造が違いすぎる。北側か南側かのどちらかが間違っている。あるいはF−6断層以外のものを示している。だからスケッチを元に議論していても埒があかない。掘らないと分からない」と強調した。
関電が写真を出してこないということで、原子力安全・保安院は、7月3日の「地震・津波に関する意見聴取会」において大飯原発の破砕帯問題の議論を先送りした。これについては、「私達の学問の世界では写真を使って議論してはいけないというのが常識である。写真では、上の地層が垂れてきて色で違うように見えてしまうとかいろいろある。なぜ写真を要求するのか理解しがたい」と批判した。
 また、6月27日の大飯原発敷地内の視察結果について、「当初は、F−6断層そのものはそれほど大きな問題はないと思っていた。F−6断層が活断層だということになると、原子炉直下にある別の断層も活断層ではないかということになる。そうなると非常に危険だと考えた。しかし、27日に大飯原発敷地内を視察し、F−6断層が3・4号の最重要(Sクラス)施設(非常用取水路)を横切っていて、F−6断層自体が問題だということが分かった。Sクラス施設を地盤がずれてしまうようなところに建ててはいけない。敷地に入って、F−6断層上で物理的に掘れる場所が3カ所あることが分かった。掘削から原状復帰までおそらく長くても1週間で済む」と話した。
 しかし、保安院は、まずボーリングを行った上で掘削するのが正しく、2ヶ月かかると言っている。これに対して渡辺教授は「活断層がそこにあるかどうかということに関して、ボーリング調査は不適切な方法だと2006年からずっと主張している。ボーリングをしなくても、ここに断層があると分かっているのだから。掘って岩盤を出せば決着はつく」とした。
 そして最後に、国の審査体制に福島事故の責任があると厳しく批判した。「保安院と原子力安全委員会は間違いを繰り返している。私達が指摘をすると、いつの間にか、それと同じ調査結果を出しているのが何カ所もある。私達が主張していることに対して、新たな知見ではないと言う人もいる。しかし、私は新しい知見を提示したつもりはなく、審査が間違っていると言っている。なぜ間違うのかと言うと、専門性に非常に問題がある人、立場上中立性に非常に大きな問題がある人が審査をしているからだ。国のこの審査体制に福島事故の責任の所在がある。その責任の所在を追及しないとまた同じことが起こるだろう。福島の教訓を生かすのは今しかない」と強く訴えた。

◆市民向けの緊急署名と国会議員署名を広げ、早急に掘削調査の実施を迫ろう
 次に、大飯原発敷地内の断層問題を中心としたこの間の活動と当面の緊急の取り組みについて報告が行われた。非常に短期間にこの問題を意見聴取会の議題に乗せ、F−6断層の掘削個所を具体的に指摘するところまで来た。あとは掘削させるだけだ。掘削調査を求める、市民向けの緊急署名及び国会議員署名等を短期集中して取り組み、早急に掘削を実施させようと提起がなされた。市民向けの緊急署名はネット版と紙版が準備され、7日から取り組まれている。7月5日の破砕帯問題についての院内集会には超党派19名の議員が呼びかけ人となり、30名もの国会議員が参加した。国会議員署名はこれを受けたもので、各人がそれぞれ地元の議員に働きかけようとの呼びかけがなされた。

◆大飯原発断層問題を裁判の新たな争点にしよう
 小山英之原告団共同代表は、裁判の経過と焦点について報告し、大飯原発敷地内の断層問題を新たな争点にしようと提起した。弁護団の高山巌弁護士は、国の「耐震安全性に関する安全審査の手引き」では、活断層の露頭の真上にはSクラス施設を建てること自体が許されないのであり、有力な論拠として仮処分裁判の主張に加えた、ぜひ運転停止を勝ち取ろうとアピールされた。


◆法廷内外の取り組みを一層強化して、大飯3・4号の再稼働を止めよう
 京都、滋賀の原告からは、再稼働決定撤回を求める署名や各自治体への申し入れ等、各地で粘り強く取り組まれている活動が報告された。
 続いて、7月9日の仮処分裁判第3回審尋について、原告以外の人もたくさん集まって、再稼働に反対する意思を伝え、正しい判決を出すように、審尋が始まる前に裁判所前でアピールしようとの呼びかけがなされた。
 集会全体を通じて、F−6断層の掘削調査の重要性と調査を実施させるために緊急に取り組むべきことを共有することができた。ただちに掘削調査を実施させ、大飯3・4号の再稼働を止めていこう。(原告K)

★【緊急署名】大飯原発の破砕帯(断層)−掘削調査を早期に!大飯原発 再稼働の撤回を!
オンライン署名にご協力を!今すぐクリック!!(PCでも携帯でも可)
https://fs222.formasp.jp/k282/form2/

またはこちら(iPhone文字化け対応)
https://pro.form-mailer.jp/fms/760bab7b31381

紙版はこちら(PDF)
https://dl.dropbox.com/u/23151586/120707_ohi_hasaitai_shomei2.pdf

◇暫定締め切り:2012年7月11日(水)24時まで。

(12/07/10UP)