6月5日 大阪府への申し入れ 35団体で要請書を提出 15名が参加

◆国の判断基準―「十分な安全基準ではない」
 「新規制庁もまだで手順は踏まれていない」
◆態度表明する立場にないとしながらも
 「安全な原発でないと稼働は難しい」(知事発言)―これが大阪府の立場だと確認
◆細野大臣の「関西の合意は取れた」発言―「細野氏が勝手に言ったこと」

 6月5日、午後4時半より30分弱、大阪府庁にて、大飯3・4号の再稼働に反対することを求める申し入れを行った。前日夕方からの急な呼びかけにもかかわらず、堺・箕面・茨木・池田・大阪市など大阪府内から15名が参加した。大阪府は、環境農林水産部環境農林水産総務課施策推進グループ課長補佐・橋本貴仁氏と政策企画部危機管理室消防防災課防災情報グループ課長補佐・松葉正幸氏が出席した。
 まず大阪府内35団体からの要請書を提出した。安全性が保障されていない大飯3・4号の再稼働は認められないと、早急に表明することを求めた。前回までの申し入れの際に、「再稼働に反対」と明確に言っていたのはウソだったのか、府民は怒っていると申し入れた。これに対して大阪府は、「認める、認めないという立場にない。賛成反対の態度表明をする立場にない」と回答した。しかし、態度表明する立場にないというのはどういうことかという問いに対してはまともな答えはできなかった。

■「国の判断基準は十分な安全基準ではない」「新規制庁もまだで手順は踏まれていない」
 一方で、大阪府は、「4閣僚の判断基準は、暫定的なものであり、十分な安全基準では全くない。新規制庁ができ、新たな安全基準に基づいて判断がなされるべきであり、十分な安全性確保の手順が踏まれていない。原子力安全委員会もしくは新規制庁での第三者的な有識者の判断を経るべき」と盛んに強調した。しかし、現時点では安全が確保されていないことを認めながら、「再稼働後、新たな安全基準ができてから改めて判断されればよい」との考えを示した。

■安全性は不十分だと言いながら「判断は政府が行うべきもの」との無責任な回答
 安全性は不十分だという考えなのであれば、再稼働に反対するべきではないかと問うと、「だから、あくまでも限定的なものと考えている」と答えた。「限定的」とはどういう意味かと問うと、「時間軸的な観点という意味。夏のピークを超えたら、速やかに新規制庁の新安全基準に基づいて改めて大飯3・4号についての判断がなされるべき」との考えを示した。
 これに対して、安全性が不十分な状態で動かして事故が起きたら大阪府としてどう責任を取るのかと問いただした。大阪府民の命と安全を守ることが大阪府の仕事だと厳しく訴えた。しかし、大阪府は、「大阪府は再稼働を判断する立場にはなく、判断は政府が行うべきもの」という無責任な回答で逃げた。「これまで大阪府知事の合意が必要と言っていたではないか」「100q圏内の知事達の合意が必要だと言っていたのはどうなったのか」と追及すると、不機嫌な表情で、「判断は政府が行うもので・・・」と述べるだけだった。

■「安全な原発でないと稼働は難しい」(知事発言)は「大阪府としての立場」と認める
 この日の午前中に松井知事が「安全な原発でないと稼働は難しい」と述べていることについて問うと、これは大阪府としての立場だと最終的に認めた。
 また、細野原発事故担当相の「関西の合意は取れた」発言について聞くと、橋本氏は、「細野氏が勝手に言ったこと」と参加者に答えた。

■防災対策はこれからようやく議論が始まる段階
 再稼働にあたって大阪府内にヨウ素剤を配布する検討はしているのか問うた。大阪府は、「ヨウ素剤配布をどうするかという以前に、どのような防災対策を作るのか、関西広域連合でこれから検討し始める。今年度中に」と答えた。これに対し、滋賀県の拡散予測において、大飯原発で大事故が起きれば大阪府の広範囲が放射性ヨウ素で汚染されるという結果が出ているのであるから、ヨウ素剤の配布は最低限行うべきことだと訴えた。しかし、大阪府は、「専門家の判断を聞いたうえで考える」、「『汚染される』ではなく『汚染されるかもしれない』ではないか」等と事故や拡散予測を軽視する発言だった。

 最後に、「安全な原発でないと稼働は難しい」という大阪府の立場をもっと公に表明することを強く求めた。


(12/06/06UP)